一般社団法人 日本家族計画協会 〒151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷1-34-14 宝ビル7F 電話 03-6407-8971(代表)
一般社団法人 日本家族計画協会 〒151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷1-34-14 宝ビル7F 電話 03-6407-8971(代表)
学校で教えられる性に関する教育について調査されています。これまでの中学校や高校で教えられる内容は、そのほとんどがエイズを始めとする性感染症と避妊の方法についてです。妊娠の仕組みについても良く指導されているが、精子と卵子の受精に始まり、着床し妊娠成立までの生物学的過程についての記述がのみが多いようです。女性や男性の生殖機能の特徴や差異についての教育は、ほとんどなされていません。マスタ-ベ-ションや射精さらには、セックスについても十分に教えられていないのが現状です。 これまでの青少年に対する性教育は、妊娠しないための教育であり、いかにすれば妊娠できるかの教育はなされてきませんでした。残念ながら女性には生殖年齢の適齢期があることを若いカップルに教育しておくことが大切です。 (2015年8月1日 家族と健康) (吉村 やすのり)
企業子宝率とは、合計特殊出生率の企業版ともいえる指標で、男女問わず従業員一人当たりが在勤中に持てる子どもの数を算出した値です。ダイバ-シティ・コンサルタントで東レ経営研究所ダイバ-シティ&ワ-クライフバランス研究部長の渥美由喜氏が考案したものです。少子化問題を考える際、多くの場合は合計特殊出生率を参考にします。しかしこれは、女性1人が生涯に産む子どもの数であり、女性にしか注目していません。一方、企業子宝率は男女双方を算出対象にしています。男性を含めることで、片働き・共働きに関わらず、子育ては男女共に責任を果たすべきだというメッセ-ジが込められています。 企業子宝率で分かることは、その企業が子育てしながら働き続けられる企業か否かです。すでに福井県や静岡県、佐賀県、鳥取県、三重県、山梨県、滋賀県大津市は、これを地元企業のワ-クライフバランスをはかる指標として活用し始めています。地方では。若年層
社会的な卵子の凍結 未婚であることや、仕事を続けたいなどの社会的理由で、自らの卵子を凍結保存し、将来の妊娠や出産に備える女性が増えています。平成25年に日本生殖医学会は、がん患者の治療による卵巣機能廃絶を避けることを目的とした医学的な卵子の凍結のみならず、社会的適応による卵子や卵巣組織の凍結についてのガイドラインを作製しています。この医学的でない、将来の妊娠に備え自分自身の卵子を凍結することを、社会的な卵子の凍結とも呼んでいます。対象は成人女性で、本人の妊娠や出産のためのみに使用することはできますが、卵子を他人に譲渡することはできません。また日本生殖医学会が認定する、生殖医療専門医がいる施設で実施すべきとの、施設基準も設けています。クライエントは、医療者側からの卵子凍結の意義や問題点、さらには妊娠率、凍結した卵子を用いて妊娠する際の注意事項を十分に聴く必要があります。 社会的適応の場合、注
戦前は大家族が同居しており、3世代同居は一般的であった。戦後高度成長期になると、核家族が増加し、世帯数は増加したが、平均世帯人数は逆に減少している。現在は家族形態が多様化し、未婚率が上昇し晩婚化により少子化が進み、結果として平均世帯入数が2.4人まで減少しています。夫婦のみ世帯や両親と未婚も子どものみの世帯が増加しています。 政府の少子化社会対策大綱には、若者の結婚支援も盛り込まれています。民主党政権下の社会で子どもを育てるという公助よりも、家族や地域の支え合い中心の自助、共助が強まっています。介護や育児の負担を家庭で吸収し、社会保障費を抑制する狙いもあります。家族による支援で、注目されているのが親の近くに住む、近居です。同じ沿線やマンションの別室に住むことで、プライバシ-を保ちながらも、子育て支援などを期待できます。また、3世代同居も推進しています。両親との同居率が高く、共働き率も高い福
子宮頸がんワクチンの必要性を訴える有志が、国民に対して子宮頸がん(HPV)ワクチンの正しい理解を求め、女性と子どもそして家族と国を守るためにワクチン接種の必要性について声明を出しました。 (吉村 やすのり)
なぜ女性たちは出産を先送りにしてきたのか 女性はいくつになっても月経のあるうちは妊娠・出産が可能であると勘違いしていたことが一つの要因です。月経が無くなる閉経年齢と妊娠出産可能な年齢には、少なくとも10年の差があります。こうした生殖に関する知識を若いうちに教育されてこなかったように思われます。またキャリアをある程度つけて生活設計ができてから、結婚し妊娠・出産しようと考えている女性が多いように思います。さらに30歳前後で結婚しても、出産し子育てをしながらキャリアを積む自信がないと考えている女性も多くみられます。 若い女性は、比較的若い時期に妊娠・出産してもキャリアをつけられる就業モデルを身近でさがすことができない状況にあります。テレビや雑誌その他で見聞きする仕事と子育てを両立する女性たちは、自分とはかけ離れた存在であると感じています。子育てと仕事を両立している女性が周りに居れば、若い女性も自
生殖とは生命体がこの世に現れて以来、連綿と繰り直してきた生命の保持を目的とした極めて重要な行為である。ヒトは生殖により次世代を産出し、個体の死を超えて存在することを可能にしている。有性生殖を行うヒトにおいては生殖における男と女の役割が異なっている。性染色体やホルモンになどによって、男女は生物学的に異なる存在として特徴付けられている。しかしながら、高度に近代化を遂げた情報化社会においては、男女の社会的存在の意義やその役割、従来の社会理念や規範が変化してきている。このような社会状況の中では、その男女の歴然とした生物学的な差異の現出が困難になってきている。 ヒトはあくまで自然界に存在する哺乳動物であり、生物学的に子孫を残すべく運命づけられており、命脈をつないできた。しかしヒトは他の動物と一線を劃し、叡智や理性により自らの生活様式や社会環境を改変してきた。人類は社会進出の促進やより高いキャリア形成
2020年までの少子化対策の方向性を示す政府の少子化社会対策大綱が、20日閣議決定されました。今回の大綱では、社会経済の根幹を揺るがしかねないと少子化への危機感が前面に打ち出しされています。妊娠・出産の知識を学校で教えることや、自治体などによる結婚支援策の後押し、三世代同居の推進などを盛り込まれています。有村治子少子化担当大臣は、「賛否両論、国民的議論を恐れずに皆さんに伝えていく覚悟がなければ、今の時代の少子化対策として期待に応えることにならない。」と述べています。 妊娠や出産には年齢的に限界があり、知識がないために子どもを持つチャンスを逸している人がいる現状があります。子どもがほしいと思った時に遅かったとならないよう、先手を打って正しい知識を教育課程に盛り込むことは大切です。今回の大綱では、結婚支援策も取り入れています。男女の出会いの機会を設けるといった事業を実施している自治体や商工会議
