「現場の交差点で、壊れて倒れている夫のバイクを見た瞬間の衝撃は、言葉に表すことが出来ません。泣き叫ぶ私の背中を、小学生の三女は無言で泣きながら、ずっとさすっていてくれました。やっと病院に着くと夫はすでに息を引き取っており、うっすら目を開けていました。『悔しいよ』と言いたそうな、悲しい顔をしていました」 2月15日、静岡地裁沼津支部で開かれた交通死亡事故の第5回公判。法廷には「被害者参加制度」を利用し、嗚咽をこらえながら、順々に意見陳述をする遺族の姿がありました。 最初に証言台に立った被害者の妻・仲澤知枝さんは、加害者の嘘により、各所から受けた理不尽な対応についてこう語りました。 「被告人が『対向バイクが右折してきた』と言ったことで、警察官に『ご主人のバイクが右折したのは間違いない』と言われました。新聞にも『バイクが右折』と書かれ、周りからは好奇の眼に晒されました。 自分は悪くなかったのに、