就任当初は部員たちがタバコを吸ったり、パチンコに行くのが当たり前だった。それらは必ずしも悪い行為ではない。学内には喫煙所が設置されているし、パチンコだって校則で禁じられているわけではない。 だから回りくどく、こう諭してきた。 「スポーツをしている学生って“ひたむきで前向きに頑張っている”っていう先入観が世の中にはある。俺たちはそれに応えなきゃいけない責任みたいのが、なんか若干あるんだよ。それに乗っかった方が俺たちは生きやすいし、応援してもらいやすい。それを使おうぜ」 偽善上等(真の善といえる学生ももちろんいるはずではあるが)。偽悪的に振る舞って多くの敵を作った徳本だからこそ、世間を味方につけることの効率性を説くことができる。 スポーツ選手は聖人君子たれ! と叶わぬ理想を押し付けるよりは、その方が学生たちも「なんか若干」わかった顔をするのだという。 自分が箱根を走った当時と比べて「この時代は