政府は、緊急経済対策の目玉として2014年度補正予算で総額4200億円の地方創生の新たな交付金支出します。それを受けて、各自治体からはさまざまな提案がなされています。地方空港の利用者にク-ポン券を無料で配ったり、子どもの医療費の窓口負担をゼロにしたりするなど地域振興に知恵をしぼっています。しかし、従来型のプレミアム付き商品券も目立ち、国主導のバラマキ政策との批判もでています。 一方、少子化や子育てに対する支援は十分と言えないところがあります。青森県は、8月から所得制限付きで子どもの医療費の窓口負担を中学校卒業まで無料にする方針です。福岡県は新交付金2億5千万円を使い、18歳未満の子どもが3人以上いる児童手当の受給世帯に1万円分の商品券を給付する予定にしています。医療費の無料化はともかく、児童手当の受給世帯に商品券を給付するのは、交付金の使い道としては簡便ですが、これは一種のバラマキであり、
日本産科婦人科学会の小西理事長は、有村治子内閣府特命担当大臣に9団体を代表して学校教育における健康教育の改善に関する要望書を提出しました。 ≪学術団体≫ 日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本生殖医学会,日本母性衛生学会, 日本周産期・新生児医学会,日本婦人科腫瘍学会,日本女性医学学会, 日本思春期学会,日本家族計画協会 ≪要望の内容≫ 学校教育では、その時代に必要とされる教育内容を扱うことが重要です。我が国の少子化や人口減少が深刻化している今日、医学的観点からも健全な家族形成が促進できるよう、妊娠・出産の適齢期やそれを踏まえたライフプラン設計について十全な教育内容としていただきたい。 そのため、青少年教育の基礎となる中学校、高等学校の教科書に記述されるよう、学習指導要領において、必要かつ最新の正しい内容を掲載していただきたい。あわせて、副教材にも同様の内容を盛り込んでいただきたい。
少子化社会対策大網の策定に向けた提言(案)がまとまりました。少子化の反転に成功したと言われている諸外国においても、数十年に及ぶ継続的な取組が必要とされました。我が国においても、本提言における取組に着実に取り組むとともに、更なる少子化対策の強化に向けた取組の検討や、長期的な財源確保、制度改正等の環境整備が期待されています。 Ⅰ,少子化の現状と展望 Ⅱ,基本的な考え方 ~少子化対策は新たな局面へ~ 1.早期・集中的に少子化対策を進める 2.ライフステ-ジの各段階に応じ、一人一人を支援する 3.地方自治体との連携を強化し、地域ごとの少子化対策を推進する 4.社会全体で行動し、少子化対策に取り組む Ⅲ,重点的に取り組む課題 1.子育て支援施策の一層の充実 2.若い年齢層での結婚・出産についての希望が実現できる環境の整備 3.子育て支援における多子世帯への一層の配慮 4.男女の働き方改革~特に男性に
昨日、森参議院議員と昨年の解散で廃案となった女性の健康の包括的支援に関する法律(案)について、今後の方針を話し合いました。今後、本国会かその後の特別国会、なるべく早期に法案提出して頂くことをお願いいたしました。この法案は女性のト-タルヘルスケアを考える初めての法案であり、極めて大切です。早期の成立を期待します。 (吉村 やすのり)
千葉県浦安市は、加齢による不妊を避ける目的で、健康な女性が卵子を凍結保存する拠点整備に向け、研究支援名目で順天堂大浦安病院に、2015~17年度の3年間に計9千万円を補助する方針を明らかにしています。専門を持つ職員の人件費や凍結保存費用に充当することが可能で、浦安市在住の女性は保険適用と同様の3割負担で利用できるようにするとしています。 日本生殖医学会は、13年にがんなどの医学的理由と、加齢などの社会的理由による卵子、卵巣の凍結保存を容認するガイドラインを決めています。実際に、実施をしている民間施設は複数ありますが、自治体が資金を拠出するのは初めてです。市長は、不妊治療で苦しんでいる人は多いが、国の制度は不十分で、浦安市が一石を投じていることが、国の制度の充実に向けた第一歩になればと話しています。晩婚、晩産化が進み、加齢で妊娠が難しくなる卵子の老化も知られるようになりましたが、卵子凍結保存
浦安市は、順天堂大学浦安病院と協力し、社会的な卵子の凍結を希望する20歳から35歳までの女性に、凍結保存にかかる費用や技術者の人件費の一部を補助すると計画を明らかにしました。これらの施策が、少子化対策に繋がるのではないかと考えています。もちろん日本では、初の試みですが、地方自治体が支援することになると女性に卵子の凍結を推奨することにつながる恐れもあり、論議を呼ぶことになると思われます。また、卵子を凍結しておけば、将来いくつになっても妊娠できると女性に思わせることにもつながりかねません。働く女性にとって選択肢の一つとも考えられますが、女性が妊娠適齢期に子どもを産めるような社会を創ることが先決です。時代は、ついにここまで来たかという感じがします。 (吉村 やすのり)
コンテンツへ移動 必要となる結婚支援策の全体像 投稿日: 2015年2月1日 作成者: sakamoto (H2.6.7 全国知事会「次世代を担う人づくりに向けた少子化対策の抜本強化」より) (吉村 やすのり) カテゴリー: what's new パーマリンク コメントは受け付けていません。 アーカイブ アーカイブ カテゴリーカテゴリー カレンダー 2024年11月 月 火 水 木 金 土 日 123 45678910 11121314151617 18192021222324 252627282930 吉村やすのり 生命の環境研究所 Proudly powered by WordPress.
コンテンツへ移動 少子化が引き起こす国家的な危機 投稿日: 2015年1月30日 作成者: sakamoto (H2.6.7 全国知事会「次世代を担う人づくりに向けた少子化対策の抜本強化」より) (吉村 やすのり) カテゴリー: what's new パーマリンク コメントは受け付けていません。 アーカイブ アーカイブ カテゴリーカテゴリー カレンダー 2024年11月 月 火 水 木 金 土 日 123 45678910 11121314151617 18192021222324 252627282930 吉村やすのり 生命の環境研究所 Proudly powered by WordPress.
