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竹中正治の検索結果1 - 40 件 / 71件

  • コラム:日本に灯る「円高デフレ回帰」の黄信号=竹中正治氏

    10月27日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、このまま賃金の抑制状態が解消されないと、日本経済は再び不況となり、株価や不動産など資産価格下落とともに円高デフレに戻ってしまう危険があると指摘。提供写真(2015年 ロイター) [東京 27日] - 2012年11月の総選挙以来、ほぼ3年となるアベノミクスのマクロ経済面の実績をまず手短に総括してみよう。成功分野も不振分野もあるが、目下の日本経済の成長阻害要因となっているのは、企業利益や雇用の回復にもかかわらず起こっている「賃金抑制」だ。

      コラム:日本に灯る「円高デフレ回帰」の黄信号=竹中正治氏
    • コラム:老いるアジアと老いた日本の「富」争奪戦=竹中正治氏

      11月26日、竹中正治・龍谷大学教授は、21世紀中葉の日本が豊かさを維持する条件として、大規模なイノベーションをもたらす可能性を秘めた技術開発や教育などへの投資を挙げた。提供写真(2012年 ロイター) [東京 26日 ロイター] 中国やインドの過去20年余りの高度成長を見て、「日本は豊かな国としての先進国の地位を21世紀を通じて果たして維持できるだろうか」と悲観する人もいるようだが、果たしてどうだろうか。人口動態の観点から見れば、インドを除くアジア諸国の経済成長率は実は今がピークで、今後趨勢的に下がる可能性が高い。この点については、「超長期予測 老いるアジア」(小峰隆夫教授・日本経済研究センター編、日本経済新聞出版社刊)に詳しい。 下の図は、日米中韓そしてベトナムの従属人口比率(15―64歳の生産年齢人口に対する14歳以下と65歳以上の従属人口の割合)の推移を示したものだ。実質経済成長率

        コラム:老いるアジアと老いた日本の「富」争奪戦=竹中正治氏
      • 人手不足の「業種格差」を放置すれば、日本経済ははてしなく停滞する(竹中 正治) @gendai_biz

        「団塊世代の引退が人手不足の原因」はウソ 人手不足を訴える業界や企業が増えている。日本経済の問題は、リーマンショック不況の2009年から8年経った今、失業から人手不足へと、完全にシフトしたと言えるだろう。 成長戦略(経済成長のための規制改革)による労働生産性の向上が実現するかどうかが、いよいよ問われる局面になったのだ。イノベーションと労働需給のミスマッチの観点から、現状の問題を考えてみよう。 失業率2.8%(6月)という水準は1990年代初頭まで遡る低さである。有効求人倍率1.51倍は90年前後のバブル期のピークにもなかった高さだ。 一部の論者は、こうした雇用情勢の改善は「見かけ」に過ぎず、2013年前後に団塊の世代が65歳となり、引退年齢に入ったこと、つまり労働力の減少による結果に過ぎないと景気の回復を否定する言説を流している。 しかし、筆者が5月に当サイトに寄稿した「日本経済を食い尽く

          人手不足の「業種格差」を放置すれば、日本経済ははてしなく停滞する(竹中 正治) @gendai_biz
        • コラム:日本経済、低インフレから脱却なるか <量的質的緩和の効果はどこへ行ったのか> =竹中正治氏| ロイター

          [東京 30日] - 日本経済は4半世紀ぶりの人手不足となった。失業率は2.8%(4月)まで下がり、有効求人倍率は1.48倍(同)といずれも1990年代初頭までさかのぼる水準だ。 ここまで来ると賃金が上がり、消費の増加を伴ってインフレ率が上がっても良さそうだが、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比0.3%(4月)にすぎず、低インフレから日本は抜け出せていない。

            コラム:日本経済、低インフレから脱却なるか <量的質的緩和の効果はどこへ行ったのか> =竹中正治氏| ロイター  
          • 個人消費がどうしても伸びないのは「アベノミクス円安」が原因だった(竹中 正治) @gendai_biz

            このままでいいのかアベノミクス かつてない大波乱の展開となった衆議院選挙は、結局大方の選挙予想通りに、自民党・公明党の与党が総議席の3分の2を超える圧勝となり、安倍政権が継続することとなった。 今後起こる最大の政治的なイベントは9条を中心にした憲法の改正論議であろう。一方で3本の矢としてスタートした「アベノミクス」は、多少の枝葉をつけ加えながらも既定路線の継続が見込まれている。 アベノミクスの実績評価については、エコノミストの数だけ異なる評価が存在するような状態だ。とりわけ金融・財政政策については議論の対立が先鋭化しているが、本稿ではむしろ消費、雇用、所得配分という実体経済面について、その成果と問題について指摘しておこう。 ちなみに私自身は、2012年12月のアベノミクス宣言で、過度な円高の修正、割安圏に低迷していた株価の回復が始まった際、「これで日本経済は好転する」と快哉を叫んだ一人であ

              個人消費がどうしても伸びないのは「アベノミクス円安」が原因だった(竹中 正治) @gendai_biz
            • コラム:「REITバブル」再来の可能性=竹中正治氏

