2006年7月23日放映のNHKスペシャル「ワーキングプア――働いても働いても豊かになれない」を見た。 「フリーター漂流」では、非正規雇用という貧困をうみだす根源へと迫ったが、今回はこの非正規雇用の問題もふまえたうえで、地域や自営業の衰退、社会保障の貧弱さ、貧困の世代をこえた再生産、「希望格差」など、日本社会の全体像へと広がっていった。 ちなみに「ワーキングプア」とは、「働く貧困層」の意味で、もともとはアメリカで広がっている事態を説明する概念である。 ここでは、「働いているのに生活保護水準以下という人」を指す言葉として使われており、全国で400万世帯とも、それ以上ともいわれている。日本の全世帯の10分の1である。番組では紹介がなかったが、平均世帯人数(1世帯2.36人)で掛けても、1000万人前後がこのような生活を強いられているということになる。 「フリーター漂流」の果てに まず最初に、3
前回は、私が養護施設に入ったというところまで書きました。ワーキング・プアとからめていえば、そもそも母子家庭という状況自体が、いくら働いても豊かにならないという可能性を秘めていたのだともいえましょう。現在のような母子家庭に対する行政の保護措置が、当時(33年前)はほとんどありませんでしたし。 いまはどうなのでしょう。母子家庭だからといって、ワーキング・プアになるとはけっしてかぎらないということを、多くのシングル・マザーが証明してくれているような気がします。私の知人でいえば、内藤みかさんもそうだし、くらたまさんだってそうですよね。 とはいえ、そういうパワフルなシングル・マザーばかりがいるわけでなく、自分の能力を発揮できない場所で働いていたり、思うように稼げなかったり、子育てと仕事の両立に疲れているシングル・マザーもたくさんいるのだと思います。そういう方は、やはりワーキング・プアそのものか、その
いつも読ませて頂いてるクリスチナさんやeireneさんが「ワーキング・プア」について取り上げていらした。 格差社会の実像ってな番組をNHKでやったらしい。 ○かとりっくせいかつ。 http://d.hatena.ne.jp/Christina/20060724 格差社会について ○eirene http://d.hatena.ne.jp/eirene/20060725/p1 ■[思想]NHKスペシャル・ワーキングプアの感想 はてなポインツを恵んでもらうようなプアでパラサイトで下流なわたくし的には気になる番組ですが、うっかり見そびれました。替わりに鬱の番組を見てしまいました。 お二人の、或いはご紹介くださっているリンク先のブログ等を読んで、うむむむむ。と。なんせビンボーを開き直って愉しむなんてディケンズなんぞ読んでいましたが、「世紀末のビクトリア朝末期ってひでぇのな。」などと客観的に言ってる
昨日、格差社会のことに触れてみました。 生活保護について、羨ましいかも的なことも書きましたがよく考えたら、この生活保護の料金設定って困窮する人に対し最低限これだけは必要だよねという料金設定ですよね。 昨日のエントリの人は別に生活保護を受けること事態をおかしいと言ってるわけではなく、ただやむをえない環境の中で「自立できない俺」を嘆いていただけなんだけど、そういう人が増えていて少子化すら招いているわけだけど、まぁそれはおいておいて。例えば母子家庭の生活保護料金なんか実際にはその料金設定で家賃とか、教育費払ったらナニも残らないし、障害者年金なども医療費とか家賃とか様々な不利から来る経費なんか引くとやっぱり残らない。ほんとにぎりぎりな値段設定だと思う。 弱者への保護ってのは社会共同体として当たり前なんだけど。なんだかそれをうらやんだり、ずるいなんていう人までいて、その性で弱者パッシングがおきてる。
