ポジショナリティをめぐる深刻な齟齬や係争──抑圧が再生産される構造を問う議論が個人的なアイデンティティや選択を問題にされていると取られるような──はなぜ,どのように起こるのか。本書はポジショナリティについて,社会学,とくにコロニアリズム研究とジェンダー研究の領域を念頭に,その概念と諸論点を検討するものである。 はじめに 第一章 ポジショナリティの射程 1 ポジショナリティをめぐる齟齬と係争 2 ポジショナリティが焦点化する領域 3 ポジショナリティの事実性 4 ポジショナリティと価値自由 5 ポジショナリティの位置づけ 第二章 ポジショナリティの系譜(1)──ジェンダーを基点として 1 ポジショナリティ論の系譜(1)──ジェンダーとインターセクショナリティ 2 インターセクショナリティ文脈の日本での受容と展開 3 ポジショナリティ論の系譜(2)──インターセクショナリティと責任 第三章 ポ