3人以上の子を持つ世帯を多子世帯と言います。京都府は第3子以降の保育料について、所得制限を設けたうえで、上の子どもの年齢に関係なく無料とする制度を4月から導入することを決めました。条件は、4月1日時点で18歳未満の子どもが3人以上いる世帯で、保育所は年収が約680万円までは無料となります。 京都府の場合の費用は約16億円の見込みとなるとしています。地方創生の交付金を充てられるように国に要望しており、差額を府と市町村が半分ずつ負担することになります。こうした多子世帯に対する支援は極めて重要であり、全国に広がることが望まれます。現在内閣府で検討されている大綱でも、第3子保育料の無料化についての制度化を考えています。2人の子どもをもうけ、3人目の子どもを希望する夫婦は、生みたいと思っても経済的な理由で断念することが多い。児童手当のような現金給付ではなく、このような現物給付をもっと考えるべきです。
2015年度予算では社会保障費は31兆円台半ばとなり、過去最高になっています。2015年度予算総額は96.3兆円で過去最高となりますが、これは社会保障費の増大によります。高齢化によって4人に1人が65歳以上になり、年金、医療、介護費は毎年のように増えています。高齢者向けの優遇措置を温存していることも費用膨張が止まらない大きな要因です。税金で賄っている社会保障費は31兆円だが、保険料や利用者の自己負担も入れた社会保障給付費は115兆円にも達しています。 ここまで高齢者の優遇が続くには選挙が大きく関与しています。今年の4月の統一地方選などを控え、高齢者の負担を引き上げたくない与党の意向が働き、15年度は切り込み不足に終わった感があります。このままいくと段階世代が75歳以上になる10年後の2025年度には、給付費が150兆円近くまで膨らむ見込みです。伸びが著しいのは介護費で、2014年度は10兆
新型の万能細胞とされたSTAP細胞について、理化学研究所は19日、検証実験で確認できなかったと発表し、細胞の存在が事実上否定されたことになった。論文の筆頭著者の小保方晴子研究員もSTAP細胞が作製できず、理研は検証実験を打ち切ることになった。今年の1月「まったく新しい万能細胞を作製した」と華々しく発表されたが、ネット上で次々と不正が発覚、やがて論文は白紙撤回されることになった。そして、自ら検証実験に携わっていた論文の筆頭著者である小保方氏は理研を退職することになり、上司であった主要著者の一人だった有能な研究者の自死を含め、悲痛な結末となった。 今回の騒動で、「研究者をめざす大学院生への指導が変質している」との声が現場からあがっている。指導者も院生も研究成果を急ぐあまり、研究に対する姿勢や倫理など基本の教育がおろそかになっていることが指摘されている。不正が見つかったのは何もこの研究者だけでも
政府は、人口減対策と地方創生の方針となる長期ビジョンと、2020年までの施策を盛り込んだ総合戦略で、1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数である合計特殊出生率を1.8まで引き上げることがまず目指すべき水準と明記し、2030年に達成するという原案をまとめた。政府が目標に掲げる50年後に総人口1億人が確保される出生率の推計として、2040年に2.07を目指したいとの意向を示した。政府は出生率を数値目標とは位置づけていないが、達成水準を数値で示すことは有識者から出産の押しつけといった指摘もあり、議論を呼ぶことも予想される。 しかしながら、若い男女が希望する子どもの数は2人であり、若い世代の結婚・子育ての希望が実現すれば、1.8程度の水準まで向上することが見込まれる。人口が減少しない人口置換水準は2.07であり、この基準までに到達する道のりは果てしなく遠い。こうした議論があると、必ず国が女性
日本産科婦人科学会が主催する公開シンポジウム「女性が輝く社会の実現に向けて-健康増進を支援する-」が開催されました。当日は「女性の健康の包括的支援に関する法律」案の作製に関与された3名の国会議員の方々も参加され、会場からもたくさんの意見が寄せられ、活発な討論がなされました。安倍内閣が掲げる女性の活躍のためにも、女性のさまざまなライフサイクルにおける健康の総合的支援が大切です。このようなシンポジウムが、法案の成立に少しでも役に立つことができれば幸いです。 (吉村 やすのり)
STAP細胞をめぐる問題で、理化学研究所の小保方春子研究員がSTAP細胞の存在を確認できなかったことが、明らかとなった。理研の別のチームが来年3月末を期限に続けていた実験でも確認できず、理研は療法の検証実験を打ち切ることにしたという。理研関係者によると、実験で得られたデータを分析したところ、論文に記載されたように、マウスの体の細胞を弱酸性の液体などで刺激する方法では、万能細胞ができなかったと結論づけられたという。 STAP細胞の存在を一貫して主張してきた小保方氏は、自分自らの手でもSTAP細胞を作製できなかったのである。これでSTAP細胞の研究が打ち切られることは当然のことであるが、小保方氏は何をしたかったのであろうか?科学者にとってしてはならないことは捏造である。福沢諭吉は心訓のなかで、「世の中で一番悲しい事はうそをつくことです。」と述べている。小保方氏はこの言葉をどう受け止めるでしょう
21日、日本産科婦人科学会主催のシンポジウムについての記事が毎日新聞に掲載されました。女性の健康の支援に関する法案は現在まで成立したことがなく、今後の女性の活躍を期待するうえで極めて重要な法案です。議案提出に関係した国会議員の方々も参加され、活発な討論が期待されます。 ぜひとも皆様方のご参加をお待ちしています。 (2014年12月19日 毎日新聞) (吉村 やすのり)
妊娠・出産支援については齊藤委員、吉田委員、子育て支援については大日向委員、稲垣委員、初音丘幼稚園渡邉園長、妊婦・子ども・子育てに温かい社会づくりについては、武田委員が、それぞれの立場から意見を述べられました。大綱案づくりの検討会も佳境に入ってきました。 (吉村 やすのり)
夫婦が一生の間にもつ子どもの数である平均完結出生時数は、現在1.96であり、1970年前後からやや減少しているもののそれほど変化していません。夫婦がもつ子どもの数は、当然のことながら初婚年齢が遅れるにつれ減少しています。特に妻の初婚年齢が36歳を超えると0.6前後であり、半数の夫婦で子どもがいないか、生まれても1人ということになります。20代であれば子どもは2人以上もうけています。この傾向は70年代からあまり変化していません。これらのデータから出生数を増やすためには初婚年齢が若くなることが大切であることがわかります。 日本においては欧米と異なり、結婚しないと子どもを作らない傾向にあります。少子化の危機を突破するためには、結婚を早くすることが重要な要因となっていることがわかっていただけると思います。いつ結婚し、いつ妊娠するかはあくまでも個人の問題であり、国が政策として押しつけるものでありませ
