善治郎がルシンダ・ガジールと対面を果たした日の夜。 夕食の入浴を住ませた、アウラと善治郎夫婦はいつも通り、リビングルームで向かい合う形で話し合っていた。 向かい合う形で座るのは、真面目な話をする時。いつの間にか決まった不文律に、善治郎も湯上がりで弛緩しかけていた緊張を取り戻し、妻の顔を正面から見据える。 複数のLEDスタンドライトに照らし出される愛する妻は、湯上がりのせいか褐色の肌を少し紅潮させたまま、こちらをリラックスさせるように柔らかく微笑んでいた。 「さて、少し話をしたいのだが、よいかな?」 「もちろん、問題ないよ。話の内容はやっぱり、昼間のこと?」 善治郎の言葉に、女王は小さく首肯する。 「そうだ。私と其方と間で、持って回った言い方も必要あるまい。率直に聞こう。ゼンジロウ、其方はルシンダ嬢をどう思う?」 「どう思うって……」 聞かれていることは何となく分かるが、余りに漠然とした問い
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