関西電力の一律15%程度の節電要請など、夏の電力危機を乗り切るための節電対策に、各地の博物館や美術館の学芸員らが苦悩している。節電のためには、館内の空調設備の設定温度を上げざるを得ないが、管理に失敗するとカビや虫が発生し、貴重な文化財の損傷につながりかねない。「節電にはできるだけの協力はしたい」としながらも「万が一カビが生えたら、取り返しがつかない」と不安を吐露している。 「7月1日に特別収蔵庫の設定を1度あげました。やはり気になって何度も湿度計測器を見に行ってしまいますね」。堺市博物館(堺市堺区)の吉田豊学芸課長は苦笑する。同館の年間消費電力は90万キロワット時(平成22年度)。このうち大きな割合を占めているのが、絵画や古文書を保管する特別収蔵庫約600平方メートルの空調で、真夏は24時間、稼働させている。 同館では、要請を受けて節電方法を検討。やはり収蔵庫の温度管理が効果的だ、というこ