渥美清が自分で企画し主演した作品 ――今日は、春日太一さんが『日本の戦争映画』(文春新書)を刊行されたのを記念して、片山杜秀さんをお迎えしました。お二人にそれぞれ三本ずつ戦争を描いた日本映画を挙げていただこうという企画です。 春日氏(左)と片山氏(右) 春日 片山さんとは十年前、ある雑誌で戦争映画と戦争文学について語るという座談会でご一緒したことがありましたね。 片山 そうでした。座談会が始まる前も終わった後も、ずっと二人で映画の話をしていたのを覚えています。 春日 今回、『日本の戦争映画』を書くにあたって、あらためて戦後日本の戦争映画を80本近く見直したんです。そのなかで自分にとって発見だったと思った作品が何本もあったのですが、まず挙げたいのが、渥美清が自分で企画し主演した『あゝ声なき友』(1972年)です。 片山 今井正監督ですね。 春日 そうです。渥美清の戦争映画でいうと、野村芳太郎