ラグビー日本代表からプロレスラーへ 阿修羅・原を知っているか。没後4年、享年68、そう書き出してもおかしくはないだろう。それはそれはタフなプロレスラーだった。作家の野坂昭如の命名である「阿修羅」の字の並びが精悍にして剛毅な風貌にふさわしかった。1994年にリングから退いた。 原進を知っているか。こちらは、はっきりとそう記そう。ずいぶん昔の英雄なのだから。いろいろあってプロレスの世界へ去るまで、長崎の諫早に生まれた頑健な人物は日本代表のラグビー選手であった。ポジションはスクラム最前線のプロップである。1976年秋、ふいにグラウンドに別れを告げた。 怪力。なのに俊足。そして辛抱強かった。キャリアのハイライトは、1971年9月、あのイングランド戦である。24日の大阪・花園での初戦は19−27。4日後の東京・秩父宮における再戦はともにノートライの3−6。史上初めて強豪国とぶつかったジャパンの大善戦