警察は7月、母親(33)と、同居する男(32)を逮捕した。男は奈桜さんを暴行し、母親は体調不良を訴える奈桜さんを放置して、死亡させたとされる。2人は8月に起訴され、今後、裁判が開かれる予定だ。 事件には予兆があった。児童相談所は1年半前から虐待の兆候を察知し、2度にわたり奈桜さんを一時保護していたのだ。そのとき奈桜さんは「(男に)パンチされた」と話していた。だが一時保護はいずれも2~3カ月で解除された。 悔しさをにじませる捜査幹部、対応について考え続ける児相職員―。取材で浮かび上がったのは、自らはっきり証言するのが難しい子どもの被害を見抜くことの困難さだ。(共同通信名古屋支社編集部) ※筆者が音声でも解説しています。「共同通信Podcast」でお聴きください。 ▽保護しても、得られなかった虐待の証拠 奈桜さんが児童相談所に初めて保護されたのは2022年12月。母親の実家がある岐阜県本巣市か