「オルタナティブ・ファクト」(代替的事実)、「ポスト真実の政治」という言葉が世界を席巻する時代、私たちは自国の歴史とどう向き合うべきなのか? 新著『街場の成熟論』が話題の内田樹氏が語る、今こそ司馬遼太郎から得るべき学びとは。 朝鮮人虐殺は公文書で確定されている歴史的事実 ――関東大震災から100年をむかえた本年、朝鮮人虐殺について松野官房長官が「政府内で事実関係を把握できる記録が見当たらない」と発表したことに衝撃を受けました。 内田 官房長官の発言は、小池都知事の追悼文送付拒否と並んで、「オルタナティブ・ファクトの時代」を典型的に象徴するものだと思います。 小池都知事は虐殺犠牲者を悼む式典への追悼文を2017年以降送っていませんが、その理由を問われて、「何が明白な事実かについては、歴史家がひもとくものだ」「様々な見方がある」という言い方をして、歴史に向き合うことの政治責任を放棄していますが
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