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ブックマーク / honz.jp (73)

  • 『津久井やまゆり園「優生テロ事件」、その深層とその後』異常な犯罪者は異常な社会から生まれる - HONZ

    読むのにとても時間がかかったのは、著者が巨大な問いと格闘しているからかもしれない。戦後最悪ともされる凶悪事件を通して、私たちの社会の奥底で起きている変化をとらえた力作だ。 書は、神奈川県相模原市の障害者施設、津久井やまゆり園で、入所者と職員45名が殺傷された事件の深層に迫ったノンフィクションである。事件そのものを取材したは他にもあるが、書が類書と一線を画すのは、サブタイトルにある「戦争と福祉と優生思想」という視点だ。一見バラバラな3つの言葉は実は深いところでつながっている。それだけではない。著者の人生もまたこの事件と無関係ではなかった。 ノンフィクションのディープな読者は著者の名前に見覚えがあるかもしれない。著者には浅草で起きた短大生殺人事件に関する著作(『自閉症裁判 レッサーパンダ男の罪と罰』)がある。2001年、浅草で19歳の女性が見ず知らずの男に刺し殺されたこの事件は、男がレッ

    『津久井やまゆり園「優生テロ事件」、その深層とその後』異常な犯罪者は異常な社会から生まれる - HONZ
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    quick_past 2023/05/01
    そりゃあそれなりに力も地位も学歴もある人間が、法の抜け道を使うこすさや、バレなきゃ何をしてもいいんだという汚い本性見せてれば、二枚舌で逃げ道作ったエセ正義が生まれもするよ。
  • 『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える - HONZ

    差別はつねに、差別によって不利益をこうむる側の話である。差別のおかげで知らぬうちにメリットを得る側の人が、自ら立ち上がって差別を語ることはしない。ただ、よーく考えれば、差別される側になる可能性があるのであれば、差別する側になることだってあるはずということに気がつける。 「もうすっかり日人ですね」 「希望を持ってください」 この2つの声がけは一見褒めていたり、励ましていたりする言葉のように見える。だが、前者は国外から日移住した人たちに、後者は障害者に対する代表的な侮辱表現の例としてあげられる。このように日常の会話の中に、悪意のない差別が潜んでいる。 特定の言葉を口にしないよう、注意すればいい。それだけではすまない。このような言葉がなぜ侮辱することにあたるのかを理解しなければならないのだ。実はその方法はそこまで難しくない。当事者に聞いてみることだ。 著者は、移民,セクシュアル・マイノリテ

    『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える - HONZ
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    quick_past 2021/11/11
    自分なりの善意からでたことなら、相手にとってどれだけ失礼でも受け入れられるべき。って思い込みでもあるんじゃないの。下手なことを言うくらいから何も言わない。って態度のほうがよっぽど誠実
  • 『中世ヨーロッパ ファクトとフィクション』「暗黒時代」という神話はなぜ生き残ってきたのか - HONZ

    「中世ヨーロッパ」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。「疫病と飢饉」、「魔女狩り」、「異端審問」……。代表的なものを挙げたが、いずれにせよ、西ローマ帝国が滅んだ5世紀末からの約1000年間に明るく進歩的な印象を抱く人は少ないだろう。 だが著者は、そうしたネガティブなイメージはここ200年ほどの間に私たちに植え付けられた誤解だと説く。書には、中世に関する11の「フィクション」が登場する。多くの人は、どれも一度は耳にしたことがあるはずだ。 中世の人々は地球が平らだと思っていた。風呂にも入らず、暮らしは不潔で腐った肉も平気でべた。教会は科学を敵視し、今では誰も疑うことのない説も教会の権威によって迫害され続けた。何の罪もない女性たちが何万人も魔女として火あぶりにされた。 これらの説は、文化上構築された「中世」にすぎず、前世紀までに歴史学の専門家によって否定されている。だが、今でも大きな顔をして

    『中世ヨーロッパ ファクトとフィクション』「暗黒時代」という神話はなぜ生き残ってきたのか - HONZ
  • 『人間をお休みしてヤギになってみた結果 』ヒトは悩むことから解放されるのか? - HONZ

