ピィイィイ!! 「プレイ!」 第7ゲームの開始。真子のサービスからスタート。安定したトス。見本のようなフォームでサーブを放つ。だが、 「くっ!」 「ラヴ・15!」 ポイントを手にしたのは実。それもリターンエース。どうしても打ち返せない。真子は自身に苛立ちを覚える。しかし諦めず次の手を思考。だが思い浮かばない。そう、本当は解っているのだ。自分は打ち返す気なんてないのだ、と。 「くっ!」 「ラヴ・30!」 真子が最も苦手なもの。それは努力や根性。理由は暑苦しいから。性に合わないから。だから真子は絶対に熱くならない。何事も中途半端にこなしてきた。でも、真子はそれを破ろうとした。だからだろう。こんなにも身体が重いのは。こんなにも辛いのは。 なら、終わりにしたい。 そして、真子はいつものように考えた。嫌な事からは逃げ出せばいい、と。 「ふっ!」 球を放つ真子。相変わらずの奇麗なフォーム。だが瞳はやる