「撤回」では問題は解決しない 西村康稔経済再生担当相が東京都への4回目の緊急事態宣言を巡り、飲食店が酒類を提供しないよう取引金融機関からの働きかけを求め、さらに酒を提供する飲食店と取引しないよう酒類販売業者に要請した。 資金繰りで苦慮する飲食店の弱みにつけ込むような手法や販売業者への圧力で脅すようなやり方は、当然、強い批判を浴び、相次いで撤回に追い込まれた。 だが、撤回して済む話ではない。これだけ国民の常識から見てやり過ぎだと思える政策を、科学的根拠も法的根拠もなく簡単に打ち出してしまう政府の現状こそが大きな問題だ。 感染拡大防止のためには、どうしても国民の行動制限が必要となる。そして国民の自由を抑制するような強めの政策には科学的根拠と法的根拠という二つの視点が不可欠だろう。今回の西村発言はこの「法的根拠」が著しく欠如しているのだ。 法律に基づいて行政を行う意識の欠如 飲酒をターゲットにし