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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/pkcdelta (63)

  • コロナ5類移行1年 後遺症のメカニズムと治療の現在@読売新聞 - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    COVID-19が感染症法上の5類に移行して昨日で1年経ちました.読売新聞から取材いただき,後遺症について現在までに分かっていることについて解説し,コメントをしました. 下畑 享良・岐阜大教授(脳神経内科)は「ウイルスによる炎症が長引き、脳にダメージを与えることで、疲労や認知機能の低下などの神経症状が続くと考えられる。後遺症の深刻さを踏まえると、引き続きこまめな手洗いなど基的な予防対策が重要だ」と話す。(こちらから記事全文が読めます) 図1はカナダからのデータですが,再感染するたびに後遺症の累積リスクが増加することも分かっていますので,やはり感染予防は大切です. また記事には後遺症(いわゆるlong COVID)は「メカニズム不明」と書かれてしまいましたが,かなり判明していて,単一のものではなく,①持続感染,②自己免疫,③ウイルス再活性化(EBV,HHV-6など),④セロトニン欠乏(*)

    コロナ5類移行1年 後遺症のメカニズムと治療の現在@読売新聞 - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • 補聴器による認知症予防 ー自分の聴力ナンバーを知ろう!ー - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    New Engl J Med誌最新号に「加齢性難聴と認知機能障害」に関する総説が掲載されています.難聴は加齢とともに徐々に増加します(図1).内耳(蝸牛)の有毛細胞が徐々に喪失することが主な原因です.また難聴のリスク因子としては加齢のほか,皮膚の色,男性,騒音暴露が知られています(皮膚の色はメラニン量のことです.メラニンは内耳の有毛細胞にも存在し,酸化ストレスに対して保護的な役割を果たします). さて題ですが,難聴は認知症リスクの増大をもたらします.認知症予防について提言を行っているランセット委員会は,中年以降の難聴を「認知症の最も重要な修正可能なリスク因子」と報告しています.難聴なしの人と比較して,補聴器を使用しない難聴の人は,全認知症のリスクが増加しますが(ハザード比1.42),補聴器を使用していれば増加しません!(同1.04).また補聴器は認知機能低下のリスクがある高齢者において3

    補聴器による認知症予防 ー自分の聴力ナンバーを知ろう!ー - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • レカネマブは標準治療と比較し費用対効果が優れているとは言えず,価格が年間5100ドル未満とならなければ費用対効果は低い - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    アルツハイマー病(AD)の疾患修飾薬であるレカネマブは高額であるもののその効果が強力とまでは言えないことから,その費用対効果について関心が高まっていました.Neurology誌の最新号に,米国・カナダの研究チームから,レカネマブの費用対効果が,治療前の検査法,各患者のApoE遺伝子ε4の状態(副作用ARIAの出現のしやすさが分かる)によってどのように変わるかを検討した研究がいよいよ報告されました. 検査法は3つ(PET,脳脊髄液アッセイ,血漿アッセイ),治療法は2つ(ドネペジル・メマンチンによる標準治療,または標準治療+レカネマブ),ApoE遺伝子で患者の標的を絞るか(=標的戦略)は2つ(ε4ノンキャリアまたはヘテロ接合体患者を標的とするか否か)で,これらの組み合わせによって定義される7つのパターンを比較しています.有効性は質調整生存年(QALYs:クオーリーズ)を用いて評価し,費用対効果

    レカネマブは標準治療と比較し費用対効果が優れているとは言えず,価格が年間5100ドル未満とならなければ費用対効果は低い - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
    quick_past
    quick_past 2024/04/19
    アミロイドβ沈着を阻害する薬。https://tinyurl.com/2379elxz https://tinyurl.com/25ptujsx マッチするケースでも進行を止められないんだから、アミロイドが決定的な要因ではないんだろうな
  • 新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(3月3日)   - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    今週号のNEJM誌にCOVID-19罹患後の認知機能障害に関する2つの論文が報告されています.いずれも,前方視的に11万人以上の認知機能を評価した過去最大の研究です.ともにCOVID-19が認知機能低下をきたすことを示した点で一致しています.2つ目の研究では,感染後の知能指数(IQ)の変化を以下のように示してあり,非常にインパクトがあります. 感染後の知能指数(IQ)(非感染対照群と比較) 4~12週で症状改善:IQ 3ポイント低下に相当 12週以上症状持続:IQ 6ポイント低下に相当 ICU入室:IQ 9ポイント低下に相当 再感染:IQ 2ポイント低下に相当 論評では「このようなエビデンスが示されても,それを否定したり軽視したりする人々は今後も存在するだろう.しかし現実に何百万人もの人々が影響を受けていることを認識し,効果的な治療法を見つけるためにさらなる取り組みを行う必要がある」と書か

