デジタルツールの発展でグラフィックデザイナーが動画を制作することはごく自然の風景となった。だが、それらのツールが提供するシームレスさは、グラフィックと映像それぞれのメディア性の本質や、両者の横断によって見えてくるものからデザイナーを遠ざけている。グラフィックにおける時間的側面、あるいは映像におけるグラフィック的側面について、グラフィックと時間のあいだで活動を続ける岡崎智弘が考える。 ◉グラフィックデザインと時間 この10年ほどグラフィックデザインと映像デザインが交叉する領域に向き合ってきた。そのあいだに取り組んできたコマ撮りによるデザインの実践から、自分の目と身体で得た経験を軸に、いくつかの「時間」を手掛かりとしたグラフィックデザインとその周辺について、この機会に私なりに書いてみたいと思う。 まず、私が二つの領域を往復するようになった背景についてふれておきたい。私はもともと映像表現に興味を