カロリーベース食料自給率はインチキだ、騙されるな、という言論が最近目立つ。この指摘は妥当な面と、欠落している部分とがある。その点について言語化を試みてみたい。 まず、妥当と思われる面について。 私もカロリーベース「自給率」という計算方法は問題があると考えている。完全鎖国しさえすれば、国民が大量に餓死したとしても自給率は100%になるからだ。これでは自給率100%を達成していても食料安全保障の観点から言えば、何の意味もない。 食糧安全保障の観点なら、より望ましいのはカロリーベース食料「自給力」だろう。国民1人あたり1日に2500キロカロリーの食事が必要として、それに日本の国民数を掛け算した量のカロリーを、国内生産でどれだけ補えるか、という数字。 自給力の場合、もし完全鎖国して国民の3割しか養えない食料しか国内で作れないなら、自給力は30%ということになる。もし自給力が120%なら、2割を海外