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内田樹の検索結果81 - 95 件 / 95件

  • 文明の再編と「人と知の中心」イスタンブール - 集英社新書プラス

    内田樹先生、中田考先生との共著『一神教と帝国』を上梓した山本直輝先生。イスタンブールで教鞭を執る山本先生に、イスラエル・ハマス紛争をめぐるトルコ国内の言説状況と、従来の国際秩序の危機を打開する文明の再編の様子とその可能性について寄稿いただきました。 日本からだとどうしても遠い国の出来事になってしまうが、トルコにいるとイスラエル・パレスチナ紛争は身近である。先月、私の学生の兄がパレスチナでイスラエル軍の空爆によって亡くなった。トルコのテレビ局で働く私の友人は今、取材のためにイスラエルにいる。 トルコにおける「イスラエル・パレスチナ言説」というと、もっぱらイスラエルやパレスチナに対するエルドアン大統領の外交姿勢やトルコのメディアの反応が紹介されるだろう。 例えば、エルドアン大統領はイスラエルのパレスチナへの空爆を受けてイスラエルを「テロ国家」と批判し、一方でムスリム同胞団系イスラム組織ハマース

      文明の再編と「人と知の中心」イスタンブール - 集英社新書プラス
    • 関東大震災から100年 朝鮮人虐殺について考える - 内田樹の研究室

      『月刊日本』から標記の件でインタビューをされたので、採録。 ― 今年は朝鮮人虐殺100年の節目の年です。内田さんはこの歴史をどう受け止めていますか。 内田 朝鮮人虐殺は「わが国の歴史の暗部」です。関東大震災の地震や火災で多くの人々が亡くなり、生き残った人々もパニック状態にあった。そういう状況で「朝鮮人が井戸に毒を入れている」「放火している」などという流言飛語が飛び交った。そして、自警団を組織した人々が朝鮮人や中国人や日本人を寄ってたかって刀や竹やりで殺した。混乱の中での出来事ですので、犠牲者の正確な数は分かりませんが、おそらく千人から数千人に及ぶと言われています。 なぜこんな非道なことが起きてしまったのか。原因は日本人の側の罪の意識だと思います。1910年に韓国を併合してから、朝鮮総督府は1919年の三・一運動などの独立運動を暴力的に弾圧してきました。日本に出稼ぎに来た朝鮮人たちにも日本人

      • 「『差別』も『ファウル』と同じように考える 根絶できなくとも抑制できる」内田樹 | AERA dot. (アエラドット)

        哲学者 内田樹 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 *  *  * 差別的な発言をまきちらしている国会議員がいる。その非常識な言動でレイシスト層からの政治的支持を期待してそうしているのだろう。この人を見ていると、差別を根絶することはたぶん不可能だろうと思う。仕方がない。差別は人間的未成熟から生まれるものだからだ。「子ども」を根絶することはできない。 「だったら、差別し放題でいいじゃないか」という極論にいきなり飛びつく人がいる。そういう単純な切り替えしかできないことが「子ども」の証拠なのである。未熟から生まれる悪徳はかように始末に負えない。 だから、差別に向きあう時、私たちは忍耐強く「さじ加減」を見計らわねばならない。ある程度までの差別は「見逃し」、受忍限度を超えた差別には「注意を促し」、それでも矯正されない差

          「『差別』も『ファウル』と同じように考える 根絶できなくとも抑制できる」内田樹 | AERA dot. (アエラドット)
        • この世には「読むと魂が汚れるテクスト」が存在する…内田樹が「SNSの荒野」を歩くときに必ず守っていること 「呪いの言葉」には命を奪うだけの力がある

          ナースには「特殊な能力」を持つ人がいる ずいぶん前にですけれど、ある大学の看護学部の先生のナースたちと看護をめぐって対談したことがありました。僕はその時に、ドクターというのは自然科学者だけれども、ナースというのは魔女の系譜を引き継ぐ呪術的な医療者であり、この二つの医療原理が習合しているところが近代医療の妙味であるというようなことを話したのです。その話がナースの方の気に入ったらしく、実はナースの中にはいろいろな特殊な能力を持つ人がいるという「ここだけの話」をしてくれました。 僕が対談したナースの方は「死期近い人のそばにゆくと屍臭がする」という能力をお持ちでした。だから、夜勤で病室を巡回する時、病室のドアを開けた時に屍臭がすると「この患者は朝までもたない」とわかる。同僚に似たような能力を持つ人がいて、その人の場合は、「死期近い人のそばにゆくと鐘の音がする」のだそうです。でも、二人がそんなことを

            この世には「読むと魂が汚れるテクスト」が存在する…内田樹が「SNSの荒野」を歩くときに必ず守っていること 「呪いの言葉」には命を奪うだけの力がある
          • 「1日1冊読む」を999日続けてみた|しんぱち。

