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原爆の表象 - 内田樹の研究室
映画『オッペンハイマー』に広島長崎への原爆投下の場面がないことがネットでは話題になった。同じクリ... 映画『オッペンハイマー』に広島長崎への原爆投下の場面がないことがネットでは話題になった。同じクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト ライジング』でバットマンはゴッサムシティの人々を守るために核爆弾を街から6マイル離れた「安全な海上」に投棄する。でも、バットマンも市民たちも被曝した様子はない。 『インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』にはネバダの原爆実験場に迷い込んだジョーンズ博士がカウントダウンを聴いてあわててモデルハウスの冷蔵庫に隠れて(多少の打撲以外)無事という場面がある。 どうやら米国民は核兵器というものを「ちょっと大きめの爆弾」程度のものと思っているらしい。世界最多の核保有国の国民が自国の所有している兵器について、このようなシリアスな誤解をしていることはやはり一種の「病」と言ってよいだろう。なぜ、米国民は核兵器の破壊力や毒性をこれほどまでに過少評価するのだろう。