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ブックマーク / book.asahi.com (10)

  • 「暴力とポピュリズムのアメリカ史」書評 深く根ざした「人民武装」の理念|好書好日

    暴力とポピュリズムのアメリカ史 ミリシアがもたらす分断 (岩波新書 新赤版) 著者:中野 博文 出版社:岩波書店 ジャンル:新書・選書・ブックレット 「暴力とポピュリズムのアメリカ史」 [著]中野博文 米大統領選まで8カ月。バイデン大統領は、共和党の最有力候補トランプ前大統領を「民主主義への脅威」と批判してきた。念頭にあるのは、2021年の連邦議会議事堂襲撃事件だ。「選挙で不正があった」というトランプの訴えに呼応した暴徒が起こした事件は、民主主義を否定する暴挙として世界を震撼(しんかん)させた。 しかし、暴力と民主主義は相いれないのか。書は根源から問う。暴徒らは、トランプがSNS上で語った「われわれの国と憲法を守る」という言葉に鼓舞され、主権者である人民の正義を示そうとしていた。彼らの主観では、議事堂襲撃は民主主義の否定どころか、それを救う試みだった。 これはトランプという異形の大統領の

    「暴力とポピュリズムのアメリカ史」書評 深く根ざした「人民武装」の理念|好書好日
    quelo4
    quelo4 2024/06/20
    “イギリス植民地時代、成年男子は軍事奉仕が義務付けられ、ミリシア(民間人による武装団体)が形成された。ミリシア=市民的な徳を身につける社会基盤、政府の横暴に武力で抗う市民組織として発展”
  • 「もうひとつの伝記」――タイと歩んだ「我が家」への道 『英国人尼僧、ティク・ナット・ハンと歩む』後篇 |じんぶん堂

    記事:春秋社 ありし日のティク・ナット・ハン師 書籍情報はこちら キリスト教と仏教のはざまで シスター・アナベルはキリスト教と仏教の二つの伝統を生きる尼僧です。タイは西洋人の弟子に自分の宗教を捨てないで、それとともに生きる道(宗教の二重所属、ダブル・ビロンギング)を勧めました。ひとは育った土壌に根を張って、それぞれの生を深く見つめながら、自らの宗教的伝統の価値あるものに触れるとき、真の心の平和が実現するからです。 シスター・アナベルはタイのこの考えに導かれながら、先祖伝来のキリスト教という種を大切に育て、仏教の尼僧として両者の間に存在する共通点からより深く豊かな判断や洞察を紡ぎ出していきました。若き日のタイがアメリカのカトリック教会厳律シトー会のトーマス・マートン(1915-1968)と宗教を超えて交わした「兄弟の契り」のように、各々の宗教に生きながらそれに囚われず、他者の見解に心を開くと

    「もうひとつの伝記」――タイと歩んだ「我が家」への道 『英国人尼僧、ティク・ナット・ハンと歩む』後篇 |じんぶん堂
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    quelo4 2024/06/14
    “シスター・アナベルはキリスト教と仏教の二つの伝統を生きる尼僧です。タイは西洋人の弟子に自分の宗教を捨てないで、それとともに生きる道(宗教の二重所属、ダブル・ビロンギング)を勧めました”
  • 語ることで見えてきた偶然の運命:私の謎 柄谷行人回想録⑧|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 「群像」1969年6月号(講談社)。群像新人賞が発表され、評論部門で柄谷さん、小説部門の受賞者は後に芥川賞や野間文芸賞を受賞する李恢成さんが当選した 書籍情報はこちら ――69年5月、柄谷さんは夏目漱石論で群像新人文学賞評論部門を受賞し、格的な文壇デビューを果たします。 《受賞作「〈意識〉と〈自然〉――漱石試論」(単行収録時に、「意識と自然――漱石試論(Ⅰ)」に改題)は、『門』や『こころ』といった漱石の長編小説ではテーマが分裂しているという指摘から始まる。しかし柄谷さんはそれを「構成的破綻」と言って終わらせるのではなく、漱石が多義的に使う〈自然〉という言葉に着目し、シェークスピアやエリオット、キルケゴールなどを援用しながら読み解いていく》 柄谷 応募したのは、68年の冬かな。そのとき、父が癌だったのですが、秋に書き終わってまもなく亡くなりました。だから、父は僕が

    語ることで見えてきた偶然の運命:私の謎 柄谷行人回想録⑧|じんぶん堂
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    quelo4 2024/02/14
    “身体的な存在そのものに関わる存在論的な問題。言い換えれば、漱石の小説は、外側から見た〈私〉と内側から見た〈私〉の二重構造に。そして、倫理的な問題を存在論的に、存在論的な問題を倫理的に解こうと”
  • バブル崩壊からの25年間で生活困難層の生活と子育てはいかに変容したか|じんぶん堂