            1日1冊本を読むと決めて以来、休まずに本を読み続けている。 本当に読み続けている。休んだ日はない。 雨の日も、風の日も、元気な日も、ちょっとダルい日も、仕事が激務の日も、母を早朝から病院に連れて行く日も、旅行に行っても、ワクチンの副反応で高熱が出た日も、感染して(コロナになりました…)高熱が出た日も、1日1冊、読み始じめて、最後まで読み切る生活を続けた。 最初はキツかった。 もともと読書週間がほぼ皆無だったので、めちゃくちゃしんどかった。 正直、なんでこんなこと始めたのか?バカじゃないの!?って思ってた。 「今日はさすがに読めない」って日もたくさんあった。 でも「なんとしても読む」精神でひたすら続けた。 そんな日々を送ってきた。 はじめのうちは「コーヒーを淹れたら本を読む」というような前置きを作ったり、いろいろとやり方を工夫していた。 500日も続けたらそんなものもいらなくなった。 「今日

              「1日1冊読む」を999日続けてみた|しんぱち。
            • 朴先生からのご質問「宗教について」 - 内田樹の研究室

              こんにちは。 今回は「宗教」や「宗教性」などについての質問です。 今まで内田先生と釈先生の共著で書かれた「霊性」や「宗教」や「宗教性」についてのご著作はぜんぶ読んできたような気がします。 『聖地巡礼シリーズ』をはじめ『日本霊性論』『現代霊性論』や『 はじめたばかりの浄土真宗』 『いきなりはじめる仏教入門』から『日本宗教のクセ』までどれも面白くて非常に勉強になりました。 このご著作通読してみて、いまのところ、僕の言葉ではまだうまく言えないのですが、なんとなく「真に知性的であろうとすれば、人間はどうしても宗教的にならざるをえない」というような感じがしてしまいました。 で、一番目の質問ですが、内田先生にとって「知性的」と「宗教的」の間の関係性の理路というか、ダイナミックスはなんなのかぜひ聞かせて頂けば幸いです。 僕はいちおう「無神論者」ですので、信仰をもっている人と話していると、次第にいらいらし

              • 「村上春樹は夢を見ない 私が散歩できない理由」内田樹 | AERA dot. (アエラドット)

                哲学者 内田樹 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 *  *  * 散歩をしたことがない。そう言うとびっくりされる。ほんとうにそうなのだ。子どもの頃には「犬の散歩」というものを毎朝していたが、あれは犬が散歩しているわけで、私はその付き添いである。 当てもなくふらりと旅に出るということもしたことがない。若い頃、同世代に「バックパッカー」という人たちがいて、海外をあてもなく旅行していたが、どうすればそんな旅ができるのか、動機も方法もわからなかった。バイクや車で「あてもなくふらりと旅に出る」ということもしたことがない。私はバイクも車も大好きだけれど、それはあくまで目的地に最短時間で到着するための快適な手段として好きなのであって、目的地を決めずにツーリングやドライブに出かけたことは一度もない。 そうカミングアウトした

                  「村上春樹は夢を見ない 私が散歩できない理由」内田樹 | AERA dot. (アエラドット)
                • 朴先生からのご質問に答えるシリーズ 「宗教の本領」とは何か? - 内田樹の研究室

                  第三番目の質問です。去年刊行された『日本宗教のクセ』で釈先生が、「まえがき」で書かれた一節がずっと気になっています。釈先生は「まえかき」でこう書かれています。 「 内田先生と宗教話をしていると、また少し宗教の本領に近づいた気になる。」 内田先生にとって、「宗教の本領」ってなんだと思われますか。 さあ、困ったなあ。「宗教の本領」って、釈先生が言われたことですよね。釈先生が何を考えて「こんな言葉」を口にされたのか、それを釈先生に代わって内田がお答えしてよいものでしょうか。でも、質問されたので、僕の考えを申し上げます。 僕の理解する宗教的知性とは、「超越」や「他者」や「外部」など、要するに自分の手持ちの知的なフレームワークには包摂できないものに立ち向かい、その対面がもたらす緊張を通じて、自己刷新を遂げようとする知性のことです。 これまでにも同じことを何度か書きましたけれど、僕は「連続的な自己刷新

                  • 安倍政権の総括 - 内田樹の研究室

                    『自民党失敗の本質』(宝島社、2021年)に収録されたインタビュー(2021年8月に行われた)。もう3年近く前のものだけれど、自民党政治の内在的批判としては今でも有効だと思う。 ―菅内閣の支持率は下落の一途を辿り、2021年8月の報道各社の支持率は30%を切りました。この1年間の菅政権の動きをどのように評価されていますか。 内田 随分長く日本の政治を見てきましたけれども、正直言って、最低の部類に入るんじゃないかと思います。ひと昔前だったら内閣が吹っ飛んでしまうような事態が、第二次安倍権以降何度もあったけれども、ここまでひどい内閣というのは過去に例がなかった。 たとえば2021年8月6日、広島での平和祈念式典でのスピーチが象徴的でした。菅さんは丸々1ページ、核廃絶に向けた日本の立場を示す約120字の原稿を読み飛ばしてしまい、結果的には意味の通じないセンテンスを発語してしまいました。 僕が一番

