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ブックマーク / shinta2155.hatenablog.com (3)

  • ドン・デリーロ「ボディ・アーティスト」 ー わかりにくいけれど異様に美しい - 読書感想ブログ 太宰だけが好きだった

    彼は言った。「月光を意味する単語は月光」これを聞いて彼女は嬉しくなった。それは論理的に複雑で、奇妙に感動的であり、循環的な美と真理をもっていた。ーあるいは、循環的というよりも最大限に直線的なのかもしれない。 この小説は訳がわからない。もしくは単純なのかもしれない。ある女性が夫を失い、その理由が自殺で、喪失感のなか、ある日、家に見知らぬ男がいることに気がつく。男は死んだ夫の声で話す。女性の声でも話す。でも基的に、文法的な意味をなす会話はできない(例外は一つだけある。その例外は重要な意味を持っているように感じる)。時制も存在しない。「月光を意味する単語は月光」などと言う。女性は見知らぬ男に執着するようになる。読んでいる側には、そもそもその見知らぬ男が実在するのかどうかさえはっきりしない。女性が狂っているだけの可能性すらある。ほとんど動きのない、女性と見知らぬ男とのやりとりと周りの風景だけを描

    ドン・デリーロ「ボディ・アーティスト」 ー わかりにくいけれど異様に美しい - 読書感想ブログ 太宰だけが好きだった
  • トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」 ー 難解 - 読書感想ブログ 太宰だけが好きだった

    アメリカの現代作家を代表する存在として、ドン・デリーロ、コーマック・マッカーシーと並んで称されることの多いトマス・ピンチョンですが、その文章の長大であること、難解であることも同様に有名であると思います。今回読んだ「競売ナンバー49の叫び」も、この作者の中では比較的読みやすいとされているようです。「この作者の中では」と言えるでしょう。 競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫) 作者: トマス・ピンチョン,志村正雄 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2010/04/07 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 63回 この商品を含むブログ (45件) を見る ストーリーは主人公であるエディパ・マースがかつての恋人であり富豪であったピアス・インヴェラリティという人物の遺産管理執行人に指定されるところから始まります。主人公はこの富豪が拠地にしていた街に赴いて、なぜ自分が指定されたのかも釈

    トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」 ー 難解 - 読書感想ブログ 太宰だけが好きだった
  • オルダス・ハクスリー「すばらしい新世界」 ー ディストピアの古典、古典と知らずに読んで面白い - 読書感想ブログ 太宰だけが好きだった

    ディストピア小説の古典であるオルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」を読みました。読み終わるまで、古典だということも、そもそもディストピア小説の正確な定義さえ知らなかったのですが。 ディストピア - Wikipedia 一般的には、SFなどで空想的な未来として描かれる、否定的で反ユートピアの要素を持つ社会という着想で、その内容は政治的・社会的な様々な課題を背景としている場合が多い。 書かれたのは、ディストピアものの重要な古典である、ジョージ・オーウェルの「1984」よりさらに前、1932年だということです。読んでいる最中に、そんなに古いだと感じることはないと思います。古くなってない。 すばらしい新世界〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫) 作者: オルダス・ハクスリー,水戸部功,大森望 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/01/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見

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