    ゴルフのラウンドをする度に痛感するのが、脱力することの難しさである。ただ脱力すれば良いということであれば話は簡単だ。しかし少しでも遠くへ飛ばしたいという欲望を充足させながら、力を抜いていくという行為は案外難しい。 その点、ゼロからトースターを作ったことでも知られる書の著書トーマス・トウェイツは、明確な目標へ向かいながら全力で脱力するということに関して、稀有な能力を持っている人物だ。 今回彼が挑戦するのは、人間をお休みしてヤギになるということ。ちなみに書は、文庫版で全271ページである。そのうち実際ヤギになって暮らすパートは、最後の55ページほど。全体の約80%の分量が、人間を休むとはどういうことか、ヤギになるとはどういうことかを考察しながらの、準備段階に割かれている。 これだけ事前準備に精力を注いでいれば、スタートする頃には疲労感も手伝って、おのずと脱力されることだろう。いわゆるパワー

    『人間をお休みしてヤギになってみた結果 』ヒトは悩むことから解放されるのか? - HONZ
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    quick_past 2021/04/24
    最近薬物を使わない鬱治療として、メンタルヘルスが飛びついてるTMSだけど、血管に訴えかけて実際にこんな作用をもたらすなら、不可逆的な長期的基質的障害を与えててもおかしくないのでは。おいらは試したくないな
  • 日本からもオーロラが見えた!『日本に現れたオーロラの謎』 - HONZ

    でもオーロラが見えていたことをご存じだろうか。しかも、直近では昭和33年、約60年前で、これは写真での記録もバッチリあるという。 このは、タイトルこそ『日に現れたオーロラの謎』だが、サブタイトルに「時空を超える」や「赤気」という言葉が入り、著者名も片岡「龍峰」さんで、とどめにカバーのイラストで、山から赤いオーラみたいなものが出ている。ぱっと見「スピリチュアルのなのかな?」と思ったが、を開くと宇宙空間物理学が専門の、オーロラの科学者による科学のだった。 しかも、ただの科学のではない。著者が在籍している国立極地研究所(南極の昭和基地を 運営しているところらしい)は、国文学研究資料館と同じ場所にあるそうで、つまり物理的な距離も近いので理系と文系の研究者で、オーロラの共同研究をしたそうなのだ。 日の文献には「オーロラっぽい」記述がいくつかあるという。 こので取り上げているのは、

    日本からもオーロラが見えた!『日本に現れたオーロラの謎』 - HONZ
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    quick_past 2021/01/26
    北海道で見られるのでは?と思ったら歴史学的な話だった
  • 『「役に立たない」科学が役に立つ』 - HONZ

    作者:エイブラハム・フレクスナー ,ロベルト・ダイクラーフ 出版社:東京大学出版会 発売日:2020-07-29 このたび東京大学出版会から刊行された、エイブラハム・フレクスナーとロベルト・ダイクラーフ著『「役に立たない」科学が役に立つ』を読み、期待していた以上に深く考えさせられ、また心を動かされました。 著者の二人は、プリンストン高等研究所を可能にした初代所長(フレクスナー)と、現所長(ダイクラーフ)です。 初代所長であるフレクスナーは、なにしろアインシュタインやフォン・ノイマンをはじめ、綺羅星のような科学者たちの居場所であった高等研究所が創設されるにあたって決定的に重要な役割を果たした人物なので、わたしのように長年ポピュラー・サイエンス系の翻訳をやっている人間にとってはある種の有名人です。その彼の有名なエッセイが日語で読めるようになるというので、刊行を心待ちにしておりました。 フレク