現在は、女性も夢を持ち、自己実現できる時代となりました。どんな人生を送りたいか、将来子どもを持ちたいと考えている方には、特にライフプランを考えながらキャリアとの両立を手にして欲しいと思います。なぜならば、これまで何度もお伝えしている通り、女性はいつまでも子どもを産めるわけではないからです。月経があるうちは産めるだろうと考えている方がいらっしゃるようですが、そうではありません。女性の出産適齢期は25歳から35歳であり、生物学的に妊娠に適した時期は、キャリア形成や維持の期間と重なる方が多いと思います。このことからも、これからの時代、働く女性、キャリアアップを目指す女性は、自分のライフプランを考えておくことが大切になるでしょう。また、同様にパートナーの理解や会社の上司など、周りの環境のサポートもより以上に大切なってくると思います。 産むのが先!(20歳代で産む)と考える女性は・・・ キャリア形成
21日の衆議院解散では廃案となった法案の1つに「女性の健康の包括的支援に関する法律案」があります。いまだ十分でない女性の医療体制を整備し、研究や情報提供の充実を図る内容で、医療関係者らの注目を集めていましたが、一度も審議されなかったことは大変残念でした。法案は、女性の健康を生涯にわたって包括的に支援することの重要性を明記する理念法として作られています。「女性の活躍」を掲げる安倍政権の下、昨年10月に発足した自民党のプロジェクトチーム(PT)が医師や有識者に聞き取りをした提言がまとめられています。 こうした法律案ができると、必ず批判が持ち上がります。出産に関する政策を明記しながら、産まない選択には何の言及もないといった指摘です。また性暴力や配偶者暴力被害への対策が、法案では抜けているとの指摘もあります。産む、産まないはあくまで個人の選択です。しかし諸外国と異なりわが国においては、子どもを産む
STAP細胞論文問題や医薬品の臨床研究データ改ざんなどを契機に、大学や企業では研究不正の防止策を検討しています。薬事法違反に相当する問題は研究者や所属機関が罰せられる恐れがあるうえ、研究不正に対する社会的な関心の高まりで、組織全体の信用失墜のリスクも増すことになります。東大では、ここ数年、産業への応用が期待されるバイオ分野を含めた研究論文の捏造などの不正が次々に発覚しています。対策として3月に研究倫理アクションプランをまとめています。 不正防止のためには、研究倫理に対する教育と啓発が大切です。罰則だけでしばると研究者が委縮して自由な研究が限定されることになります。企業と薬の安全性に直接関わる臨床研究の支援部門が、癒着しにくい組織にする必要があります。不正を未然に防止することが狙いです。臨床研究を委託する大学などと契約に基づいて、あらかじめ資金の使途や相互の責任分担などを明確にしておくことが
有村大臣は、第2回検討会の冒頭の挨拶で消費税の再増税がなくても来年度の少子化・子育て新制度を押し進めていくことを明言されました。 ≪大綱策定における主な論点≫ 【教育】 ●妊娠・出産についての正しい知識や、個人のライフプランの形成を、どう教育に組み込むか ●家族形成の意義について、どう伝えるか 【仕事】 ●ライフステージの中で、仕事をする・しない、仕事をする場合、望むタイミングで望む働き方ができるという個人の希望がかなうよう、どのように支援するか 【結婚】 ●共働き世帯が増加する中、女性の活躍と両立しながら、晩婚化をどのように反転させていくか ●収入がる安定な者、若者の結婚をどう支援するか 【妊娠・出産】 ●若者の出産をどう後押しするか ●妊娠・出産に関する不安をどう解消するか 【育児子育て】 ●育児子育ての不安・負担感をどう解消するか ●多子世帯をどう応援していくか ≪横串的な取組≫ 【
生殖(生物が自分と同じ種類のなかまをつくること)可能な年齢にある男女が避妊することなく、性交渉を行っていても2年間妊娠しない場合に不妊と考えるのが一般的です。医学的な治療を要する場合を不妊症と呼びます。 不妊の状態には、一度も妊娠したことのない「原発性不妊」と、少なくといも一度妊娠したことのある「続発性不妊」があります。どうしても不妊というと女性に問題があると思われがちですが、実は男性不妊も4割以上もあるのです。ですから、診療は必ずカップルで受診して欲しいと思います。女性の不妊症の検査は、痛みを伴うことが多く、種類もたくさんあります。一方、男性の場合は精液検査で大体のことが予想できますので、早めに検査することが大切です。 女性は年齢の上昇とともに卵子の数が減少し、また質が低下すると言われています。月経があればいつでも妊娠できるわけではありません。「妊娠適齢期は25歳から35歳」ということを
安倍政権が人口減対策の考え方をまとめた文書に、出生率1.8を目指すべき水準と記したことが波紋を呼んでいます。この1.8という数字が出たことにより、国の「出産の押しつけだ」とする声が出ています。結婚や出産に関する数値目標が出ると、必ず結婚・妊娠・出産は個人とカップルが自由に決定すべき問題であり、国や政府が口出しをすべき問題ではないという意見がでます。わが国は未曽有の超少子・高齢化社会に直面し、女性の社会的なサポート体制を構策するよりも前に、妊娠・出産を女性に押し付けるのではないかと警戒感をあらわにすることが多いようです。昨年の内閣府が提案した女性の健康手帳の時も同様でした。 この1.8という数字に根拠があるわけではなく、人口が増加も減少もしない人口置換水準は合計特殊出生率2.08です。現在、わが国の夫婦が希望する子どもの数が2であることを考慮して、当面は1.8程度を目指すとするとしたに過ぎま
政府のまち・ひと・しごと創生(地方創生)本部は、今後5年間の地方創生の総合戦略と長期ビジョンの骨子案を示し、合計特殊出生率の当面目指す水準を1.8とするなど、人口減少対策に国と地方が一体で取り組む方針を強調した。安倍政権は特に地方の取り組みを重視し、全面支援する心構えである。しかし、政府側の施策は具体化が遅れており、個人の選択である妊娠・出産への介入になりかねないとの懸念も出ている。 50年後に1億人程度の人口を維持するとの目標に向け、政府の「長期ビジョン」の骨子案も示された。1人の女性が生涯に産む女性の数を示す「合計特殊出生率」(2013年は1.43)について、まず目指すべき水準として1.8程度への改善が提起された。夫婦の「予定する子ども数(平均2.07人)、独身女性の「結婚希望率」(89.4%)と「理想の子ども数」(同2.12人)などのデータを参考に算出している。政府はこれまで、戦中の
