−経緯− 昭和13年5月21日午前2時頃、岡山県苫田郡西加茂村大字行重字貝尾部落(現在津山市加茂町行重)で肺患を苦に極度な神経衰弱に陥った同部落の都井睦雄(当時22歳)が、猟銃や日本刀で祖母を皮切りに部落民を次々に襲撃。結果、30人を殺害、3人に重軽傷を負わせて近くの山に逃走した。 同日午前11時30分頃、警察や消防、地元の青年団約1500人余りが大規模な山狩りを行っていたところ、同村青山の荒坂峠付近で猟銃で自殺している都井を発見。自宅から2通、自殺現場から1通の合計3通の遺書が発見された。 同村の全戸数は約380戸、人口約2000人で貝尾部落は全戸数22戸、人口111人。山奥の平和な農山の部落に突如惨劇が降ってきた。30人殺害は戦前、戦後を通じて他に類を見ない大量殺人事件として語り継がれている。 −生い立ちと背景− 都井は大正6年3月5日に同村大字倉見部落で出生。農業を営む温和