前回もそうだったが、今回も「国家の品格」の本の感想そのものというより、このベストセラー本に便乗して、単に自分の考えを述べようと思う。 本の中で、最近はやりの「格差社会」についても触れられている。年功序列、終身雇用のやさしい世の中に戻るべきだ、という主張だと私には読めた。まぁそりゃー、できるならそうしたい、と思っている人は特に中高年層には多いだろうし、だからこれも耳に優しい論だけれど、そんなこと今更不可能だ。これは、別に小泉首相だけのせいじゃない。 行政の福祉というのは、下記エントリーにあるように、いつの時代も不完全。それが当たり前だ。日本でそれを今まで補ってきたのは、大企業なら終身雇用で窓際族とか社内失業者とかも抱え込むやり方、中小企業なら「系列」とか「談合」とかで大企業や税金から利益を補填してもらうやり方、過疎地ならば「補助金」で無駄な工事をもらってくるやり方、などなど、「会社社会主義」
2006年07月26日01:55 カテゴリTaxpayer Silent, not Violent, Poverty 先ほど再放送を見終わった。 NHKスペシャル 今、日本では、「ワーキングプア」と呼ばれる“働く貧困層”が急激に拡大している。ワーキングプアとは、働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない人たちだ。生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯のおよそ10分の1。400万世帯とも、それ以上とも言われている。 一つどうしても理解できないことがある。 なぜ彼らは社会を敵と見なして攻撃しないか、だ。 NHKが「ワーキングプア」と呼ぶ彼らは、自苦には飽き足らず、静かに自滅を望んでいるようにすら見えてしまう。 社会が自分の見方でないなら、それを敵と見なし攻撃する。 その善悪はさておき、世界を見ればそれこそが「普通」の反応だ。デモからテロまで、その反応はさまざまで、その反応の結果が
こちらが評判になっていたので読みました。 ●分裂勘違い君劇場グループ - 劇場管理人のコメント - 漫然とハードワークし続けるのは努力なんかじゃない (http://fromdusktildawn.g.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20060724/1153746266) トライアル&エラーかー。 (以下、引用はすべてリンク先から) ワーキングプアが構造的な問題だとしたら、「努力したか・しないか」は関係ないって話になる。 最初から梯子はずされてるんだから。 で、番組としては そういう社会構造があるんじゃないの? 梯子が用意されてないんじゃないの? あたりをテーマとしているように見える。 だったら、彼らががんばっている様子を映像にしてよ。 努力している様子を映像にしてよ。 努力してるところを映像として出しても意味がない。ぜんぜんない。 なぜか? そんなのは映像でい
労働と格差社会 NHKのワーキングプア特集に関連するエントリの要旨をまとめた。まず、この件でもっともブックマーク数が多いのは、分裂勘違い君劇場、fromdusktildawn氏のエントリだ。 漫然とハードワークし続けるのは努力なんかじゃない NHKのワーキングプア特集に出てくる人たちには調査・分析・戦略立案などの「努力」が欠けている。 このエントリを書いた翌日、fromdusktildawn氏は例によって自分で自分のエントリにツッコミを入れる文章を書いた。 ワーキングプア以下のどん底からはい上がる人たち NHKが特集したインドの働く子供たちは教育が受けられない環境にも関わらず知恵を絞って頑張っている。 NHKの姿勢に対する肯定と否定という意味ではカウンター記事になっているが、現代日本人に対する労働観という意味ではカウンターにはなっていない。カウンター記事と言えるのはこちら。 ハードワークし