大綱策定における主な論点 ≪ライフステージの各段階に応じた支援≫ [結婚] ○女性の活躍と両立しながら、晩婚化をどのように反転させていくか ○収入が不安定な者、若者の結婚をどう支援するか [妊娠・出産] ○若者の出産をどう後押しするか ○妊娠・出産に関する不安をどう解消するか [育児] ○育児の不安・負担感をどう解消するか ○多子世帯をどう応援していくか ≪横串的な取組≫ [妊婦、子供や子育てに温かい社会・地域づくり] ○妊産婦が安心して出産・子育てできる社会を作るためにはどのような取組が必要か。生命を生み、育むことの大切さへの理解をどのように広げるか [都市と地方に対応した少子化対策] ○都市と地方でどのようなニーズに違いがあるか。どのような対策を講じていく必要があるか [企業の取組] ○少子化は企業にとっても重要な問題。企業の取組をどう促すか [働き方改革] ○長時間勤務の抑制、育児休
投稿者: sakamoto | 公開日: 2014年10月31日 | Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/yoshi0126/yoshimurayasunori.jp/public_html/wp-content/themes/twentyten/loop-attachment.php on line 57 Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/yoshi0126/yoshimurayasunori.jp/public_html/wp-content/themes/twentyten/loop-attachment.php on line 58 フルサイズ: × ピクセル
子宮頸がん検診は、受診することにより罹患率および死亡率ともに減少することは、既に科学的に証明されています。このエビデンスにより、子宮頸がん検診は予防医学の観点からWHOをはじめとして世界中で推奨されています。また高度異形成や上皮内がんは、適切な治療やフォローアップを実施しなかった場合、高い頻度で浸潤子宮頸がんへ進行することもわかっています。 このようなコメントを信用される方々は少ないと思いますが、こうした報道により、女性が子宮がん検診を受ける機会を失ったり、精密検査を受けずに早期発見の時期を逸することがあれば、大変不幸な結果につながります。こうした記事が掲載されるのは、大変に残念で、遺憾なことです。 (2014年11月4日号 FLASH) (吉村 やすのり)
インド政府が代理懐胎を規制する法律を制定する準備を進めている。インドは、米国、タイなどともに代理出産が盛んで、2000年代以降、米国に比べ3分の1から5分の1の費用で済むため急増した。タイで障害を持って生まれた子供を依頼者が引き取らなかったり、日本人男性が多くの子供を産ませたりした問題が国際的に注目されたため、法律で規制する必要性があるとされたのであろう。代理懐胎する女性や子供を守るとともに、事実上野放し状態の代理懐胎ビジネスを規制する狙いもある。 インドでは、日本と同様代理出産を規制する法律がなく、トラブルも多く発生している。そのため、年内にも国会に提出される法案では、代理母の条件として、①23~35歳の既婚者、②代理母をできるのは生涯1回のみ、③多胎妊娠を防ぐため代理母の子宮に入れる受精卵は1個に限定するとしている。 (吉村 やすのり)
日本創生会議が今年5月に、独自に算出した日本の将来の人口推計を公表しています。そのなかで、2040年時点の20~39歳の若年女性人口が10年時点と比べ、半分以下になる自治体を「消滅可能性都市」と名付けています。子どもを産むのに適した年齢の女性が大幅に少なくなる地域は、人口減少が加速していくと考えられるからです。同会議の推計では、全国の約1800の市区町村のうち、半数近くの896自治体が消滅可能性都市に分類されています。 地方都市の消滅には少子化が大きく関与しています。もう一つは東京への一極集中です。東京都の2013年の合計特殊出生率は1.13と全国最低で、地方の若者が子育てがしにくい東京に出てくることによる東京の膨張は、総人口の減少に拍車をかけることになります。今年9月、政府は「まち・ひと・仕事創生本部」を立ち上げました。ここで子育て支援や東京一極集中の是正など、地域活性化のため政策を持ち
労働力人口として期待される女性の場合、結婚・出産の時期に就業率が低下し、M字カーブを描く。1980年に比べると2013年では、M字カーブの程度は改善している。これは子育てを両立できるような企業側の環境整備が多少進んだことによる。女性の社会進出により、20代後半から40代前半を中心に女性の就業率は上昇している。しかし欧米各国に比べると女性の就業率の絶対水準は低く、日本の大卒以上の女性(25歳~64歳)が就業していない割合は3割にも達している。 女性の場合、平均週間就業時間が短くなっており、それだけ非正規雇用が増えていることになる。育児や介護中で、就業を希望しながらも働けない女性が、約220万人に上っており、さらなる女性に対する働き方改革が必要となる。 (2014年9月29日 日本経済新聞) (吉村 やすのり)
わが国の高学歴女性の就労率が、 69%と OECD加盟 34ヶ国の中で最低レベルであることがわかった。能力の高い女性が就労するためには、3歳未満の保育を拡大することが必要となる。わが国においては、大学などで高等教育を受けた成人の18%が非労働人口となっている。わが国における大学以上の学歴を持つ成人の割合は 26%であり、 34歳以下の若年世代では35%にも達し、OECDの平均である30%を上回っている。 わが国は高学歴の女性の割合が高いにも関わらず、就労する割合が低いのは、子育て支援が充実していないため仕事と家庭の両立ができないことに起因する。私の教授在籍時代に84人の女性産婦人科医師が誕生したが、子育てをしながら常勤医を続けているのはわずか4人である。子育て後に再就職しようとしても、待遇の点からパートを選択せざるを得ない状況にある。これでは女性の能力が活用されているとは言い難い。 (吉村
オーストラリアの夫婦が、タイの女性に代理懐胎を依頼し、生まれた双子の1人がダウン症であったため、健常児の1人だけを引き取り、ダウン症児の引き取りを拒否するという事態が起きた。海外においては、胎児に異常があった場合、中絶を強要したり、引き取りを拒否したり、代理懐胎をした女性が死亡したりするなど、代理懐胎を巡ってはさまざまな問題が起きている。今回のケースは、依頼者夫婦が出生前診断でダウン症であることが判明した時、中絶を希望した。しかしながらタイにおいて人工妊娠中絶は許可されておらず、代理懐胎女性は中絶を拒否し、妊娠を継続し分娩した。オーストラリア夫婦の行動は、倫理的に決して許される行為ではない。タイの女性は貧しさがゆえに代理懐胎を引き受け、ダウン症児を自分の子として養育している。 代理懐胎の適用は、生まれつき子宮がない女性や病気などが理由で子宮を摘出した女性である。最近ではクライエント夫婦が卵
