『愛の渇き』を献本されて読み、「あんな女がいるのかしらね」と私が云うと、「当たり前だろ、悦子は男だよ。正樹だってあの三郎みたいな素朴で無知な身体 、欲しいに決まっている」と、ぬけぬけと言った。 『ユリイカ』の2007年12月臨時増刊号「総特集BLスタディーズ」に載った石田仁の二つ目の論文、「『ほっといてください』という表明をめぐって やおい/BLの自律性と表象の横奪」[石田2と表記し、最初の論文は、以下、石田1とする]で、石田は〈表象の横奪〉(appropriation of representation)という概念を導入する。そして、腐女子は、ゲイ男性という〈他者〉を表象し、これはファンタジーだから現実のゲイには関係ない、だからほっといてくださいと言うが、やおい/BLが「ホモ/ゲイ」という言葉を使っている以上、それは現実のゲイを「すでに・つねに参照している」、ゆえに「『やおい/BLはファ