2024年大河ドラマ「光る君へ」の主人公・紫式部と藤原道長。貧しい学者の娘はなぜ世界最高峰の文学作品を執筆できたのか。古記録をもとに平安時代の実像に迫ってきた倉本一宏氏が、2人のリアルな生涯をたどる! *倉本氏による連載は、今後月1、2回程度公開の予定です。 平安貴族が主人公 いよいよNHKの大河ドラマとしてはじめて平安貴族を主人公とした「光る君へ」が始まる。合戦や殺人が(ほとんど)描かれない平和で雅なドラマが一年間続くことは、残虐なシーンに辟易していた身にとっては、ありがたいことであると同時に、平安時代に対する世間の誤解も、少しは解消していただくチャンスであると考えている。 私も時代考証を仰せつかっているので、ここではドラマ自体への論評や感想には言及しないこととする。ドラマはあくまで、大石静さんの脚本に基づき、内田ゆきさんをはじめとするスタッフの懸命な努力、俳優陣