    新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(3月3日)   - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • Ma2抗体の標的抗原は進化の過程でウイルスから取り込まれ,いまだにウイルス様粒子を産生することで傍腫瘍性症候群をきたす - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    最新号のCell誌の驚きの論文です.傍腫瘍性神経症候群(PNS)は,担癌患者に合併する神経障害のうち,免疫学的機序により生じる多様な症候群です.さまざまな自己抗体が出現しますが,そのなかでMa2抗体は精巣腫瘍,非小細胞肺がんに認めることが多く,細胞内抗原を認識しています.その抗原は「傍腫瘍性Ma2抗原(paraneoplastic Ma 2 antigen;PNMA2)」と呼ばれます.その遺伝子は中枢神経系で主に発現していますが,上述の腫瘍でも異所性に発現します.この米国ユタ大学からの論文では,PNMA2は進化の過程で,ウイルスがコードする分子がヒトの生理機能として組み込まれてできたこと,そしてそれがいまだに自己として認識されずに免疫の攻撃の対象となりPNSをきたすことが報告されています. 「進化の過程でウイルスがコードする分子が組み込まれた」代表例は,神経細胞のシナプス形成に関わるArc

    Ma2抗体の標的抗原は進化の過程でウイルスから取り込まれ,いまだにウイルス様粒子を産生することで傍腫瘍性症候群をきたす - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • 新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(1月29日)   - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    今回のキーワードは,ワクチン未接種のLong COVID患者の症状改善にワクチン接種は有効で,sIL-6Rが上昇した人で効果を認める,ワクチン接種をした非入院者に対しパキロビッドはLong COVIDの発症を抑制しない,シンバイオティクスはLong COVIDの症状の改善に有効である,腸管粘膜組織は感染後数ヵ月間,SARS-CoV-2ウイルスを保持する,Long COVIDではアンチトロンビンIIIは低下し,トロンボスポンジン1とvWF因子は増加する,労作後倦怠感の原因として骨格筋の構造・機能異常があり,激しい運動で増悪する,中脳ドパミンニューロンにおけるSARS-CoV-2ウイルス感染後の炎症と細胞老化による消失です. Long COVIDの治療に関する論文を3つ,病態に関する論文を3つ,そしてパーキンソン病の原因となる中脳ドパミンニューロンの消失がSARS-CoV-2ウイルス感染による

    新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(1月29日)   - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
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    quick_past 2024/02/03
    “ワクチン未接種のLong COVID患者の症状改善にワクチン接種は有効で,sIL-6Rが上昇した人で効果を認める”なぜ!?
  • 第3のアルツハイマー病『医原性アルツハイマー病』 の発見!! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    最新号のNature Medicine誌の論文です.英国から,小児期に頭蓋咽頭腫や特発性成長ホルモン欠損症などのために,屍体由来(ヒトの死後)の脳下垂体から抽出した成長ホルモン(c-hGH)による治療を受けた8名のうち5名が早期発症のアルツハイマー病(AD)を呈したという報告がなされています.孤発性,家族性に加え,第3の病型として医原性が加わることになります. まず背景ですが,1959年から1985年にかけて,英国では少なくとも1848人の患者にc-hGHが投与されました.じつはこの一部がプリオン蛋白とアミロイドβ(Aβ)に汚染されており,比較的若い成人において医原性クロイツフェルト・ヤコプ病(iCJD)を発症したため,この製品は使用中止となりました.そしてこのiCJD患者の病理学的検討で,アミロイド病変(脳アミロイド血管症)を認めたことも明らかになっています.しかしCJDの徴候が目立つた

    第3のアルツハイマー病『医原性アルツハイマー病』 の発見!! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
    quick_past
    quick_past 2024/02/03
    アルツハイマーがひょっとしたら、プリオン病だとう可能性もあるってことか
  • COVID-19感染後認知症は20歳の加齢に相当し,感染から1年経過しても脳損傷が持続する! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    英国からCOVID-19染後の認知障害と血清バイオマーカー,神経画像所見との関係を検討した前向き縦断研究が報告されました(査読前論文ですが,インパクトの大きな研究です).長期観察研究なので,対象はパンデミック初期の,かつ入院を要した中等症~重症感染者になりますが,衝撃的なのは「認知機能障害の程度は20歳の加齢に相当する」ということと,「1年を経過してもなお神経細胞・アストロサイトの障害マーカー(Nfl-L・GFAP)が高値である」ということです.既報と考え合わせると,中枢神経への直接的(=ウイルス感染)ないし間接的(=サイトカイン)原因に伴う神経炎症が持続しているのだと考えられます.また急性期にステロイドを使用すると認知機能障害は抑制されるという重要な知見も明らかにされました. 以上の結果は,軽症例や最近のCOVID-19罹患において一般化できるものではありませんが,中等症から重症のCOV