                    • 『東京ミドル期シングルの衝撃』書評 - 内田樹の研究室

                      人口減問題について語る人たちは、マンパワーの不足やマーケットのシュリンクや年金や医療制度の持続可能性について話すけれど、ほんとうにシリアスなのは「高齢期に入って社会的に孤立化したシングルのアンダークラス化」にある。本書はそのタブーを正面から取り上げた例外的な仕事である。 「アンダークラス」というのは「ワーキングクラス」のさらに下に位置する、生活保護なしでは暮らしていけない最貧困層のことである。差別と排除の対象となり、社会の底辺に吹き溜まる閉鎖集団である。 日本でも「高齢者アンダークラス」がこれから大量に出現する可能性がある。政治家も官僚もメディアもこの問題から目を背けてきたが、高い確率でこれからの日本社会はそういう集団を抱え込むことになる。いまミドル期(35歳~64歳)にあるシングルたちは遠からず高齢期シングルとなる。今のまま何の対策も講じずに放置しておけば、いずれ日本社会は貧しく、孤独で

                      • 『コモンの再生』文庫版のためのまえがき - 内田樹の研究室

                        みなさん、こんにちは。内田樹です。 『コモンの再生』文春文庫版をお手に取ってくださってありがとうございます。 単行本は2021年刊行。『GQ』という月刊誌に2016年7月から2020年6月まで連載していた「人生相談」コーナーをまとめたものです。ですから、最初のものはもう今から8年近く前の話になります。東京五輪もコロナもまだ始まっていない頃の話です。 「そんな昔の話、今ごろ読んで面白いんですか?」という疑問が当然湧き上がると思います。湧き上がって当然です。でも、読んでみたら割と面白いんです。 どうして時事性をも持たない文章がまだ読むに堪えるのか? それについて私見を申し述べたいと思います。 時事的なトピックを扱った文章が何年にもわたってリーダブルであるためには、何が必要か? そこで書かれていた未来予測が当たることでしょうか。それもあると思います。本文を読めばお分かりになりますが、僕がこの中で

                        • 箱根の温泉で感じた中国のリアル - 内田樹の研究室

                          城崎に続いて、箱根に旧友たちと湯治に出かけた。箱根湯本はコロナ前のにぎわいを取り戻し、旅館も一時は「閑古鳥が鳴いている」状態だったがほぼ旧に復し、従業員数もコロナの間は半減していたが、またもとに戻った。 宿泊客の半分以上が外国からのお客さんだった。浴衣の帯をとんでもない結び方をした人たちがお箸で器用に和食を食べている。 中国からの人はだいたい見ればわかる。日本人と外見は変わらないが、どこか違う。何と言うか「昂然と頭をもたげている」感じがする。規則だから(納得ゆかないけれど)従うとか、傍らの人が嫌な顔をしているから遠慮するとか、そういう「調整」にはあまり気を使わないようである。そういうのが中国人気質なのだろう。 少し前に凱風館にも20人ほど中国からのお客さんを迎えた。引率された毛丹青先生に「この人たち、どういう方なんですか?」と訊いたら、「ビジネスで成功して、もう働く必要がなくなったので悠々

                          • 原爆の表象 - 内田樹の研究室

                            映画『オッペンハイマー』に広島長崎への原爆投下の場面がないことがネットでは話題になった。同じクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト ライジング』でバットマンはゴッサムシティの人々を守るために核爆弾を街から6マイル離れた「安全な海上」に投棄する。でも、バットマンも市民たちも被曝した様子はない。 『インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』にはネバダの原爆実験場に迷い込んだジョーンズ博士がカウントダウンを聴いてあわててモデルハウスの冷蔵庫に隠れて(多少の打撲以外)無事という場面がある。 どうやら米国民は核兵器というものを「ちょっと大きめの爆弾」程度のものと思っているらしい。世界最多の核保有国の国民が自国の所有している兵器について、このようなシリアスな誤解をしていることはやはり一種の「病」と言ってよいだろう。なぜ、米国民は核兵器の破壊力や毒性をこれほどまでに過少評価するのだろう。

                            • 内田樹 on Twitter: "失敗することが確実な政策を途中で止めることができないのは、途中で止めると「責任者の追及」が行われるけれど、最後まで行って大失敗した場合には「一億総懺悔」でチャラになるからです。too big to fail の理屈と同じです。"

                              • 「内田樹の研究室」より「維新的民主主義」 - 爽風上々のブログ

                                「内田樹の研究室」で取り上げられていたのが、大阪の維新についてです。 blog.tatsuru.comある雑誌からの質問で、「大阪で維新はどうしてあれほど支持されているか」とあったのですが、それについて考察しています。 大阪の行政状況はひどいということは聞きますが、その数例をあげています。 コロナ禍では大阪は死者数1位でした。 看板政策の大阪都構想は二度否決されました。 公立学校や医療機関は統合を進めどんどんと数を減らしています。 バスの運転手の給与も下げ続け、運転手が減って市営バスの減便、廃止が起きています。 どの事例を見ても大阪では行政サービスの低下が顕著です。 それにも関わらず、選挙になると大阪では維新が圧倒的勝利を収めます。 これはなぜか。 内田さんはかつて自分の勤める大学で学生たちの意見を聞きました。 すると、維新を率いる橋下は「すぐ感情的になり非論理的だが」「隣の兄ちゃんみたい

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