―――――― 明治四年(1871年)十一月十二日、岩倉具視を正使とする使節団が派遣された。有名な岩倉使節団である。目的の第一は友好親善。各国の元首に謁見して国書を渡すことになっている。折角、海外へ行くのだから西洋諸国の姿を直に見るという狙いもあった。 最後に条約改正の予備交渉。江戸幕府が結んだ修好条約の改正時期に来ており、不平等な条項を是正するため交渉を申し入れる。政府内では近代化に向けて改革してきたことから上手くいくのではという楽観論も聞かれるが甘い。歴史を知っているからではなく、実際に西洋を見たからわかる。日本はまだまだだ。江戸時代からすれば大変革だが、それでも道半ばである。 使節団には私の知り合いも何人か同行することになっていた。木戸や大久保、俊輔(伊藤博文)などだ。私も行かないかと誘われたが、家族もいるしやらなければならないことも多いので日本に残ることにした。 「そうか……」 「で