    『「役に立たない」科学が役に立つ』 - HONZ
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    quick_past 2020/08/05
    有機化学系はとくに、今すぐにはそれが何の意味があるかわかんないものが多い気がする
  • 麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 歴史、特に最悪の医療の歴史などを読んでいると、あ〜現代に生まれてきてよかったなあと、身の回りに当たり前に存在する設備や技術に感謝することが多い。昔は治せなかった病気が今では治せるケースも多いし、瀉血やロボトミー手術など、痛みや苦しみを与えるだけで一切の効果のなかった治療も、科学的手法によって見分けることができるようになってきた。 だが、そうした幾つもの医療の進歩の中で最もありがたいもののひとつは、麻酔の存在ではないか。正直、麻酔のない世界には生まれたくない。切ったり潰したりするときに意識があるなんてゾッとする──現代の医療に麻酔は絶対絶対必須だ。そのわりに、患者に麻酔を施す麻酔科医の仕事は光が当たりづらい分野である。何しろ実際に手術や治療を担当することはめったにないから、麻

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ
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    quick_past 2019/12/25
    全身麻酔はかなり難しくて、腕のいい麻酔医がなかなか少ないのもあってリスクはそれなりにあるって聞いた。
  • 日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』 - HONZ

    の科学は失速している。一昨年の3月、ネイチャー誌に掲載されたレポートは大きな反響を呼んだ。一般の人たちには驚きを持って迎えられたようだが、多くの研究者にとっては、やはりそうかという感じであった。 『誰が科学を殺すのか』は、企業の「失われた10年」、「選択と集中」でゆがむ大学、「改革病」の源流を探る、海外の潮流、の4章から構成されている。毎日新聞に掲載された「幻の科学技術立国」シリーズが元になっただ。 大学に関しては、行きすぎた選択と集中、地方国立大学の疲弊、若手研究者の待遇の悪さ、博士課程進学者減少などが紹介されており、内部で実感していることと完全に一致する。 どのテーマについても、客観的かつ冷静な記述と考察がなされている。わかっているにもかかわらずマスコミがなかなか書かなかったiPS細胞関連予算の問題点についても、果敢に踏み込んでしっかりと書かれている。 ネイチャー誌の記事以来、論

    日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』 - HONZ
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    quick_past 2019/12/13
    そもそも科学技術"立国"だったことなんて無い。頑張っていたのはいつも現場。それを社内社外の人間が勝手に成果を奪い去ったり、余計なちょっかいをいれて台無しにする。その繰り返し。育てるということを一切しない
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
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    quick_past 2019/09/03
    NATROMさんの周りにいる粘着を思い出す
  • 人文文化と科学文化の融合──『なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門』 - HONZ

    なぜ脳はアートがわかるのか。そんなことをいうと、「いや、そもそも自分にゃさっぱりアートはわからねえ」という人がわらわら湧いて出そうだが、かくいう僕もそのタイプ。真四角の図形をぽこぽこ置いて、赤だの黄色だので適当に塗ったとしか思えない絵が抽象絵でありアートなのだと言われても素人が作ったものとの違いがよくわからないことが多い。 だが、ある意味ではそういう人たちにも読んでほしいだ。これを読むと、なるほど、確かに人間は、そうした一見意味がよくわからない抽象的なアートを「わかる」ことができるのだということが、脳科学的な観点から理解することができるようになる。また、普段からアートを楽しんでいる人たちも、ターナーやモネ、ポロックにデ・クーニングなど無数の画家の作品と脳についての知見を通すことで、一つの解釈として楽しむことができるだろう。著者のエリック・R・カンデルは記憶の神経メカニズムについての研究に

    人文文化と科学文化の融合──『なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門』 - HONZ
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    quick_past 2019/07/06
    進化心理学じゃないのこれ。結果に原因を添わせすぎのような
  • 『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ

    若い医師はあるとき、リウマチ性関節炎と診断されていた女性患者がうつ病をも患っていることに気づいた。そのささやかな発見に気をよくした彼は、上機嫌で先輩医師にその旨を伝える。だが、先輩医師から返ってきた反応はきわめて淡白なものであった。「うつ病? そりゃ、君だってそうなるだろうよ」。 以上は、書の著者エドワード・ブルモアが内科の研修医時代に実際に経験したことである。そしてそのエピソードは、うつ病がこれまでどのように扱われてきたのかをよく物語っている。それはすなわち、「うつ病のような精神疾患はすべて心の問題だ」という扱われ方である。「そりゃ、君だって関節炎のことで悩むだろうし、そうしたらうつ病にでもなるだろうよ」というわけだ。 しかし、著者はいまやまったく別様に事態を見ている。その見方は、かつては自分でも「いかれている」と思えたようなものだ。著者曰く、先の女性患者は「リウマチ性疾患のことを思い

