【台北=西見由章】ロシア系のハッカー集団が9月上旬以降、台湾の官公庁や企業にサイバー攻撃を仕掛けている。台湾の頼清徳総統は今月初め、「領土回復」を旗印に台湾統一を掲げる中国が、帝政ロシアに占領された土地は取り戻そうとしていないとして中国側の「二重基準」(台湾メディア)を指摘。露ハッカー集団が頼氏の発言への報復を宣言する一方、中国側は沈黙している。 「中国が台湾を併呑しようとしているのは領土保全のためではない。もしそうなら、なぜ愛琿(あいぐん)条約でロシアに占有された土地を取り戻さないのか」。頼氏は台湾のテレビ局のインタビューで「中国は世界秩序を改変し自らの覇権を実現しようとしている」と訴えた。 米欧に対抗するため戦略的な協力を深めている中露にとって、領土紛争の歴史はデリケートな問題だ。帝政ロシアは清朝が第二次アヘン戦争で英仏に敗北を重ねたのに乗じ、1858年の愛琿条約でアムール川(黒竜江)