              2月20日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、アベノミクスへの期待で株価と同時に上昇に転じた上場不動産投資信託(REIT)について、アジアの新興投資家のマネーが流入すれば、ミニバブル再来もありうると分析。提供写真(2013年 ロイター)

                コラム:「REITバブル」再来の可能性=竹中正治氏
              • 失業率の改善と自殺者の激減が示す、日本経済「明確なひとつの答え」(竹中 正治) @gendai_biz

                私のようなエコノミストにとっては、各種の経済データから現下の状況が景気回復局面にあることは間違いないのだが、その一方で「景気回復が実感できない」というような意見やアンケート調査をメディアではよく見かける。 例えば以下のような記事である。「朝日新聞社が11、12両日に実施した全国世論調査(電話)で、景気がよくなったかどうかの実感を尋ねたところ、『あまり』と『まったく』を合わせ、『実感していない』は82%に上った」(朝日新聞、2017年11月14日)。 この種のアンケート調査は質問の表現次第で、結果は白にも黒にもなるので注意しなければならない。人間が本当に感じていることと、ある種の問いに対して意識的に表出される言葉とは、実は乖離している場合も多い。 本当のところ近年の日本の景気は生活者の目線で改善しているのだろうか、していないのだろうか。 それを判断するひとつの方策は、表出された言葉ではなく、

                  失業率の改善と自殺者の激減が示す、日本経済「明確なひとつの答え」(竹中 正治) @gendai_biz
                • コラム:日本株、買いは次の不況まで待て=竹中正治氏

                  5月10日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、日本株は上昇トレンドを描きにくい状況にあるが、それでもインデックス投資で長期にリターンを向上させるシンプルな手法はあると指摘。提供写真(2016年 ロイター) [東京 10日] - 4月に日銀が追加金融緩和に動くという某メディアの憶測記事と、実際の日銀政策決定会合での「政策変更なし」で、日本株も円相場も大きく上下に揺れた。短期トレーディングをしている金融機関のディーラーや個人投資家には翻弄された人も少なくないだろう。 一方、長期投資の対象として日本株を見ると、アベノミクス以前よりはまだ高いとはいえ、昨年の高値からの下落で米国株などに比べると長期的なリターンはやはり劣後している。しかし、日本株でも実はリスクを抑制しながら長期でリターンを向上させる簡単な手法がある。今回は、その仕組みと現状の株式投資へのスタンスを説明しよう。

                    コラム:日本株、買いは次の不況まで待て=竹中正治氏
                  • 日本は大丈夫? 世界の長期債券が空前の下落、これがいま起きている本当の金融激震(竹中 正治) @gendai_biz

                    株価の下落幅などこれまでの経験の範囲 今年に入ってからの米国株を中心とする世界の株価下落が話題になっている。 たしかに米国の代表的な株価指数S&P500は今年1月の高値から10月の安値まで27.5%下落した後、やや値を戻し、現在は19%の下落だ。また新興企業の多いNASDAQ株価指数は昨年11月が高値で現在の水準はそこから31.5%下がっている(いずれも10月28日時点)。 しかしながら米国株式投資について多少長い経験のある投資家なら、この程度の下落は過去何度も見てきたものであり、驚くような下落ではない。実際1950年まで遡って景気循環に沿ってS&P500の景気回復期の高値から景気後退期前後の底値までの反落率を数えると、11回の反落があり、その平均反落率は約30%だ(今年の12回目の反落はまだ底が確認できないので含めていない)。 さらに景気後退にはならなかったがS&P500の反落が30%を

                      日本は大丈夫? 世界の長期債券が空前の下落、これがいま起きている本当の金融激震(竹中 正治) @gendai_biz
                    • 超円安の構図を読み解く~「国力低下」はトンデモ論、真因は内外金利差と経常収支の中身にあり(竹中 正治) @gendai_biz

                      大幅な円安が続いている。1ドル=150円台という相場(名目相場)を「大幅な円安」と一般の人でも感じるのは、海外旅行をした場合に、例えば米国で1ドル=150円で換算した時に、国内の価格と比較して「高い!」と感じるからだ。 この時、人は通貨の購買力で為替相場を評価していることになる。つまり1ドル=100円の時に比べると、米国の物価は円換算にすると50%も上昇しており、それを高いと感じているわけだ。 振り返ると、1980年代後半から90年代半ばまでの円高進行の時期(1ドル=160円⇒80円)には、日本人が海外旅行に出ると「安い!」と感じて、高級ブランド物などを買い漁って帰国する風潮が広がった。今は逆で外人観光客の「爆買い」がデパートなどの売り場を賑わせている。 円安の2つの要因 なぜ大幅な円安が起こったのか。まずそれを読み解いてみよう。この点では私を含むエコノミストの見解は、次の2点で説明できる

                        超円安の構図を読み解く~「国力低下」はトンデモ論、真因は内外金利差と経常収支の中身にあり(竹中 正治) @gendai_biz
                      • 衆院一票の格差を是正しないと日本の経済資源配分は歪んだまま(竹中 正治) - 個人 - Yahoo!ニュース

