怒りなき社会が放置する経済の停滞(3) 日本テレビ政治部長 菊池正史 グローバルな胎動 前回は、1990年代にコストカットによる成長という日本経済の「神話」が崩壊し、2000年代の小泉純一郎政権から始まる景気回復が「偽り」といわれた背景を説明した。 「ウィンドウズ95」のプレゼンテーションに臨むマイクロソフトのビル・ゲイツ会長(左)=1995年8月、米国ワシントン州レドモンド 【AFP時事】 では、その頃、米国や他の先進国では何が起きていたか。これも言い古された指摘であることは百も承知だが、日本の産業構造が30年以上も本質的に変わっていない、変われない、変わらない理由を検証するために、あえて振り返っておきたい。 日本では「失われた10年」となった1990年代に、米国では「ウィンドウズ」の普及をはじめ、情報通信という新たなIT分野で革新が進んでいた。シリコンバレーに象徴されるように、欧米の研