    COVID-19感染後認知症は20歳の加齢に相当し,感染から1年経過しても脳損傷が持続する! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • ハーレクイン症候群の解剖学的診断 ―自撮り写真の落とし穴― - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    ハーレクイン症候群(Harlequin syndrome)は,入浴や運動などの温熱負荷などにより健側顔面や頸部が発作性に紅潮・発汗過多を呈する稀な症候群です.神経線維腫症1型で,右腕神経叢の神経線維腫に対する切除歴のある18歳女性が,右頸部~肩の鈍痛と労作後の間欠的な片側顔面潮紅を訴え,「自撮り写真(図1)」を持って来院しました.腕神経叢神経線維腫はホルネル症候群やハーレクイン徴候を併発することがあります.この患者でもホルネル症候群を示唆する右縮瞳を認めました.では顔面の紅潮について解剖学的に説明がつきますでしょうか? 落とし穴①.紅潮側を患側と思いがちですが,患側は非紅潮側です.顔面を支配する交感神経障害による発汗障害と皮膚血管拡張反応の消失のために,正常に血管拡張し紅潮した健側が目立ち,赤く見えます.しかしそうだとすると蒼白の左が患側になってしまい,病歴や右縮瞳と合いません. 落とし穴

    ハーレクイン症候群の解剖学的診断 ―自撮り写真の落とし穴― - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
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    quick_past 2024/01/10
    “「自撮り写真は端末によって左右が変わる」ことを知っておく必要があります.”
  • 新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(12月9日) - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    今回のキーワードは,long COVID患者では認知機能障害が顕著である,long COVID患者脳において神経炎症が生じている,COVID-19患者脳では老化細胞が増加する,3回のワクチン接種によりlong COVIDは73%抑制できる,ニルマトルビル・モルヌピラビルはlong COVID発症を低下させるがその効果は小さい,パクスロビドは31あるlong COVID症状のほとんどを抑制できない,ボルチオキセチンはCRPで調整すると認知機能を改善する,です. Long COVIDに伴う認知機能障害に関する研究が引き続き報告されています.Long COVIDに伴う神経炎症(ミクログリア活性化)を画像化した研究が動物での既報に続き,ヒトでも報告されました.また老化を細胞レベルでとらえ,老化細胞を体内から除去しようとするsenolyticsという概念がありますが,long COVIDに伴う細胞老

    新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(12月9日) - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • アミロイドβ抗体療法の有効性と安全性を理解する - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    教室の勉強会で使用したスライドです(全76枚).1時間のレクチャーを行いました.内容としては,①アミロイドβと抗体療法の基礎,②臨床試験における効果のさまざまな解釈,③アミロイドβ抗体療法の安全性(ARIA,死亡事例,脳萎縮)について提示したあと,最後に「安全な治療を継続して行うために何が求められるか?」を議論しました.私なりに,下記のような医療者,製薬企業への提案も考えてみました. 1. 効果を実感しがたい治療を続けられる工夫を考える 2. 誤解を招く説明を行わない(図) 3. 重篤な副作用を全力で防止する ① 臨床試験に極力ならった患者選択を行う ② ApoE遺伝子検査体制の確立を促す ③ いつまで治療を継続するかの結論を出す ④ 脳萎縮症例のモニタリングと報告,注意喚起をする レクチャー後,学生から教室メンバーまで非常に多くの質問や意見がありました.やはり治療による益と害について,治

    アミロイドβ抗体療法の有効性と安全性を理解する - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
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    quick_past 2023/11/23
    メディアに知識がなさすぎる・・・
  • Long COVIDの病態の本質はセロトニンレベルの低下であり,既報の4つの病態仮説を結びつける! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    PASC(=Long COVID)の病態機序として,ウイルスの持続感染,神経炎症,凝固亢進,自律神経機能障害などいくつかの仮説があります.米国ペンシルバニア大学等から,これら4つの仮説すべてを1つに結びつける病態仮説が提唱されました. まず研究チームはPASCを発症した1500人以上のコホートを追跡調査し,PASC患者と完全に回復した感染者を区別できるバイオマーカーの同定を目指しました.この結果,血漿セロトニンが,急性期COVID-19(中等症,重症)とPASCで減少し,回復した感染者では保たれていることを示しました(図1). このセロトニン減少は,SARS-CoV-2ウイルス感染に特有のものではなく,他のウイルス感染の急性期あるいは慢性期のヒトやマウスでも観察され,またウイルスRNA模倣物質であるポリ(I:C)を投与したマウスでも観察されました(図2). ここでウイルス感染がどのようにし