                        3月6日の東京高裁の判決を受けて、1票の格差とその是正問題が話題になっているが、政治家の動きは鈍い。格差のおかげで当選している地域の議員さんという既得権層の抵抗が強くて、大政党ほど抜本的な是正ができない構図が目に見えている。 本格的な格差是正すれば、日本の政治的な力関係は変革され、経済的な資源配分にも地殻変動を起こすだろう。 昨年衆院選は「違憲」=是正遅れ「看過できず」―1票の格差訴訟・東京高裁 「「1票の格差」を是正せずに実施された昨年12月16日の衆院選は違憲として、弁護士らのグループが東京1区の選挙無効を求めた訴訟の判決が6日、東京高裁であった。難波孝一裁判長は「違憲状態とした最高裁判決で強い警鐘が鳴らされたのに、区割りが是正されず選挙に至ったのは看過できない」として、選挙は違憲と判断した。選挙無効の請求は棄却した。」 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?

                        • 日本の部長たちが患っている「リスク回避病」に気づいていますか(竹中 正治) @gendai_biz

                          リスク回避のメカニズム 昨年ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学派のリチャード・セイラー教授が、その近著『行動経済学の逆襲』(原題:"Misbehaving")(邦訳、早川書房、2016)の中で次のような体験を語っている。 1990年代前半、あるメディア企業の経営幹部(事業部長など)を対象にセイラー教授が行った講演でのエピソードである。 成功確率が50%でその場合は200万ドル儲かるが、残り50%の確率で失敗した場合には100万ドルの損失が発生する事業案件がそれぞれの事業部門でもち上がったとしたら、「あなたはそれを実行しますか?」とセイラー教授は23人の部長さんに尋ねた。 すると、実行すると答えた部長さんはたった3名だった。 次に講演を傍聴していたCEOに尋ねたところ回答は「全部やらせる!」だった。なぜなら、全23件の期待収益は1150万ドル(=(200万ドル×0.5-100万ドル×0.5

                            日本の部長たちが患っている「リスク回避病」に気づいていますか(竹中 正治) @gendai_biz
                          • やがて始まる「マンション価格下落のタイミング」はこう見抜け(竹中 正治) | マネー現代 | 講談社(1/3)

                            転換点となる「かぼちゃの馬車」破綻 今年の1月、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズ社が経営に行き詰り、数百人のオーナーに対して保証していたサブリース賃料の支払いを停止すると報道された。この報道に接して「ああ、ついに始まったな」と感じた人は私以外にも少なくないはずだ。 結局、同社は民事再生法の適用を申請したが、棄却され、破産手続きが開始された(今年5月)。また、同社関連のアパート融資の大半を数々の不正手続きを伴う形でスルガ銀行が行っていたことも露呈した。 スマートデイズもスルガ銀行も、控えめに言ってもかなり無理筋の営業をしていたことは、同業界内の人達の間ではおおむね「公然の秘密」だったと思う。 筆者のような、個人投資家として片手間でマンション投資をしている、いわば外野席の者にも、そうした感触は、風聞やメディア記事を通じてぷんぷんと臭っていたからだ。 この事件を

                              やがて始まる「マンション価格下落のタイミング」はこう見抜け(竹中 正治) | マネー現代 | 講談社(1/3)
                            • Amazon.co.jp: ラーメン屋vs.マクドナルド: エコノミストが読み解く日米の深層 (新潮新書 279): 竹中正治: 本

                                Amazon.co.jp: ラーメン屋vs.マクドナルド: エコノミストが読み解く日米の深層 (新潮新書 279): 竹中正治: 本
                              • コラム:「1―2%インフレ」なら株価はどこまで回復するか=竹中正治氏

                                安倍政権の下で日本経済がデフレ基調からマイルドインフレ(消費者物価指数で前年比1―2%)に転換できた場合、株価がどこまで回復するか簡単な試算をしてみよう。 前回(here)述べたとおり、マイルドインフレに転換した場合、長期国債利回りの上昇(価格の下落)は不可避であるが、それは経済にとっても投資家にとっても必ずしも悪いことではない。ポートフォリオの比率を債券から株式や不動産にシフトした投資家にとっては投資リターンの向上が期待できるからだ。逆に2012年までに株式から国債にシフトしてしまった投資家や、もともと国債に傾斜し過ぎている機関投資家にとってはマイルドインフレへの転換は災いになるだろう。 結論を先に言うと、今年の世界経済が再び景気後退に逆戻りするようなことがない限り、日本株の上昇余地は大きい。目先1―2年では東証株価指数(TOPIX)で1100(1月11日終値898)、日経平均で1万30

                                  コラム:「1―2%インフレ」なら株価はどこまで回復するか=竹中正治氏
                                • コラム:中国には真似できない「米金融帝国」のカラクリ=竹中正治氏 | ロイター

