■劣勢の流れを一変させた直接フリーキック 焦らす。とにかく焦らす。キックフェイントも入れて揺さぶる。それも、一度ではなく二度も。ゴールの後方に陣取っていた、湘南ベルマーレのサポーターからすかさずブーイングの標的にされた。 それでも、アビスパ福岡の最年長、35歳のDF駒野友一はまったく動じない。降り注いでくるブーイングの嵐を、むしろ心地よく感じながら、右足を振り抜くベストのタイミングを待ち続けた。 「それ(ブーイング)は別に気にならなかったですね」 敵地のShonan BMWスタジアム平塚に乗り込んだ17日のJ2第14節。両チームともに無得点で迎えた前半アディショナルタイムに、アビスパが直接フリーキックのチャンスを獲得する。 ゴールまでの距離は約25メートル。ボールをセットする駒野のそばにいたMFジウシーニョが、しばらくしてゴール前へとポジションを変えていく。このとき、駒野の頭にひらめくもの