2013年の1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値である合計特殊出生率は、1.43に増加した。しかし、生まれた子どもの数は103万人を切り、戦後最低となった。2005年に出生率は1.26であったが、それ以降微増している。近年生殖年齢にある女性の数が減少しているため、出生率がわずかに増加しても、生まれる子供の数は減少し続ける。このままでゆけば2055年には一年間に生まれる子ども数は50万人を切ることになる。人口が減少しないための人口置換水準である2.07に回復するまでの道のりは、途方もなく長い。 この8年間の出生率の増加には、妊娠や分娩時の経済的問題を含めた不安要因の解消が関与していると思われる。出産育児一時金が38万円より42万円に増額したこと、これにより地方では、分娩時に病院に支払いをする必要がなくなった。また、妊婦健診の公的助成の増額などが実施され、妊娠中や分娩中の若い男女にとっての
全国知事会は、「少子化非常事態宣言」を採択した。人口減少による地域経済の危機に対応し、国と地方自治体が連携して早急に少子化対策の総合計画を作るように訴えている。宣言は少子化対策を国家的課題として位置づけている。地域の実情に応じた就労や結婚の支援、高齢者から若年世代への支援制度の移行などが提言されている。 人口減少の原因としては、地方における若年女性の減少と東京への若者の一極集中があげられる。これには、地方における若者の雇用が少ないことが大いに関与しており、全国の市町村の半数が、人口減少で消滅の可能性があるとされている。日本全体の衰退に向けたシナリオは出来つつある。今後、安倍首相をトップとする地方創生本部が創設されることになっており、50年後、60年後を見据えた国家戦略を議論することになる。 (吉村 やすのり)
昨日聖徳大学で千葉県の女子大生に対し、女性のからだと卵子の老化についてお話をさせて頂きました。これまでいろいろな公開講座や研究会などで若い女性に生殖に関わるお話をさせて頂きましたが、中学校や高校でまったく自分自身の身体のことを保健体育の授業で学習されていないことを痛感させられました。排卵や受精などの知識そのものはわかっているのかもしれませんが、それを自分の身体に起こっている現象として結びつけることが全くできていないようです。 国民の生殖に関する知識レベルは、先進諸国のなかでも最も低い国の一つに挙げられています。卵巣は生まれてから卵子をつくることができないこと、卵子は閉経になるまで減り続けること、女性の生殖年齢には適齢期があり、25~35歳で妊娠・分娩することが望ましいこと、40歳を越えると妊娠率は極めて低下すること、妊娠したいと思っても妊娠できない不妊という病態があること、男性側にも不妊の
科学論文については、研究不正に加えて著者に相応しくない研究者の名前が掲載されるという疑惑もある。最近では国際的な共同研究が増えるにつれ、論文一本あたりの著者数は増える一方である。著者数が100人や1,000人を超えるような論文もできている。著者の資格がないのに名前を載せるのは「名誉著者」とか「ギフト著者」と呼ばれる。医学部では、教授はほとんど研究に関与していない状況であっても、last name (著者の最後)に名前を列ねることが多い。研究の指導的立場にある責任著者も複数名いる論文もある。研究によっては論文としてアクセプトされやすくするために、あえて実績のある科学者に執筆を依頼したり、名前を入れることを頼むこともある。 今回のSTAP細胞の論文においても、実績のある2人の研究者が責任著者になっている。またこれまでの研究論文では、互いの実績を増やすために名前を入れ合うことも行われている。科学
日本の社会保障は年金や介護などの高齢者に手厚く、子どもや子育て支援など現役世代には薄い。日本経済はやや上向き傾向にあるが、骨太の方針の中で人口減少に歯止めをかけるという将来を見据えた方針が出されたことは評価できる。しかし、そのためにはそうとうな覚悟が必要となる。年間100兆円を越す社会保障費のほとんどは高齢者に充てられている。この高齢者のための社会保障給付額は年々増大しており、超高齢者の下で財政赤字の根源となっており、今後も財政を圧迫し続けるであろう。 このような現状で、子育て支援を充実させるためには、高齢者に対する給付をスリム化しるしかない。少子化に伴い労働人口が減少する中で、平均寿命が延びて年金を受け取る高齢者が増えれば、年金制度が破綻するのは自明の理である。人口減少に歯止めをかけるという目標には、誰もが賛成するが、そのためには国民全体の相当な痛みを分かち合うことが必要となる。 (吉村
わが国の人口は、2009年以降5年連続で減少し、1億2,643万人となり、前年より24万人減少している。15歳~65歳の生産年齢人口は、7,836万人であり、総人口に占める割合は62%である。3大都市圏に住む人は全人口の半数であり、特に首都圏の人口は初めて3,500万人を超えた。都市部への人口流入の波は抑えられそうにない。 人口減少率の高い県は、秋田、青森、山形などの東北地方など地方に多く、東京への一極集中がさらに進んでいる。このような国は世界中どこにも存在しない。東京の景気が回復すると、地方からの人口の流出がさらに加速されることになり、地方の衰退は止めることができない。今後はいかにして地方を活性化させるかが鍵となる。 (2014年6月26日 日本経済新聞) (吉村 やすのり)
理科学研究所の小保方ユニットリーダーと米ハーバード大学のバロンティ教授が、科学誌「ネイチャー」の編集室へ撤回の同意を申し出た。これによりSTAP研究の成果は白紙となる。今後小保方氏の処分が理研で検討されることになる。 大変残念なことであるが、論文がなくなればSTAP現象もないことになる。再現検証実験には小保方氏もぜひとも参加して頂きたいものである。こうした一連の不祥事により、わが国が目指す科学技術立国にも黄信号がともっており、STAP現象の真偽を科学的に確かめてもらいたいものである。 (2014年6月5日 朝日新聞) (吉村 やすのり)