    記事:明石書店 『低所得層家族の生活と教育戦略――収縮する日型大衆社会の周縁に生きる』(明石書店) 書籍情報はこちら 「豊かな社会」から貧困の存在が強調される社会へ 日社会には常に貧困が存在してきたが、いつの時代にも同じように存在してきたわけではない。貧困には時代的・地域的な固有性があり、それにあわせて貧困への関心の寄せられ方も変化してきた。日社会に特徴的なのは、高度成長期を過ぎた頃から、貧困政治的にも社会的にも問題化されない時期が長く続いたことである。 そうした貧困がなきものにされていた時代の代表的な貧困研究のひとつに『豊かさの底辺に生きる――学校システムと弱者の再生産』(久冨善之編、青木書店、1993年)がある。低所得者向け公営住宅でのインタビュー調査をもとに、バブル景気に浮かれていた1980年代末の時代状況の中で、生活に困難を抱えた子育て家族が、他者に頼ることも出来ずに、限ら

    バブル崩壊からの25年間で生活困難層の生活と子育てはいかに変容したか|じんぶん堂
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    quelo4 2023/06/27
    “「手に職・資格」をめざす教育戦略が生まれていることを踏まえると、低所得層家族に必要なのは、四年制大学進学のための条件整備だけではなく、職業教育・訓練機会の拡充整備”
  • ハンセン病患者たちが詩に込めた生への希望 大江満雄編の詩集「いのちの芽」無料配布で復刊|好書好日

    長島愛生園を訪れ、詩人たちと並ぶ大江満雄(中央)=長島愛生園提供 1953年、詩集「いのちの芽」は世に送り出された。73人の227作品からなるアンソロジー。それは、これまで差別と偏見により社会の隅に追いやられてきた人々が、詩人として産声を上げた瞬間でもあった。 生みの親は、大江満雄。高知県に生まれ、10代で父とともに上京後、詩誌「詩と人生」に加わった。戦後はキリスト教者としての活動に注力し、ユネスコの平和運動などに身を捧げた。50年代からハンセン病患者たちと深く交わるようになった。 大江は多磨全生園(東京)や栗生楽泉園(群馬)など、全国8カ所のハンセン病療養所にいる書き手たちに詩の執筆を呼びかけた。「今日のハンゼン氏病の詩人たちには悲惨な中にも『生の中の生』、もっとも人間らしいもの、希望がある」。詩集の発刊にあたり、大江はそう文章を寄せている。 大江の言葉にたがわず、それぞれの作品には鮮や

    ハンセン病患者たちが詩に込めた生への希望 大江満雄編の詩集「いのちの芽」無料配布で復刊|好書好日
    quelo4
    quelo4 2023/04/24
    “大江は多磨全生園(東京)や栗生楽泉園(群馬)など、8ハンセン病療養所の書き手に詩の執筆依頼。「今日のハンゼン氏病の詩人たちには悲惨な中にも『生の中の生』、もっとも人間らしいもの、希望がある」”
  • 人生がときめくベンヤミンの歴史哲学 紀伊國屋書店員さんおすすめの本|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 書籍情報はこちら ついに登場した、ベンヤミンの手頃な入門書 柿木伸之『ヴァルター・ベンヤミン 闇を歩く批評』(岩波新書)は、ようやく登場した手に取りやすいベンヤミン入門として、人文書売場で大きな力を発揮するだと思います。書店員の皆様は新書棚だけでなく、ぜひハードカバーの棚前にも積んでください。 さて、書店員の役目はできるだけ多くの方にを届けることですが、ベンヤミンという思想家の魅力をどのように伝えればいいのか、これは難問です。 「片づけ」から読んでみるベンヤミン そうですね、では例えば、皆様は「片づけ」は得意でしょうか。かくいう私は苦手で、モノをなかなか捨てることができず、困っております。 そんな時、ベンヤミンをひもといてみましょう。 上記の新書の冒頭で紹介されているのですが、ベンヤミンによる「歴史の概念について」という文章の中に、“歴史の天使”について書かれた

    人生がときめくベンヤミンの歴史哲学 紀伊國屋書店員さんおすすめの本|じんぶん堂
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    quelo4 2023/03/20
    “天使はその廃墟の中から死者や捨てられたモノを拾い上げたいと思っているけれど、過去から未来に向けて吹く風が強すぎて、天使はどんどん未来の方へ流されてしまう。”
  • 角茂樹さん「ウクライナ侵攻とロシア正教会」インタビュー 宗教から人々の歩み知る|好書好日

    目をつぶれば浮かんでくる。公邸の庭に合う花を親身に探してくれた花屋の女性。カトリック信者として毎日曜日に通った教会。「親切な人が多くてね」。ロシアの蛮行に苦しむウクライナ人を思い、心が痛む。 戦いが続くウクライナロシアの関係は、宗教を抜きには理解できない。2014年から4年余り、駐ウクライナ大使を務めた経験から、そう思う。 キリスト教のなかで東方正教会は日であまり知られていない。東方正教会には、ロシア正教会やギリシャ正教会などがあり、信者は2億8千万人ほど。書では正教会の歴史とともに、キリスト教自体の概説も加えた。それには理由がある。 ウクライナには、ウクライナ正教会、ロシア正教会、そしてギリシャ・カトリック教会の信者がいる。複雑なキリスト教の歴史を知ることで、大国に挟まれ、時に領土を奪われながらも、ウクライナらしさを追い求めてきた歩みも理解できる。「ロシアと違う独自の歴史がある」