                                  [東京 23日] - 米中貿易戦争については、エスカレートすれば世界貿易が縮小し、世界的な景気後退につながるという悲観的なシナリオから、妥協と収束に向かうという楽観的なシナリオまで見解は分かれている。 7月23日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、米国の対外資産・負債構造は、内外の資本移動規制を撤廃すれば莫大な資本流出が起こることが避けられない中国には不可能なものだと指摘。写真左は中国人民元紙幣、右の4枚は米ドル紙幣。北京で2016年1月撮影(2018年 ロイター/Jason Lee) しかし、関税引き上げ戦争の本質は、資産バブルを巡るゲームと同様に、先にやめた者が負ける一方、誰もが最後までブレーキを踏まずに走り続ければ破滅するというチキンレースであり、どこで止まるかは原理的に予測困難だ。 <米中貿易戦争に2つの異質な要素> この米中貿易戦争には2つの全く異質な要素が混在している。1つは米

                                    コラム:中国には真似できない「米金融帝国」のカラクリ=竹中正治氏 | ロイター
                                  • コラム:量的緩和、最後で最大のリスクは中銀の巨額損失=竹中正治氏

                                    5月28日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、量的緩和をめぐる「最後で最大のリスク」は、出口の際に生じる中銀の巨額損失リスクだと指摘。提供写真(2014年 ロイター) [東京 28日] - 4月30日に発表された米国の今年第1四半期の実質国内総生産(GDP)成長率は、記録的な大雪の影響があったとは言え前期比年率でわずか0.1%にとどまった。ところが、その後2日に発表された4月の雇用統計は非農業部門就業者数が前月比28.8万人増、失業率は6.3%に下がり、予想を上回る結果となった。

                                      コラム:量的緩和、最後で最大のリスクは中銀の巨額損失=竹中正治氏
                                    • 新型コロナ不況下の自殺者増、実は「急増」しているわけではない(竹中 正治) @gendai_biz

                                      新型コロナ不況で職を失い自殺する人が急増し始めたという記事が一部のメディアで流れている。そのようなことが本当に起こり始めているのだろうか? 自殺者数の増減という社会現象は、金融系エコノミストの筆者にとっては専門外であるが、わかる範囲でこの問題をデータに基づいて検証、ご説明しよう。 結論から言うと、日本における自殺率(人口10万人当りの年間自殺者数)と失業率の変化には非常に高い関係性(正の相関)があり、失業率の上昇に伴ってある程度の自殺率の増加は起こり始めている。 しかし統計データが示すその変化は決して「急増」というようなトレンドの変化を示していない。自殺はもとより悲しむべき現象ではあるが、個別事例を逸話的に強調することで過剰な悲観論を煽るメディアの俗流記事に騙されないようにしよう。 次々と飛び出す悲観的記事 例えば今年の4月次のような短いレポートが出て、それに関わったと思われる論者の言説が

                                        新型コロナ不況下の自殺者増、実は「急増」しているわけではない(竹中 正治) @gendai_biz
                                      • コラム:マイナス金利がもたらす「水没世界」=竹中正治氏

                                        [東京 3日] - ケビン・コスナー主演の米SF映画「ウォーターワールド」(1995年)をご存知の方は多いだろう。水没した世界で、人々はわずかに残る水上の空間や陸地を求めてもがき争う。 欧州諸国のマイナス金利に加え、日銀のマイナス金利導入によって10年物前後までマイナス利回りとなった国債市場は、債券投資家にとってさながらこの「水没世界」の到来だろう。その中長期的な効果と影響について考えてみよう。

                                          コラム:マイナス金利がもたらす「水没世界」=竹中正治氏
                                        • コラム:実質GNIが示す日本経済の高成長=竹中正治氏

                                          [東京 3日] - 毎度メディアの報道は国内総生産(GDP)に集中するが、同時に内閣府から公表されている国内総所得(GDI)、国民総所得(GNI)も合わせて見ると、現下の日本経済の順風と回復基調をより鮮明に理解することができる。 結論から言うと、2014年4月の消費税率引き上げ後の短期的な景気低迷から抜け出した日本経済にはGDPの変化で見る以上の順風が吹いており、目下の国内要因には特段の悪材料は見当たらない。海外経済の急変がない限り、景気の回復は中期的に持続するだろう。 行き過ぎた円安の悪影響を懸念する声もある。確かに120円台のドル円相場はインフレ調整後の実質で見ると、1980年代前半のレンジとほぼ同じ程度の円安方向へのオーバーシュートであり、長期的には揺り戻しが必至だろう。しかし後述するように、それが日本の交易条件を目立って悪化させているわけではない。

                                            コラム:実質GNIが示す日本経済の高成長=竹中正治氏
                                          • 日本経済を食い尽くす、医療・福祉への「雇用一極集中」(竹中 正治) @gendai_biz

