舞台は原発が立地する、とある町。ある日、国会で原発禁止を定める憲法改正案が発議され、「国民投票」の実施が決定する。 「我が高橋家は全員〈原発賛成〉に票を入れること」。原発マネーを“血液”とするこの町で長年町議を務める高橋明は、家族にも当然のように原発賛成を求める。 原発事情には全く詳しくないものの、明の一方的な押しつけに不信感を覚える娘。妊娠中の婚約者から子供への悪影響を心配され、「原発賛成」から気持ちが揺らぎ始める息子の敦。原発を町の一部として特別意識せずに過ごしてきた若者2人は、自らの意思を示すことを迫られ、それぞれの答えを出していく。 この映画のモチーフである「国民投票」は、日本では憲法改正の手続きの一つとして規定されている。宮本はそれを、若い世代に社会問題への当事者意識を持たせるための装置として使った。 「今の学生や若い人たちって、面倒なことは徹底的に避けようとするし、自分に直接危