    角茂樹さん「ウクライナ侵攻とロシア正教会」インタビュー 宗教から人々の歩み知る|好書好日
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    quelo4 2022/10/21
    “ウクライナには、ウクライナ正教会、ロシア正教会、ギリシャ・カトリック教会の信者がいる。複雑なキリスト教の歴史を知ることで、大国に挟まれ、時に領土を奪われながらも、ウクライナらしさを追い求めてきた”
  • 松尾諭さん「拾われた男」インタビュー 役者をやってこれたのは、根拠のない余裕があったから|好書好日

    文:根津香菜子、写真:斉藤順子 連載に誘ったとか、誘われたとか ――「文春オンライン」の連載に加筆してまとめた一冊ですが、始めた経緯から教えてください。 以前、ある飲み会の席に文藝春秋の編集の方も来ていて、その人と会うのはその時が2回目だったんですけど、僕の記憶では唐突に「松尾さん、何か書いてみませんか?」と言われたんです。ところが彼女の記憶だと、僕が「何か書かせてください」って言ったと言うんですよ。僕は絶対にそんなことを言うような人間じゃないので、僕から「書かせてください」なんて言うはずないんです。ただ、お互い酔っぱらっていたので真相は定かではないんですけど、後日「あの話って当ですか」と連絡したらどうやら当だったみたいで。 ――担当編集さんは今でも松尾さんから「書かせてほしい」と言ったと記憶されていますか? 担当編集A:そうだったと思っています。 でも、僕はその時Aさんがすごいヘラヘ

    松尾諭さん「拾われた男」インタビュー 役者をやってこれたのは、根拠のない余裕があったから|好書好日
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    quelo4 2022/08/18
    “ドラマ「SP」のオーディションの様子が書かれています。その内容が「美少女戦隊モノのオフ会」をテーマにした即興劇だったとは。「SP」ファンとしては胸アツ”
  • ホラー作家・芦花公園さんの根底にあるキリスト教|好書好日

    この連載も最後のようで、最後のテーマは自由ということなのですが。 好きとかそういうレベルではないものの話をしようと思います。 私はキリスト教の信者だ。 カトリック教会で幼児洗礼を受けていて、高校生の時には堅信も受けており、まあ筋金入りのクリスチャンということになると思う。 今でこそダラダラとした生活を送っているが、大学に入ってからの何年かはずっと忙しく、日曜礼拝どころか年によってはクリスマス礼拝まで逃すような状態だったわけだが、やはり自分の根底にはイエスキリストが存在すると思っている。 と、このようなことを話すと一部の人から忌避感を持たれるのも理解している。 日人は基的に無宗教というか多宗教の人が多い。 結婚式はチャペルで、葬式は寺で、初詣は神社に行くだろう。 特定の宗教の信者を見ると、「カルト」を連想する人も多いようだ。 実際カルト宗教団体というのは存在するし、その中にはキリスト教系

    ホラー作家・芦花公園さんの根底にあるキリスト教|好書好日
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    quelo4 2022/06/08
    “とにかく私はキリスト教の信者である。伝道も勧誘もしないけれど。書いているものの性質上間違いなく教会関係者には良い顔をされないので、馴染みの神父様にもシスターにも信者の方々にも一生言えないけれど”
  • 「教室における政治的中立性」書評 民主主義の担い手育てる議論を|好書好日

    教室における政治的中立性 論争問題を扱うために 著者:ダイアナ・E.ヘス 出版社:春風社 ジャンル:教育・学習参考書 「教室における政治的中立性」 [著]ダイアナ・E・ヘス このテーマに関心を持つ研究者、親として、これは必読書だと手に取った。 我が息子の通う小学校は、少数の保護者が反対する問題の議論を私が提案すると、「対立を生じさせる」として認めなかった。 外国籍、親が闘病中という子どもの行動を心配する声が地域で上がった時には、個人情報の保護を理由に、「学校で対応するから、他の保護者は関わらないように」と言われた。 対立や問題からこそ、学びが生まれる。より多くのことを知り、理解できるようになるというのに。 人々が均質的な共同体に移行し、政治的対立に反対する傾向は、アメリカでも顕著だという。分裂した社会では、政治が二極化しやすく、重大な問題への解決策を生み出せなくなる。 著者は社会に「適合す

    「教室における政治的中立性」書評 民主主義の担い手育てる議論を|好書好日
    quelo4
    quelo4 2021/05/31
    “学校が論争的な政治問題を教えることをためらうならば、民主主義の担い手が育たない。公共の課題に対する熟議が進まないことは言うまでもない”
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