「『ヒップホップ』ってのは、本当にあったことを歌ってるんですか?」 これは、イベントを開催した2020年で作家生活19年を数える小説家・佐藤友哉の口をついて出た素朴な疑問だ。 2001年にメフィスト賞を受賞して19歳でデビュー。彼の前後に同じくメフィスト賞からデビューを果たした舞城王太郎や西尾維新らと共に、ゼロ年代作家として小説界を席巻した。 どちらも2020年9月に開催されたオンラインイベント「『遊ぶ人集会』vol.3 ハハノシキュウ × 佐藤友哉」にて飛び出した言葉だ。同年4月に開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により一度は中止した対談のリベンジとして開催された。 ハハノシキュウは、言うまでもなく、日本のヒップホップ界ではどうしようもなく異端だ。佐藤友哉は、推理小説でデビューしたもののミステリー界の読者からは異端視され「弾かれた」。 「探偵小説とヒップホップは似ている