2013年5月、少子化危機突破タスクフォースは、妊娠・出産に向けた知識の教育や啓発のために、女性手帳(仮称)の配布を考えた時期があった。この手帳は女性のためではなく、男性にも妊娠や出産に大切な身体のしくみを理解していただくための教材であり、マスコミ報道で見られたような「国が女性に妊娠・出産を強要する」といった主旨では全くなかった。誤解を招くような報道をされたことは極めて遺憾であった。 リクルートは、独自で国民に女性手帳についてアンケート調査を実施している。それによれば、国民の45%が女性手帳について賛成しており、年齢が低いほど賛成の割合が高いことが明らかとなった。反対は一割程度と極めて少なく、国民は妊娠出産に関わる知識を必要としている。マスコミによるこれら手帳に関するミスリード報道は考え直して頂きたいものである。若い男女が自らの身体のしくみを知り、妊娠には何が大切であるのか、出産とはどうい
5月13日中長期の日本経済の課題を検討する政府の有識者会議「選択する未来」は、少子高齢化や人口減問題を解消するための提言をまとめた。それによれば出産・子育てへの予算や税制支援を倍増するほか、女性の就労支援、外国人の受け入れなどが柱になっている。将来推計では、2030年までに人口を長期的に維持できる出生率の水準を2.07までに回復できれば、2060年代に人口1億を維持できるとしている。 合計特殊出生率を2.07までに回復するには、あらゆる政策を総動員する必要がある。現時点では極めて困難が要求される数値目標である。わが国の人口が減少することは避けられないが、少子化対策の喫緊の課題である。出産や子育てへの予算や税制面での支援を強化し、政策的にかなりの痛みを伴うことになるが、医療や介護など高齢者を重視した今の予算配分を見直すことが大切である。しかし出生率の目標を掲げることに対する反発が強く、数値目
政府が、50年後の2060年代に人口1億人を維持するとの中長期目標を設けることにした。政府内に設置された「選択する未来」委員会は、5月中旬に中間報告として提言する予定である。そのためには、高齢者に手厚いこれまでの支援を、いかにして現役の子育て世代に移行できるかが問題となる。 提言は、人口の急激な減少と超高齢化に歯止めをかけることにあり、合計特殊出生率を2060年に2.07以上に引き上げることにも言及している。出生率を改善させるために、年間3兆円規模の出産・子育て支援を行い、高齢者から子どもへ資源配分を移行することなどを提言している。しかし、国の財政状況を考えると、目標実現はかなりの痛みを伴うことになる。 民主党政権が目指した、子ども手当てなどの子どもをもつ家庭への現金給付を行うのではなく、子育てのための保育・教育費、第三子以降の支援などの現物給付を考えるべきである。いずれにしても子育て支援
日本の労働人口は、2013年に6,577万人と前年に比べて22万人増加した。景気の回復と働く女性が増えたことになる。しかしながら、現在の少子化傾向による人口減を考えると、先行きは暗い。現状のままなら2060年には労働人口は3,795万人となり、現在より4割減少すると考えられている。労働人口が減少すれば、わが国の経済や社会保障制度が維持ができないことは明白である。 内閣府は、①出生率が2.07まで回復 ➁30~49歳の女性の労働率が90%に上昇 ③60歳以上の人が65歳まで働くなどの、最良のシナリオを推計している。このシナリオを達成することは困難であると思われるが、まず現状の少子化の危機を突破し、女性が子どもを産み、子育てをしながら働くことができる社会を作ることが急務である。 (2014年4月27日 日本経済新聞) (吉村 やすのり)
昨日の内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」では、少子化対策のための成果目標が必要か否かについて議論された。3月の政府の経済財政諮問会議は、2020年~2030年に合計特殊出生率を人口が均衡する2.07まで回復させることが必要であることを提案している。昨日のタスクフォースでは合計特殊出生率などの目標設定に賛成意見が相次いだが、産む産まないは個人の意思を尊重すべきであり、国が強制するものではないとする慎重論もみられた。 重要なことは女性が子どもを産み、育てながら働き続けられるような企業や社会のしくみをつくり、環境整備をすることが先であることは言うまでもないことである。お隣の韓国では、2020年までに出生率をOECD加盟国並みの1.6まで回復させるとの目標を設定している。理想的には国が、子ども、子育てのための環境を整備し、その結果として出生率が2.07に達することである。今回のタスクフォース
女性の卵子ほどではないが、精子も高齢になると受精能力が低下するとの研究成果が、先日の日本産科婦人科学会で報告された。ヒトの卵子を用いて精子の受精能力を調べる検討は倫理的に難しく、マウス卵子を用いて精子の機能を検索している。45歳を越えると男性でも精子の機能は、35歳未満の男性に比して4割程度にまで低下するとされた。しかしながら、妊孕力のある男性では機能低下の程度は軽微であること、受精にいたる精子はセレクションを受けていることを考え併せると、その老化現象は軽度であると考えられる。 (2014年4月17日 読売新聞 夕刊) (吉村 やすのり)
総人口のうち、15~64歳の人口を生産年齢人口と呼ぶ。14歳以下を年少人口、65歳以上を老年人口と呼ぶ。総務省15日の発表によれば、この生産年齢人口が32年ぶりに8000万人を割り込んだ。95年をピークに減少傾向が続いているが、団塊の世代が老年人口に入り、減少に拍車がかかっている。一方、14歳以下の年少人口は過去最低の12.9%となり、少子高齢化が一層進展した。 働き手である現役世代が減ることは、社会保障の支え手が減少することである。さらに少子化が進めば年少人口が減少し、経済活力の継続ができなくなることは必至である。少子化を止めること、女性の活用による労働力確保のための施策が急務である。 (2014年4月16日 日本経済新聞) (吉村 やすのり)
これまで一般的にわが国においては、婚姻関係のある夫婦が夫婦として認められており、事実婚は法的に夫婦として認められず、さまざまな点で不利益を被ってきた。しかしながら最近では、事実婚の間で生まれた子どもであっても遺産相続上の不利益がなくなり、性同一性障害のカップルにおいても婚姻関係が認められたり、夫婦別性を選択するカップルの増加など夫婦関係に多様性が認められるようになってきている。これまで体外受精・胚移植などの生殖補助医療は婚姻関係にある夫婦において実施するように、日本産科婦人科学会は会員に指導してきた。しかしながら、2006年に実施する際に医師が戸籍などで婚姻関係を確認する原則をなくした。さらに昨年12月の民法改正で婚外子の相続規定が撤廃されたのを受け、学会は治療の対象を事実婚においても認める方針を固めている。 現在わが国には、体外受精を受けるカップルに対して、不妊治療を助成する制度があるが