■ワーキングプア ビデオに録りつつ最後のほう30分くらい見た。事例としてはガソリンスタンドでバイトしているお父さんと養護施設の子どもと雑誌拾いで生活している若者のあたり。 とりあえず誰かあのお父さんに奨学金制度のことを教えてあげたらよいと思った。そしたら少しはマシかも…バイト4つも掛け持ちしたら過労で倒れてしまいそうだよ。でも今って、塾とか行かないといい成績を保っていい大学に行くのも難しいっていうよね。 雑誌拾いの若者(といってももう30過ぎだ)が小学校時代に書いた「将来の夢」のところを見て悲しくなった。 アルバイトお父さんの息子も弁護士になりたかったと言っていた(家の事情を考えて中1とか小6で夢を諦めようとする子どもたち)。 子どもの頃は皆無邪気に、スポーツ選手になりたいとか医者になりたいとか弁護士になりたいとかピアノの先生になりたいとか書く。そこは希望に溢れている。 もちろん子どもの頃
アメリカは貧富の差が大きい社会です。セントルイスのワシントン大学にいたとき、ある学生が「自動車の中に貴重なものを置いておかないように」と忠告されました。盗難が非常に多いからということでした。それに関して友人のドイツ人で日本文学を教えていた学者が「これくらい貧富の差があれば、誰も乗っていない自動車の中に貴重品があれば盗んで当然で、罪の意識は感じないだろうね」と言っていたのを鮮明に覚えています。アメリカ社会は豊かな社会で、金持ちにとってとても住みやすい社会です。しかし、自動車も買えない貧困層にとってまるで地獄のような社会かも知れません。競争社会は、強者はより強く、弱者はますます弱くなる社会なのでしょう。アメリカ社会のことを「勝者がすべてを手にする社会(Winners take all)」といいます。そのアメリカで最悪の仕事は何でしょうか。アメリカのジャーナリストのLiza Feathersto
「アメリカで最悪の仕事トップ10」は、本ブログの中で最高のヒット件数を記録し、何人かの読者から非常に面白いという評価をいただきました。日本人にとってアメリカ社会はなかなか理解しにくい社会です。ちょうど「群盲、象を撫でる」がごとして、それぞれが自分が体験したアメリカが全てであるかのように紹介するため、日本人が見ることのできない社会の一面がなかなか日本には伝わってこないのだと思います。学者や外交官が見るアメリカは、いわば上流社会であり、一般の人の生活とは縁遠い世界です。留学生も、短期的なお客様であり、その経験できる世界も限られています。ジャーナリストも残念ですが、”もう1つのアメリカ”を十分に報告していないように思います。もちろん、私の経験も限られたものですが、それなりにアメリカ社会の様々な側面に注意を払ってきました。今回は、ある雑誌に書いた原稿を転載します。これも群盲の類の観察かもしれません
昨年末あたりからメタボリ検診が盛んにメディアで報道されるようになってから、実は私も減量していました。実際に減量にとりかかったのは今年の始めからでしょうか。72キロだった体重が現在、61キロです。差し引き11キロ減量ですね。ベルトの長さにしたら約5センチ。穴2つ分ぐらいでしょうか。ポッコリお腹も引っ込んでスッキリです。あと3キロぐらい減量したいなと思っているんですけどね。 で、減量の方法ですか? やっぱり。 いま流行の「朝バナナダイエット」ではありません。 もちろん、特別なこともしていませんよ。 1)甘いものは一切食べない。 2)間食しない。 3)肉類は(なるべく)食べない。 4)適度に空腹感を感じられる程度の食事の量。 5)根気、我慢、辛抱 こんな程度でダイエット、簡単にできますよ。 ん〜、とかなんとか勝手なこと言ってますが、テレビ番組でまたぞろ流行っているそうですね、
収入が生活保護以下で生活しているワーキングプアなる階層に関する番組が放送されたらしい。見てないけど、他の人の感想をいくつか読んだ。働いてるのに(この「働いてるのに」って留保も気になるんだけどややこしくなるのでここではおいておく)生活保護以下の収入しかないというのはひどいことだ。「頑張ってる人が報われる社会」というのは、こういう人たちが報われる社会を作ってこそだろう。でもこうやって年収200万円以下の人が同情すべき存在としてクローズアップされたら、次に「わがまま」「怠け者」として見下されるのは、そのちょっと上の年収200万円から300万円くらいの人たちなんだろうなーと思った。「もっとつらい生活をしている人だっているのに不満を言うな!」とか「生活保護以下で生活しているわけじゃないだろうが!」とか言って。いやいや今でももうすでに行政関連の非常勤だと「雇い止め(実質的には民間で言う解雇)反対」とか