    『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ
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    quick_past 2019/06/12
    炎症から鬱を発症していると思われるケースもあるのでは。ならともかく、炎症が原因のように持っていくのはどうなんだ。慢性の炎症からコルチゾールがはたらいて、それが原因になってることも考えられるし。
  • 『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ

    小学校に通う子どもの通知表を見ていたときのことだ。教科ごとに4つの評価項目が設けられているが、「社会」のところに「おや?」と目が留まった。項目がすべて同じ文章になっている。「もしかして誤記?」と思ったのだ。 よくよく見ると同じ文章ではなかった。だが、勘違いするのも無理はない。「我が国の歴史や伝統、世界の国々に〜」「我が国の歴史や伝統の意味について考え〜」など冒頭がすべて同じ文言だったのだから。なにこれ? 2017年、初めて行われた道徳の教科書検定が話題となった。ある教科書に載った教材に文部科学省が意見をつけ、教材に取り上げられた店が「パン屋」から「和菓子屋」に変更されたのだ。 文科省は具体的な差し替え箇所を指示したわけではないというが、教科書全体を通して「我が国や郷土の文化に親しみ、愛着をもつ」点が不足していたと説明している。パン屋よりも和菓子屋のほうが我が国の伝統にかなっているということ

    『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ
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    quick_past 2019/04/20
    周利槃特が量産できれば楽だよな。掃除させてればいいだけなんだから。
  •  絶望的にヒーロー不在『八甲田山 消された真実』フィクションとノンフィクションと - HONZ

    神成大尉は、二一〇人の兵隊を凍死させたのは自分の責任であるから自分は自殺する、舌を噛んで自殺すると。…… ベッドの上で正座して話す老齢の男性――その人は、世界最大級の山岳遭難事故の最後の生存者・小原中三郎元伍長であった。 1902年(明治35年)1月。日露戦争を前に陸軍は寒冷地での行軍を調査・訓練するため、青森の陸軍歩兵第五聯(れん)隊と弘前の第三十一聯隊が豪雪の八甲田を異なるルートで越えることになる。結果的に三十一聯隊は八甲田を越え帰還したが、五聯隊は山中で遭難。210人あまりの将兵のうち、199人もが凍死した。世に言う「八甲田山雪中行軍遭難事故」である。 これをもとに書かれた新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』は、大ベストセラーになった。映画化された「八甲田山」で北大路欣也演じる第五聯隊の神成(役名は神田)大尉が猛吹雪のなか、こう叫ぶシーンをご存知の方も多かろう。 天はわれらを見放した

     絶望的にヒーロー不在『八甲田山 消された真実』フィクションとノンフィクションと - HONZ
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    quick_past 2019/03/18
    あの映画はあくまでフィクションだからってことだろうね・・・。事実扱いされてるフィクション作品の一つ
  • 『ソッカの美術解剖学ノート』全クリエイターにおすすめ - HONZ

    韓国では著名なイラストレーターである著者が、31歳から40歳まで9年をかけて完成させたのが書『ソッカの美術解剖学ノート』である。 骨や筋肉や内臓など、人体構造について「なぜ今の形になったのか」に言及されているのがポイントであり、その知識をふまえイラストで絵の描き方を伝えている。書では人体の仕組みを知れるのと同時に、各部位がどう動きその形状になったのかが楽しく理解できる。 この楽しさというのが重要であり、「イラストの図解が付いた、とんでもなく面白い人体」と言ったほうがイメージとして伝わりやすいかもしれない。 一般的には、人体やイラストといえば「このように描きましょう」と、一方的に描き方を説明するものだ。一方で書は、目を描く際は「西洋人のまぶたは薄く、瞳孔がよく見える構造となっています。対照的に東洋人はまぶたが厚く、瞳孔がよく見えないため何を考えているのか難しくなり、神秘的なイメー