                                            全く矛盾した2つの「不安」が今の日本を覆っている。 ひとつは少子高齢化で労働力が不足し、経済成長が停滞するという不安だ。もうひとつはAI(人工知能)やロボット化の普及で職が奪われ失業が増えるという不安である。 もちろん、誰にでもわかるように、この2つの不安は論理的に矛盾している。にもかかわらず、広く同時に語られているのは奇妙なことだ。 しかし、どちらが現実には、より深刻かつ長期的な問題であるかといえば、間違いなく労働量の不足による経済成長の制約である。この点で日本経済は、AIやロボット化の普及を躊躇う余裕などなく、むしろ経済的により豊かなステージに上がるために必須の条件である。 雇用の増加と四半世紀ぶりの人手不足 2013年以降の景気回復の持続で、失業率は2.8%(3月)まで下がり、有効求人倍率は1.45倍(3月)といずれもほぼ1990年代初頭まで遡る四半世紀ぶりの人手不足を示している。

                                              日本経済を食い尽くす、医療・福祉への「雇用一極集中」(竹中 正治) @gendai_biz
                                            • コラム:米国債バブル崩壊懸念と日本への波及リスク=竹中正治氏

                                              [東京 21日 ロイター] 米国の10年物国債の利回りが1.6―1.8%程度と歴史的な低位水準にある。このことを米国経済の「日本化(長期低成長化)」の兆候と感じている方もいるようだが、とんでもない勘違いだ。 最大の違いは、インフレ率の相違が生み出す実質金利の違いだ。日本では依然として長期的なデフレ基調が抜けず、消費者物価指数の上昇率はゼロ近傍なので、10年物国債の名目利回りは0.7%と低いが、実質利回りも0.7%前後でプラスだ。つまり、将来転換する可能性は大いにあるが、これまでの日本国債の低利回りはデフレ基調に裏付けられてきた。 ところが、米国では消費者物価指数はリーマンショック後の2009年は一時的に前年比でマイナスになったものの、その後は2%前後で推移している。したがって、名目利回り(1.6―1.8%)からインフレ率を引いた10年物国債の実質利回りはマイナス0.2―0.4%となっている

                                                コラム:米国債バブル崩壊懸念と日本への波及リスク=竹中正治氏
                                              • 意外でしょうが実はこの10年、日本の正規雇用比率は上昇トレンドを辿っています(竹中 正治) @gendai_biz

                                                まず正規雇用労働者(あるいは正社員)とは、雇用期間を定めずに企業(雇用主)と労働契約を結んだ労働者・社員のことだ。その多くはフルタイムであり、解雇規制が強い日本では終身雇用(無期雇用)として受け止められている。 正規雇用労働者以外の形態は多様で、パートやアルバイト、派遣社員や契約社員、臨時社員や嘱託社員、業務委託契約などに基づく雇用等は、非正規雇用労働者としてまとめられている。パートやアルバイトは、文字通りパートタイムの就業であるが、フルタイムの形態もある。 実はこうしたカテゴリー分けは日本独自のものだ。例えば米国ではフルタイムとパートタイムの区別はあるが、日本の正規・非正規に準じたカテゴリーはない。日本と違い米国では経営判断による解雇が比較的自由なので、日本のように事実上の終身雇用かそうでないかの区別は無意味だ。

                                                  意外でしょうが実はこの10年、日本の正規雇用比率は上昇トレンドを辿っています(竹中 正治) @gendai_biz
                                                • コラム:株高の背後で不均衡拡大、逆ワッセナー合意の出番=竹中正治氏

                                                  [東京 21日] - 日本の株価は11月9日に高値を付けた後、やや調整局面入りした感もあるが、1996年以来の高値圏にある。実体経済も雇用増と人手不足が顕著で、昨年来の海外景気の持ち直しを受けて輸出の伸びが順風となり、今年から来年にかけて実質国内総生産(GDP)で年率平均1.5%前後の成長が持続するのではないかと思う。 しかし、それでも賃金の伸び率が鈍いことが消費と物価の基調に濃い影を落としている。おそらく2018年を通じても消費者物価指数(CPI)で2%の政策目標には届かず、財政についてはプライマリー・バランスの均衡という目標も先送りされている。 このままでは次回の景気後退に直面した時に採り得る金融、財政面の政策手段が非常に限られることが心配の種だ。2012年12月から数えて景気回復が59カ月となり、戦後2番目の長さになるにもかかわらず、低インフレ、低い賃金伸び率、財政赤字が執拗(しつよ

                                                    コラム:株高の背後で不均衡拡大、逆ワッセナー合意の出番=竹中正治氏
                                                  • 「マネタリーベースを増加させれば円安になる?」ソロスチャートって正しいの?(竹中 正治) - 個人 - Yahoo!ニュース

                                                    本日4月6日の日経新聞朝刊に「円安効果を強く意識 企業心理好転に狙い」のタイトルで滝田洋一編集委員が、ドル円相場に関するソロスチャートを引用して、次のように述べている。 引用:「日米で出回るおカネの量の比率を計算し、日本の円が(ドルよりも)余計に増えれば円安、反対に米国のドルの方が増えればドル安となる――。為替相場を2つの国の通貨の流通量から読む手法は、投資家のジョージ・ソロス氏が愛用したことから「ソロス・チャート」と呼ばれる。」 「回答はマネタリーベースと呼ばれるおカネの量を、毎年60兆~70兆円増やす緩和策。ソロス・チャートからはじいた円の適正相場は1年先に1ドル=95円、2014年末には105~110円となる。牧野潤一SMBC日興証券チーフエコノミストはそんな試算を示す。」 マネタリーベースとは、今回、黒田日銀総裁が「倍増させる」として金融政策の操作目標にしたもので、日銀券の総発行残

