「最初の記憶は小学校の移動教室のとき。ハッと目が覚めて、周りを見渡すと誰もいなくて。みんな別の教室に移動していたんです。小学生がそんなふうに昼間に寝ちゃうのって、ありえないですよね」 こう振り返るのは、ナルコレプシー患者で理学療法士の川崎俊さん(28歳)。中学生のとき、毎日起こる強い昼間の眠気を心配した両親とともに、東京都内の専門クリニックを受診。そこでナルコレプシーと診断された。 ナルコレプシーとは過眠症の1つで、「居眠り病」とも呼ばれる。日中の耐えがたい眠気を特徴とする中枢神経系の神経疾患だ。日本人の有病率は600人に1人。海外に比べて高く、10代で発症する例が多い。原因は、オレキシンという脳内で覚醒を維持するために必要な神経伝達物質の減少だ。 夜しっかり睡眠をとっていても昼間眠くなる 「中核となる症状は『昼間の強い眠気』と、『情動脱力発作(カタプレキシー)』です」 こう解説するのは、