佐藤優氏と伊藤賀一氏(写真:朝日新聞出版写真映像部・東川哲也) この記事の写真をすべて見る 長引くウクライナ戦争、イスラエルとハマスの紛争、民族紛争、格差、生成AI……。新たな課題にどう立ち向かうべきか、かつてないほどその重要性は高まっている。そうした中で役立つのが、過去の思考の鋳型について知ることだ。「日本一生徒数の多い社会科講師」と評判の「スタディサプリ」講師・伊藤賀一氏と作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏がタッグを組み、西洋哲学が実生活でどう役に立つかについて語り合った。両者による共著『いっきに学び直す 教養としての西洋哲学・思想』から一部抜粋・再編して紹介する。 * * * 世界のエリートと競うのに必要かつ十分な「倫理」の知識 佐藤優(以下、佐藤):2022年2月24日から世界各地で生じている事態は、一般に考えられている以上に、大きな変動の始まりだと私は見ています。ロシアとウク