                                                    • コラム:中国バブルの「ミンスキーモーメント」=竹中正治氏

                                                      1月25日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、中国はかつての日米のバブル同様、「ミンスキーモーメント」を迎えており、過剰債務調整が本格化すれば、未曽有の過酷かつ長期的プロセスが予想されると分析。提供写真(2016年 ロイター) [東京 25日] - 前回のコラム「新興国通貨の対ドル下落はまだ序の口」で、中国をはじめ主要な新興国が2000年代以降、債務を急増させたことを取り上げた。とりわけ天然資源輸出国やドル建て債務比率の大きな国の通貨が対ドルで大幅下落し、その基調がまだ続く見通しを述べた。

                                                        コラム:中国バブルの「ミンスキーモーメント」=竹中正治氏
                                                      • リーマン級の株価下落で、公的年金の評価損は「40兆円」を超える(竹中 正治) @moneygendai

                                                        株式運用は博打ではない 昨年末の日米を含む世界的な株価急落後、円相場はやや遅れてやはり円高に動いた。株価はその後やや持ち直し、小康状態となっている。 先に当サイト、「米国『景気後退』が始まると…円高・株安再来の足音が聞こえてきた」(2018年12月20日)で書いた通り、最終的には2020年頃に米国が景気後退に入ると私は予想している。今後は世界経済全体の減速に連れて企業業績の下方修正が続き、日米欧の株価は多少の戻りを伴いつつも中期トレンドは下落になるだろう。 株価の下落は個人、法人投資家全てにとって嬉しいことではないが、とりわけGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)にとっては、日本国債の保有比率の引き下げと内外株式比率の引き上げという、ポートフォリオの内訳変更をした2014年度以降で、次の景気後退は初めてのものになる。 公的年金資金という超長期の運用のパフォーマンスを四半期や単年度の成績

                                                          リーマン級の株価下落で、公的年金の評価損は「40兆円」を超える(竹中 正治) @moneygendai
                                                        • 2020東京オリンピックの経済効果に過大な期待は禁物(竹中 正治) - 個人 - Yahoo!ニュース

                                                          2020年のオリンピックが東京で開催されるニュースは、私も8日午前5時に起きて生放送で見た。会場で踊り上がり、抱き合って喜ぶ関係者方の姿を見て、思わず私も「やったね~!」と叫び、拍手した。 開催を喜ぶ一方で、東京オリンピック開催の掲載効果で「景気回復が加速する」「株も不動産価格もオリンピックに向けて一段高になる」などの論調が横行し始めた。 この点については、クールな判断が必要だ。新興国のオリンピックで、経済効果が大きく誘発されるたのは事実だ。1964年の東京オリンピックも、当時の日本は戦後復興を経たばかりの一種の新興国だった。オリンピックに向けて首都高速や東海道新幹線が建設され、競技場の建築物もことごとく新規に建設され、東京中が建設ラッシュに沸いた。 しかしロンドンにしろアメリカの都市にしろ、成熟した先進国でのオリンピックは、多少の新設はあるものの、多くは既存の建造物を使用して行なわれる。

                                                          • 米国「景気後退」が始まると…円高・株安再来の足音が聞こえてきた(竹中 正治) | マネー現代 | 講談社(1/3)

                                                            日米ともに株価がやや乱高下気味の状況下、ドル円相場は1ドル=112~113円台で小動きにとどまっている。2019~2020年を展望して次の大きな為替の相場変動は円安だろうか、それとも円高だろうか。 筆者は10円幅かそれ以上の次の大きな動きは円高であり、日本株も円高に連動して下落し、日経平均で2万円割れの下げとなる公算が高いと考えている。その理由をご説明しよう。 円相場と株価はなぜ連動するのか 図1には日本の株価指数TOPIXと米国の株価指数S&P500、そしてTOPIXをS&P500で割った倍率(TOPIX/S&P500、以下「日米株価倍率」と呼ぶ)を、それぞれ2005年1月を100とした指数にして表示し、さらにドル円相場を重ねてある。 長期で見るとS&P500の上昇率の方が高いので日米株価倍率は下がっているが、ここでのポイントはドル円相場との関係性である。 日米株価倍率とドル円相場の関係

                                                              米国「景気後退」が始まると…円高・株安再来の足音が聞こえてきた(竹中 正治) | マネー現代 | 講談社(1/3)
                                                            • コラム:人民元国際化に政治の壁、通貨危機リスクも=竹中正治氏

