今年11月13日、滋賀県にある社会福祉法人「グロー」理事長・北岡賢剛氏が、2人の女性から約4250万円の賠償を求めて訴訟を起こされた。原告は、北岡氏から性暴力を振るわれ、10年以上にわたりセクハラとパワハラの被害を受け続けたと告発したのだ。 今回の件が新聞各紙等で大きく報じられた理由のひとつには、北岡氏が障害者福祉の世界では「天皇」と呼ばれており、社会福祉の業界でその名前を知らない者はいない存在だということがある。そして、ハラスメントの被害の大きさもさることながら、加えて問題となったのは、なぜこれほど長い期間にわたるセクハラ・パワハラの事案が表に出てこなかったのかということだ。 そこには北岡氏を中心とした福祉界の絶対的な上下関係が関係している。北岡氏は有力政治家たちとのパイプや各省庁との繋がりを利用し、国の事業採択や助成金の支給にまで大きな影響力をもっていたのだった――。(#2から続く)