クリント・イーストウッド監督『真夜中のサバナ』 97年、イーストウッドは監督として 『目撃』と『真夜中のサバナ』 という2本の映画を世に送り出した。 どちらも「超」の付くくらいの傑作であり、 まったく違う味わいを持った映画である。 少し乱暴な言い方をすれば、 『目撃』は、 イーストウッドの出自がB級アクション映画の系譜 にあったことを久しぶりに思い出させてくれる作品だが、 『真夜中のサバナ』を観ると、 イーストウッドがあくまでB級から出発しながらも、 いつからか完全にA級作家へと変貌を遂げたことが ありありとわかるといった次第だ。 それは『目撃』という映画の評価 を決しておとしめるものではないし、 私自身、あちらも折に触れて好んで観る映画ではあるが、 ここ数年は『目撃』より『真夜中のサバナ』の方が はるかに好きである。 もう10回以上観ているが、 私はこの『真夜中のサバナ』という映画の魅力