                                                              [東京 26日 ロイター] 中国人民元の国際通貨としての台頭については、このフォーラムでも斉藤洋二氏、加藤隆俊氏が慎重ながらも将来的にその現実性は十分あると述べられている。 こうした比較的慎重な意見の一方で、「国内総生産(GDP)で日本を抜いて世界第二の経済大国になったのだから、人民元のプレゼンスが国際通貨として高まるのは自然」といった論調も中国内外で横行しているようだが、それは実に危うい俗論だ。 国際通貨化のプロセスは必然的に中国国内の経済・金融にまたがる既得権益のほぼ解体的な再編を意味するものであり、本気でそれを実現するならば「第二の革命」とでも呼ぶべき、高い政治的なハードルを乗り越える必要がある。その過程において政治体制の不安定化や、制度・政策の不整合を原因にした金融危機的な状況すら起こり得ることを指摘しておこう。

                                                                コラム:人民元国際化に政治の壁、通貨危機リスクも=竹中正治氏
                                                              • コラム:米経済は尻上がりに改善、ドル再び100円も=竹中正治氏

                                                                世界の投資マネーは乱気流局面に入っているようだ。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)は経済成長率が低下し、株価動向も冴えない。とりわけ中国は官民の各層で膨張した不良・不稼働資産と過剰債務の両建ての累積に苦しむことになるだろう。 ユーロ圏は不況で失業率が上昇トレンドを辿っている。日本は実体経済の回復が持続しているが、株価と円相場が不安定だ。こうしたなか、実体経済の回復と資産価格(株価と住宅)の上昇基調が唯一続いているのが米国である。 おそらく来年にかけて米国経済は尻上がりに良くなる。そうした変化を反映して、19日の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文とバーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見では、「経済活動が穏やかに改善している」というこれまでの基調判断に「景気と労働市場の下振れリスクは昨年秋以降減少してきた」との一文が加わった。

                                                                  コラム:米経済は尻上がりに改善、ドル再び100円も=竹中正治氏
                                                                • コラム:米株は割高か、「シラーPER」の軽視は禁物=竹中正治氏

                                                                  2月19日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、株価の割高・割安を測る指標である「シラーPER」について、その限界性に配慮して使用するなら、長期的な投資判断の参考になると指摘。提供写真(2015年 ロイター) [東京 19日] - リーマンショックで戦後最大の景気後退となった2009年以降、筆者は米国の実体経済の回復と株価動向について長期楽観のスタンスをとってきた。しかし、実体経済面で大きな問題がなくとも、大小の様々な波乱が起こり得るのが株式相場というものだ。 高値を更新し続けてきた米国株価については、1―2年前から「割高だ。バブルだ」「いや問題ない」などブル対ベアーの議論が展開されてきた。米国株式は変動性が大きいものの「バイ&ホールド」の長期保有が報われるので筆者自身は原則保有継続のスタンスだが、リーマンショック後のような割安感はすでになくなっている。

                                                                    コラム:米株は割高か、「シラーPER」の軽視は禁物=竹中正治氏
                                                                  • コラム:トランプ相場はまだ序章、大減税の衝撃=竹中正治氏

                                                                    [東京 21日] - ドナルド・トランプ氏は市場の一般的な予想を2度ひっくり返した。言うまでもなく、1度目は共和党候補として臨んだ米大統領選での勝利自体が大半の政治アナリストの予想に反するものだったことだ。 2度目は、その過激な保護主義的発言のためにトランプ氏勝利の場合は、円高、日本株下落になると大半の市場エコノミストが予想していたが、円買い・日本株売りの動きは選挙明けの1日で終わり、2日目からは急速な円安・ドル高と日本株買いの動きに転じたことだ。米国の株価は選挙明け後も目立った下げはなく、じり高の展開となった。とりわけ銀行株の上げが目立つ。

                                                                      コラム:トランプ相場はまだ序章、大減税の衝撃=竹中正治氏
                                                                    • コラム:トランプノミクスと日本の蜜月が終わる時=竹中正治氏

                                                                      12月21日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、トランプ氏の経済政策と日本経済の蜜月は最長で2―3年程度、早ければ1年前後で終焉し、再び円高・株安に大きく振れるリスクが高いと分析。提供写真(2016年 ロイター) [東京 21日] - 11月9日から始まった「トランプ相場」は、2017年以降の米国景気の上振れ期待を背景に、長期金利高、ドル高、株高(特に金融銘柄の高騰)の三拍子で急速に進んでいる。大統領選挙前に支配的だった悲観予想を裏切り、このトランプ相場で現在一番順風を受けているのは日本の金融経済情勢だろう。 ドル高・円安への反転は、いったんピークアウトした日本の企業収益のリバウンド期待に火を付けたようだ。日本株の大規模な売り越しで動いていた海外投資家層はショートカバー的な買い戻しに転じ、日経平均は1万9000円台を回復した。円高による物価下落効果も一転し、円安・物価上昇に転換するだろう。

                                                                        コラム:トランプノミクスと日本の蜜月が終わる時=竹中正治氏
                                                                      • Amazon.co.jp: 今こそ知りたい資産運用のセオリー: 竹中正治: 本

                                                                          Amazon.co.jp: 今こそ知りたい資産運用のセオリー: 竹中正治: 本
                                                                        • コラム:REIT高騰に続くか、マンション投資の鉄則=竹中正治氏

