ヴァレリーの詩とポトラッチ:現代の未開文化(カッコイイ!) ポトラッチ2(2/2) 失われた酒 ポール・ヴァレリー いつだったか、私は大海に (どんな空の下だったかは覚えていない) 少々の高貴な酒を投げた。 まるで「虚無への供物」のように。・・・ おお、酒よ、誰がお前を捨てようか? 神の意志に従ったのか? 心の寂しさからなのか 血に飢えて、酒を投げたのか? 少々バラの香りがしたあと 海はまた透明になり 静けさを取り戻した・・・ 酒は投げた、波が酔った!・・・ 私は見た、苦い大気の中 この上なく深いものの姿を・・・・ これは、私自身による訳です。この詩は、かつて読んだ詩のなかで、「最高位」に位置する作品でもあります。海に高価な酒を投げ入れるという行為、無意味でしょうが、ヴァレリーは、その酒で「酔う海」に出会ったわけなのです。「海」はもちろん「虚無」、それへの「お供え物=供物」は、有効