研究者にとって論文を書くことはもっとも大切な仕事である。究成果はこれまで実験データに基づき忠実に研究成果を発表することによって成り立っていた。 技術やアイデアを守るための特許申請とは異なり、論文の成果が他の研究者によって引用され、新しい発見につながり、更に研究が進歩していくといった形で科学は発展してきた。今回のSTAP細胞の研究も新しい万能細胞が非常に簡便な方法で作製することができるという点で、再生医療のブレークスルーになりうる研究成果であると期待された。しかしながら、研究成果に疑惑がもたれ、調査委員会で論文にねつ造や不正が明らかになった。 共著者らは共同研究の自らの役割分担のデータを提供すること以外に、独自性があるかどうか、論理の展開に矛盾がないかなどを判断する。しかし、その時提供されたデータに不正があることを前提にチェックするようなことはしない。性善説のもと審査を行うのが通常である。現
【議題】 (1)地域少子化対策強化交付金について わが国の危機的な少子化問題に対応するため、結婚・妊娠・出産・育児の一貫した「切れ目ない支援」を行うことを目的に、地域の実情に応じたニーズに対応する地域独自の先駆的な取組みを行う地方公共団体を支援する事業であり、30億円が充当される。 (2)鈴木委員からのプレゼンテーション 三重県における地域少子化対策強化交付金による具体的なプロジェクトについての説明があった。特に、「みえの育児男子プロジェクト」は素晴らしい試みである。 (3)松田委員からのプレゼンテーション 地域特性に応じた少子化対策の推進の必要性が強調された。都市では著しく出生率低下・未婚率の上昇、待機児童、子育てと仕事の両立が問題である。地方では若者の流出、結婚市場の機能不全が問題である。 (4)政策推進チームにおける議論の整理 (吉村 やすのり)
最近研究論文のねつ造や改ざんの報道が相次いでいる。過去の研究不正の事例では、韓国ソウル大学の黄教授のヒトクローン胚によるES細胞の樹立に関する研究論文のねつ造が有名である。ねつ造の発覚により研究者が解雇されたり、免職処分を受けることは大きな問題ではないが、こうした研究不正により研究自体が遅れてしまうことが大問題である。 社会的にも反響の大きいと考える研究成果には投稿する前の慎重な検証が必要なことは言うまでもないことであるが、共同研究者がすべてのデータを把握することは必ずしも容易ではない。研究プロジェクトが大きければ大きいほど、困難になることが予想される。発表時には世紀の大発見ともてはやし大騒ぎをし、疑惑がもたれると一転、非難する報道や研究所の幹部の態度もいかがなものか?これまで研究論文は得られた研究成果が、研究者によって忠実に記載されているという性善説に従って判断されてきた。こうした改ざん
平成25年3月25日(火)15:00-17:00 中央合同庁舎4号館1208特別会議室 【議題】 (1)山形県における取組について―吉村委員(山形県知事)より 山形県の少子化をめぐる現状ならびに情報提供事業について述べられました。高校生を対象としたライフデザインセミナーの開催、乳幼児と児童生徒とのふれあい体験、妊娠、出産等に関する正しい知識の普及啓発などの取組みを紹介された。 (2)公益社団法人日本産科婦人科学会の取組について―岡山大学医学部 平松教授より 少子化危機突破タスクフォースは、生涯を通じて健康を保持できるライフプランを考えるためには、妊娠・出産に関わる知識の提供が重要であるとしている。発信する情報の内容は、医学的かつ科学的に正確なものでなければならないことを考慮すると、日本産科婦人科学会にとって非常に重要な課題であるため学会として情報提供にあたりたいと述べられました。 産婦人科
慶應義塾大学医学部産婦人科学教室前同窓会長、持丸文雄氏により「賢人の母に学ぶー父親なき現代社会を乗り越えるためにー」が文芸社より上梓される。 多くの偉人の母の成育考を学ぶことにより、理想の母親像を探る渾身の一冊。ぜひともご一読いただきたい。 “近 代化に伴って到来した父親喪失、ならびに敗戦後もたらされた父権主義社会の崩壊は、家族の機能を不全化する重大な要因の一つともなり、子供たちの成長に計 り知れない影響を与えている。福沢をはじめ十人に及ぶ父親亡き家庭に育った賢人たちの成育歴を紹介することで、若い両親が先人の叡智に学び、子供たちに とって望ましい成育環境を実現するヒントが得られるのではないかと考え、勇気を奮って今回、筆を執った”(あとがきより抜粋) (吉村 やすのり)
(1)諸外国における取り組み 池本美香委員 ①子どもの数の増加 子育ての経済的負担の軽減や結婚に向けた支援が大切 ②女性の就業率向上・活躍 女性の就業を促進する取り組みや男女とも家族的責任を果たせる働き方の推進を進めることが肝要 ③子どものエンパワーメント ニーズへの対応ではなく、子どもの権利の観点からのアプローチが大切 わが国においては、子どもの権利の観点からの考慮がなされておらず、子どものあり方や育児の質について考えることが大切 藤井委員 スウェーデンとフランスは出生率の向上になぜ成功したか? 高福祉国家実現へのステップについての説明 スウェーデンでは社会保障・教育への国民負担率(消費税と住民税)は 50.4%であり、それが雇用増をもたらし、成長を促進 男女共同参画による解放政策も出生率の上昇に寄与 (2)磐梯町における子育て支援について 五十嵐町長 子育て支援対策に必要な財源の確保や
コンテンツへ移動 2/22 婦人公論P134-135 出産を先送りできる!?「卵子凍結」の理想と現実にインタビュー掲載 投稿日: 2014年2月20日 作成者: sakamoto (2014年2月22日発売 婦人公論No.1396) (吉村 やすのり) カテゴリー: what's new パーマリンク コメントは受け付けていません。 アーカイブ アーカイブ カテゴリーカテゴリー カレンダー 2024年11月 月 火 水 木 金 土 日 123 45678910 11121314151617 18192021222324 252627282930 吉村やすのり 生命の環境研究所 Proudly powered by WordPress.
高齢出産時代のキャリアアッププランニング講座 ~知っておきたい不妊とお産の最新知識~ 第1部で「卵子の老化と女性のからだ」について講演させて頂きました。 講演後の質疑応答では、題名にもあるとおり、高齢出産や卵子の老化についての質問も多く挙げられました。このようにみなさまが不安に思っていることや確認したいことを直接伺う機会を大切にしたいと思いました。 TV局、新聞社等マスコミの方も多くお見えになり、大変有意義な時間となりました。 (吉村 やすのり)
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