□『明治維新という過ち 日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト』 書名からはスキャンダラスな印象を受ける読者もおられるかもしれないが、底流にあるものは史実を重んじる精神と、倫理観を重視して歴史を読み直そうとする著者独特の視座である。 日本の近代を開いた明治維新-著者は、日本近代史の大前提となっているこの視点に異議を申し立てる。そして、明治維新を成し遂げたとされている著名な事件、事象の実相を詳しく整理し、幕末動乱の一連のムーブメントを狂信的原理主義によるテロリズムであったと説く。そのテロ行為の実態をもつぶさに列挙し、これまで語られてきた麗しい「明治維新物語」を明快に否定する。たとえば、「吉田松陰」は長州軍閥・山県有朋が創作した虚像だった、といったように…。 この視点は、明らかに現代の公教育と真っ向から対立するが、それについても「我々は薩長がでっち上げた官軍教育のウソにいい加減気づくべきであろ