    Long COVIDの病態の本質はセロトニンレベルの低下であり,既報の4つの病態仮説を結びつける! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • アルツハイマー病治療薬レカネマブはどんな薬か理解しよう! ―患者・家族のための分かりやすい説明図― - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    FDAでのフル承認を受け,日でもレカネマブの使用がより現実味を帯びてきました.図はAlberto J Espay教授(シンシナチ大学)がTwitter(@AlbertoEspay)で発信されたレカネマブ治療に関する説明です.一般の方々に必ずしもその効果と副作用について伝わっていないように思われますのでこの図を用いて解説したいと思います. レカネマブの効果を示したClarity AD試験の対象は,PETまたは脳脊髄液検査でアミロイドが検出された50〜90歳の早期アルツハイマー病患者で,レカネマブ群898人,偽薬群897人です(①).2週間ごとにレカネマブを静脈内投与します.主要評価項目は,CDR-SB(Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes,範囲0〜18点で高いほど障害が強い)の18カ月間における開始前からの変化です.通常,18点中1点以上の変化がある場

    アルツハイマー病治療薬レカネマブはどんな薬か理解しよう! ―患者・家族のための分かりやすい説明図― - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • がんを神経から治療する! -cancer neuroscienceという新しい領域―  - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    最新号のNature誌に「がんを移植したマウスにα2アドレナリン受容体刺激剤(クロニジン)を大量投与するとガンの増殖を強く抑えることができる」というベルギーのからの論文が出ています.α2アドレナリン受容体は「交感神経活動のネガティブ・フィードバック」に関わる受容体ですので「交感神経活動を抑制するとがんの増殖を抑えられる!」ということになります.「神経とがんの関わり」はこれまで聞いたことがなかったため非常に驚きました. じつは近年,「cancer neuroscience」という領域が注目されているようで,Science/Nature/Cell誌に総説が出ています.図1はScienceの総説の図ですが,①交感神経終末から放出されるノルエピネフリン(NE)ががん細胞表面の受容体に結合し増殖を促進する,②NEが血管内皮細胞に作用し血管新生を促進する,③がん細胞が神経栄養因子を放出し,神経のがんへ

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  • flail arm型とVulpian-Bernhardt亜型 - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    ALSガイドライン2023が発刊されました.眺めていたところ,分類・病型の項目に「進行性筋萎縮症(PMA)のなかで,両上肢に限局するものはflail arm型と呼ばれ,brachial amyotrophic diplegia,man-in-the barrel型およびVulpian-Bernhardt亜型も同じ病型を意味する」と書かれていました.若手の先生にウンチクを傾けたくなりました(笑). 1)フレイル・アームはL?R? 老年医学で使われるフレイルは「加齢により心身が老い衰えた状態」のことで「Frailty(虚弱)」に由来します.ALSの病型で使うのはflailで,その意味は柄の先に鎖で打撃部を接合した武器の一種(連接棍棒)だそうです.ちょうど筋萎縮で細くなった上肢(図左)が,連接棍棒(図中央)に見えたために名付けられました(Hu MT, et al. JNNP 1998;65:95

    flail arm型とVulpian-Bernhardt亜型 - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • 脳・脊髄インターフェース  ―12年もの間,下半身不随だったひとの歩行を可能とする驚異の医療!!― - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    感嘆して思わず仰け反ったNature誌論文です(解説動画をご覧ください).主人公は40歳のGert-Jan Oskam氏,バイク事故による頸髄損傷により12年間にわたって下半身不随,上肢も一部麻痺になってしまいました.スイス連邦工科大学ローザンヌ校のCourtine博士は,記者会見で「我々はOskam氏の意思を捉え,その意思を脊髄への刺激に変換し,自発運動を再び獲得させることに成功した」と述べています. 博士らは2018年,脊髄の電気刺激と集中的リハビリにより,脊髄損傷患者の再歩行が可能となることを実証しました.しかしその効果は不十分であったため,さらに研究が進められました.Oskam氏が身体のさまざまな部分を動かそうとしたときに,脳のどの部分が電気信号を発するか,つまりその「意思」を解読するために,機械学習プログラムを使った観察を行いました.そしてこの人工知能の「デコーダー」により,特定