                                                                          3月以降のREIT相場は賃料収入との比較、予定配当利回り、あるいはP/NAV指標(投資口価格/1口当たりの純資産額)など、いずれの指標でみても、ますます割高になっており、その割高度は2007年の前回ピーク時に匹敵するか、それ以上だ。 一方で、個別の商業ビルやマンションなどの現物の不動産物件の価格は、統計データで見る限り昨年の水準と比較して今のところ目立った上昇は示していない。たとえば、東京都区部の中古マンション価格指数(IPD・リクルート住宅価格指数)は12年12月時点で底を打ったものの、13年2月時点では底値から0.2%の上昇にとどまっている。オフィスビルでは一目でわかる適当な指数がないが、各種不動産レポートを読む限り概ね同様の状態だ。

                                                                            コラム:REIT高騰に続くか、マンション投資の鉄則=竹中正治氏
                                                                          • コラム:次の米景気後退と株価下落余地を考える=竹中正治氏

                                                                            [東京 10日] - 2017年暮れの米国連邦議会での減税法案可決を受け、2018年の米国の実質国内総生産(GDP)成長率を上方修正する動きが続いている。 私は2018年の実質成長率は2.5―3.0%になるだろうとイメージしている(2000―16年の平均は2.0%)。株価が2017年末時点で減税による企業利益の押し上げ効果をどの程度織り込んでいるかについてはなんとも言えないが、おそらく株価もまだ高値更新を続けるだろう。 しかし、大局観としては2009年を底にした米国の景気回復はいよいよ「成熟局面」に入ったと言えるだろう。長期投資の要諦は「陽(陰)の時に陰(陽)の兆しを見る」である。米国の次の景気後退は、トランプ政権の後半である2019―20年のどこかで始まると、これまで大づかみに考えてきた。

                                                                              コラム:次の米景気後退と株価下落余地を考える=竹中正治氏
                                                                            • コラム:この先のドル買いはハイリスク・ローリターン=竹中正治氏

                                                                              5月22日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、ドル資産を保有する日本の長期投資家にとってはドル売りヘッジのタイミングを考える局面に移行したと指摘。提供写真(2013年 ロイター) アベノミクスと量的・質的金融緩和(黒田バズーカ)で円高修正、円安相場に転換したことは、「デフレからインフレへの転換」という市場参加者の期待の変化によるものであることに疑いはない。しかし、100円台にのったドル円相場はどれほど先行きの日本のインフレ率を織り込んでいるのだろうか。 結論から言うと、100円台前半のドル円相場は消費者物価指数(総合)で前年比2%、企業物価指数で同7%台のインフレをすでに織り込んでいると推計できる。これは2008年9月のリーマンショック直前に、国際商品市況の高騰などを背景に一時的にインフレが進んだ時の水準とほぼ同じである。逆に言うと、今後2年間ほどでそうしたインフレ率の実現が日本で見えてこ

                                                                                コラム:この先のドル買いはハイリスク・ローリターン=竹中正治氏
                                                                              • コラム:マンション価格上昇続くか、割高・割安の見抜き方=竹中正治氏

                                                                                3月6日、龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、マンションを中心とする不動産価格上昇が今後も持続するかどうかは、賃料の上昇、さらにはそれを可能にする賃金増加の実現にかかっていると指摘。提供写真(2014年 ロイター) 2013年のマンション市場は新築・中古ともに販売件数が増加、価格も顕著に上昇した。不動産経済研究所によれば、全国の新築マンション販売数は前年比12.2%増加、価格も9.2%の上昇となった。地域別販売数では首都圏が23.8%増と突出している。 首都圏に絞って中古マンション市況を見ると、今年1月の時点で成約件数は17カ月連続で前年同月を上回り、価格は平米単価で前年同月比4.5%上昇した。都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)について平米単価を見ると、13年11月―14年1月は8.9%もの上昇となっている(いずれも公益財団法人東日本不動産流通機構のデータ)。

                                                                                  コラム:マンション価格上昇続くか、割高・割安の見抜き方=竹中正治氏
                                                                                • コラム:米国の対外純負債拡大、実はドル安定化要因=竹中正治氏

                                                                                  7月17日、龍谷大学の竹中正治教授は、ドル危機論者の根拠となっている米国の対外純負債増加について、むしろドルシステムの安定化要因が働いていると理解すべきだと説く。提供写真(2012年 ロイター)。 [東京 17日 ロイター] 2011年12月末時点の米国の対外純負債(対外資産と負債の差額)が、1年前に比べて急拡大していることにお気づきだろうか。このデータを見て「ドル危機」の潜在的なリスクの上昇を強調する論者もいるが、筆者はむしろドルシステムの安定化要因が働いていると理解している。 米商務省が6月26日に公表した統計データ(International Investment Position)によれば、2011年末時点の米国の対外純負債は2010年末から1.5兆ドルも拡大し4兆ドルになった(資産は20.3兆ドルから21.1兆ドルに、負債は22.8兆ドルから25.1兆ドルに増加)。 対外純資産は

                                                                                    コラム:米国の対外純負債拡大、実はドル安定化要因=竹中正治氏