いよいよ11月に米大統領選が実施される。共和党の候補トランプ氏と民主党の候補ハリス氏の支持率が拮抗する中、経営コンサルタントの大前研一氏は「カギを握るのは副大統領候補」と指摘。米大統領選の行方を大前氏が分析する。 * * * トランプ氏が副大統領候補に指名したJ・D・バンス上院議員(オハイオ州)は中西部「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」のプアホワイト(白人の低所得者層)出身で、その悲惨な生い立ちと成功までの道のりを描いた自叙伝『ヒルビリー・エレジー』がベストセラーになった。 同書によると、母親が薬物中毒で、幼少期は祖父母に育てられ、失業・貧困・暴力が日常の風景だったという。海兵隊での軍務後、オハイオ州立大学とイェール大学ロースクール(法科大学院)を卒業してシリコンバレーのベンチャーキャピタルの社長などを務め、2022年の中間選挙で上院議員に当選した。ロースクール在学中に知り合ったインド