    脳・脊髄インターフェース  ―12年もの間,下半身不随だったひとの歩行を可能とする驚異の医療!!― - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • 新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(5月22日)long COVID神経後遺症のメカニズム研究ラッシュ!  - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    今回のキーワードは,SARS-CoV-2ウイルスは後根神経節のトランスクリプトームを変化させて持続的な痛みを引き起こす,neuro-PASCの機序として脳脊髄液における免疫異常と自律神経神経に伴う循環異常が関与する,neuro-PASCの発症には脳脊髄液中の抗SARS-CoV-2反応が低下し,脳からのウイルス排除が不完全で神経炎症が持続することが関与する,neuro-PASCの一因として持続的なペルオキシソーム機能不全が関与する,long COVIDはウイルス持続感染による慢性炎症・免疫異常・微小血栓により生じる,重度の肥満者ではCOVID-19ワクチンによる液性免疫の減退が加速される,です. 最近,横浜と群馬にて,neuro-PASC(long COVIDの神経後遺症)とそのメカニズムであるSARS-CoV-2ウイルスの持続感染について講演する機会を頂戴しました.このウイルスは「神経向性

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  • 驚きのジェネラリスト医療用AI(GMAI) -未来の医療はすぐそこまで来ている- - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    Nature誌に新しい医療用AIについての論文が掲載されています.ジェネラリスト医療用AI(generalist medical AI; GMAI)と名付けられたもので,スタンフォード大学で開発されているものです.これは,foundation models(基盤モデル)と呼ばれる最新世代のAIが可能にしたもので,多様なタスクに対応できることが特徴です.従来の医療AIは特定のタスクに限定したものでしたが(例えば胸部X線写真の異常所見を見出す),GMAIは大量の異なるデータを組み合わせて処理し,柔軟に解釈することができるのだそうです!つまり上段aのように,画像,電子カルテ,検査結果,ゲノム,グラフ,医療テキストなどのデータはテキストないし音声とペアリングして柔軟に取り込みます.そのあと,様々な医療知識リソースにアクセスして高度な推論をしてくれます.研修医からスタートした医師が経験を積んで専門医

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  • 抗アミロイドβ抗体「ドナネマブ」も早期アルツハイマー病の認知機能低下を有意に抑制する! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    イーライリリーは5月3日,TRAILBLAZER-ALZ 2(第3相試験)において「ドナネマブ」が初期アルツハイマー病(AD)患者の認知機能低下を抑制したという結果をプレスリリースしました.対象は60~85歳の軽度認知障害(MCI)または軽度認知症患者で,進行の予測バイオマーカーであるタウタンパクのレベルが「中程度」であった1182人です(恐らく脳脊髄液タウで層別化したのだと思います ⇨ タウPETの間違いでした).主要評価項目はアルツハイマー病評価尺度(iADRS)で,18カ月間で対照と比較して35%の抑制(p<0.0001)を示しました.また副次評価項目(Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes;CDR-SB)も36%抑制しました(p<0.0001).ちなみにレカネマブはCDR-SB の抑制は27%でしたので,より効果は強そうです. さらにドナネマブ群

    抗アミロイドβ抗体「ドナネマブ」も早期アルツハイマー病の認知機能低下を有意に抑制する! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文
  • 患者さんの質問に対しChatGPTは医師より質が高く共感的な回答ができる! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

    タイトルを見て「ついにこういう論文が出たか・・・」という感じがしました.JAMA Intern Med誌の論文です.話題のAIチャットボットChatGPTが,患者さんの質問に対して質の高い共感的な回答を提供できるかを評価しています.ソーシャルメディアReddit/AskDocsにおける患者さんからの質問を195個選び(例:爪楊枝を飲み込んでしまった場合,死亡する恐れがありますか?ランニング中に金属棒に頭部を打撲し,コブができて頭痛する場合,受診すべきですか?等),それらに対する回答を医師とChatGPTで比較しています.回答ごとに3通りの評価が行われ,195✕3個の評価のうち78.6%が医師よりChatGPTの回答を選んでいます.そしてChatGPTの回答は有意に長く(211語対52語,P < 0.001),かつ高品質でした(P < .001).例えば「良い」または「非常に良い」と評価され

    患者さんの質問に対しChatGPTは医師より質が高く共感的な回答ができる! - Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文