先日の朝まで生テレビでの少子化問題の議論で、よくフランスの例が良い例として引き合いに出されていたが、フランスは低付加価値/低賃金労働を移民に担わせているのである。その辺の負の部分が噴出したのが、先の暴動なのである。 生粋のフランス人の労働者としての質を向上させ、もっと高付加価値/高賃金に誘導するという政府の意図がある。フランスに限らず、アメリカや欧州の政策には、露骨には民族問題になるのを回避しようとするが、このような意図が少なからずある。 日本が移民を受け入れるか否かは、それ自体が一つの政治的テーマであって、話すと長くなるので割愛するが、もし移民を受け入れないのであれば、以下の方法を取るしかないのである。 国民の誰かに低付加価値/低賃金労働を負わせる。 非効率覚悟で低付加価値労働にも高賃金を払う。 低所得者を政府が制度的に優遇する。 戦後の日本は1と2のハイブリッドであった。女性に低賃金労
北九州市門司区で4月から餓死・孤独死が連続して起こっている。さまざまな事情によるケースの違いはあるが、そのよって来る原因は根深く、共通している。しかも、表面化したこれらの事件の陰には同様の悲劇が無数に起こっており、予備軍ともいえる人人は増えつづけている。現役層にとっても将来いやおうなしに直面する問題となっている。働けるうちは奴隷のごとくこき使われ、稼ぎは税金でむしりとられ、失業すればぼろ布のように捨てられる。憲法にうたう「健康で文化的な最低限度の生活をいとなむ権利」など保障されない自己責任社会の冷酷な構造を露呈している。 自己責任の社会の冷酷さを露呈 4月21日、門司区市営大里団地で78歳と49歳の母娘の遺体が発見された。死因は病死と見られ、母親の遺体は死後2年近く経過してミイラ化しており、長女も死後約2カ月が経過していた。助けを求めた次女(47歳)も、駆けつけた消防の救急隊員に「2カ
お年寄り「寝耳」に増税 住民税の老年者控除全廃 asahicomに出ていた記事より。 次のような話が出ていた。 年金(277万)を頼りに暮らす大阪府内の男性(76)と妻(76)の2人 老年者控除の廃止と公的年金等控除の縮小で 住民税 4000円 → 31100円 所得税 0 → 42000円 さらに 国民健康保険料 35000アップ 介護保険料 20000円アップ 合計12万4100円アップ。 神奈川県相模原市の市役所市民税課の窓口には「間違いでは?」という問い合わせが寄せられ、電話は鳴りっぱなしになったという。 そう、間違いだよ。格差社会が悪いとは思わない首相や、ババアが人類最大の害悪などと発言するような知事を選んでいることが。 まだまだこれからだぞ~。定率減税縮小・廃止、医療費の自己負担分アップと続くからな~。 庶民の生活はホントに大変。91年から04年までの低金利で国民は304
格差社会には三つのタイプがある。かなり単純化しているので、あくまで「図式」として読んでもらいたい。 (1)ヨーロッパ型 格差社会というよりは「階級社会」である。高学歴高収入というポジションを享受するのは、一部の選ばれたエリートとあらかじめ決まっている。こうした階層化は10代後半までにすでに決定され、大学進学率もあまり高くない。その一方で、低収入低学歴の人々は、それほど一生懸命働くわけでもない。つまり社会的な地位も収入も高いが、仕事がハードで担う社会的責任も高い少数のエリート国民と、あまり地位も収入も高くないが忙しく働いわけでもない多数の一般国民に二分される。失業率は高い一方で「就業」のモチベーションも低く、失業自体は深刻な社会問題ではない。階層が世代間で継承される率も比較的高く、経済競争はエリートの「上層」が担うべきものと考えられていて、一般国民の上昇志向はあまり高くない。 (2)アメリカ
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