    『ソッカの美術解剖学ノート』全クリエイターにおすすめ - HONZ
  • 『誰も農業を知らない』 プロ農家の声に耳をすませば - HONZ

    書名を見て、私はドキッとしました。著者は農家の方なのですが、その著者に「誰も農業を知らない」と言わしめていることに恐怖を感じたからです。なにせ、人はべないと生きていけません。農業は、まさに生命線です。私たちの将来は、大丈夫なのでしょうか。おっと!冒頭から、小学生の作文のようになってしまいました。 ところで皆さまは、三重県松阪市にあるエスカルゴ牧場をご存知でしょうか。牧場というからには、エスカルゴを生産しています。しかも、チェーン店でべられるアレではありません。フランスでもなかなかお目にかかれない、最高級のポマティアを生産しているのです。鉄工所の社長が、なんと数億円の私財を投じて、世界で初めて養殖に成功したそうです。 こういう一点突破の話が大好きな私は、すぐ現地に行き、社長の応援団の一人になりました。温暖な地域で生産でき、美味しいうえにハラル対応材でもあるため、今後の人類にとって貴重な

    『誰も農業を知らない』 プロ農家の声に耳をすませば - HONZ
  • 『スーパーカブは、なぜ売れる』世界で1億台! 超ロングセラーの秘密 - HONZ

    一昨年の夏、ベトナムを旅した評者は、空港から車に乗った途端、おびただしい数のオートバイに圧倒された。 まるで魚の大群のようにオートバイの集団が交差点を横切っていく。気がつけば、こちらの車も前後左右を密集するオートバイに囲まれていた。あの迫力は忘れられない。 ベトナムは2輪車大国だ。年間販売台数およそ330万台(2017年)、このうち75%ほどのシェアを占めるのがホンダである。なにしろベトナムではすべての2輪車を「ホンダ」と呼ぶくらい人気が高い。中でも不動の人気を誇るのが「スーパーカブ」だ。 スーパーカブは1958年に日で発売され、爆発的なヒット商品となった。いまもスーパーカブを見ない日はない。新聞や郵便の配達、飲店の出前など、もはや当たり前のように私たちの日常の風景に溶け込んでいる。 驚くことにスーパーカブは発売から今日まで、商品コンセプトと、基のメカニズム・レイアウト、造形のシルエ

    『スーパーカブは、なぜ売れる』世界で1億台! 超ロングセラーの秘密 - HONZ
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    quick_past 2019/02/09
    タイやベトナムでは半スクーター型やスポーツタイプが主流になってきたし、今売れてる国ってどこにシフトしてるんだろう。日本でも排ガス規制に対応しきれなくなってきたしなあ。
  • 『コンスタンツェ・モーツァルト 「悪妻伝説の虚実」』本当に「琥珀の中に閉じ込められた蠅」のようだったのか? - HONZ

    『コンスタンツェ・モーツァルト 「悪伝説の虚実」』当に「琥珀の中に閉じ込められた蠅」のようだったのか? 「世界三大○○」という見立てが日人はなぜか大好きである。「料理」だったり「テノール」だったり、「〇〇」のバリエーションはいろいろだ。世界とまではいかないが、個人的に知っているところでは「芸能界三大悪」というネタもある。だがここでその名を明かすのはやめておこう。いま流行りの忖度というやつである。 世界三大〇〇にはもちろん「世界三大悪」もある。その三人とは、ソクラテスのクサンティッペと、トルストイのソフィア、そしてもうひとりがモーツァルトのコンスタンツェだ。 『コンスタンツェ・モーツァルト 「悪伝説の虚実」』は、世界三大悪とまで称されるモーツァルトのの実像に迫った一冊。伝説というものがいかに形成されていくか、そのプロセスが明らかにされていてきわめて面白い。 コンスタンツ

    『コンスタンツェ・モーツァルト 「悪妻伝説の虚実」』本当に「琥珀の中に閉じ込められた蠅」のようだったのか? - HONZ
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    quick_past 2019/02/08
    どうしてこうも、モーツァルトの周りの人をdisってモーツァルトをageようとする連中が多いんだろうなあ。しかも奥さんが凡庸じゃあかんのかよ。女性にばかり理想像押し付けるのはなんなんだ
  • 性欲は関係ない?『男が痴漢になる理由』 - HONZ

    都市部で電車を使って通勤している男性ならば誰もが思ったことがあるはずだろう。いつか、痴漢に間違われるんじゃないか。両手はつり革が基ポジションで、なるべく、手を上げた状態を保っていても、一時たりとも安心できない。思わぬ揺れでその手が人混みの中に潜り込んでしまったときに、「キャー」とか言われたらどうしようなどと妄想は絶えない。頼むよ、さっさと車内に監視カメラでも導入してくれよ。JR埼京線に採用されたっていうから、他の路線でも設置すれば、痴漢も減るし、間違われることもなくなるはず- そんなことを願う男性諸君には悲報だが、残念ながら、車内に監視カメラが導入されようが、痴漢は簡単に減りそうもないのだ。取り締まりを厳しくしてリスクが高くなろうと痴漢加害者の行為は止まらない。むしろ、「乗り越えるべきハードルがひとつ高くなった」と痴漢心を焚きつけかねない現実を書は浮き彫りにしている。 著者は依存症のカ

    性欲は関係ない?『男が痴漢になる理由』 - HONZ
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    quick_past 2018/12/20
    "痴漢加害者の治療はもちろんだが、男尊女卑の概念に縛られた未成熟な視線が痴漢を再生産し続けていることにも我々はそろそろ目を向けるべきだろう。"
  • 『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる 』音楽家の役割は、顧客を創造すること - HONZ

    今年読んだ新書の中で、文句なしにNo.1の一冊。平易な文章で書かれ、分量もコンパクトだが、奥が深い。 昨年、『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか』がヒットして以来、教養とビジネスの関係に注目が集まっているが、書もまた同様の趣きをもっていると言えるだろう。 著者の片山杜秀氏は、クラシック音楽歴史を追いながら、顧客が誰であったかという点にフォーカスを当てていく。さらに顧客のニーズを満たすための要件が、どのように時代を推進する装置になり得たかという解説にも余念がない。だからどんなビジネスマンが読んでも面白い。 この背景には、音楽というジャンルが文学やアートに比べて、時代のニーズの影響をダイレクトに受けやすいという特性がある。 音楽は演奏され、誰かが聴いてくれることではじめて成立する芸術だ。再現するために多大な人的・物的動員を要するジャンルの常ではあるが、事前にスポンサーとの合意を得なけれ

    『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる 』音楽家の役割は、顧客を創造すること - HONZ
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    quick_past 2018/12/12
    交響曲はベルリオーズとベートーベンが改革したと思ってる。破壊とも言う
  • 『図解 世界の名作住宅』歴史に名を残す住宅は何がすごいのか? - HONZ

    建築は誰でも楽しめる。特に住宅は、衣住の根幹をなすものだから、住宅建築に全く関心がないという人はまずいない。 加えて、日人は世界的に見ても、建築がかなり好きな国民だと思う。美術館で建築展をやると、他のジャンルに比べて圧倒的な集客力がある。昨年、国立新美術館で開催された「安藤忠雄展―挑戦―」や、今年、森美術館で開催された「建築の日展:その遺伝子のもたらすもの」も大盛況だった。 書『図解 世界の名作住宅』は、月刊誌『建築知識』のエクスナレッジ社による、歴史に名を残す住宅は何がすごいのかについて、世界の名作住宅60点以上をイラストで分かりやすく解説した珠玉の一冊である。 近代建築の三大巨匠と呼ばれるル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエをはじめ、これらの住宅を設計した世界の巨匠たちの人となりが紹介されているのも、建築の理解に役立つ。 書で最初に登場する

    『図解 世界の名作住宅』歴史に名を残す住宅は何がすごいのか? - HONZ
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    quick_past 2018/10/30
    あくまでも芸術作品としての建築芸術としての「名作」か。二笑亭はなんでないの?