菅直人政権が「危険な賭け」に出る。放射能漏れが続く東京電力福島第1原発の原子炉建屋を、特殊シートで遮蔽する工事を行う方針を固めたのだ。総建設費は約800億円。原子力の専門家は「放射性物質の拡散を抑える効果は限定的で、リスクのほうが大きい」と猛反対したが、政治判断で押し切ったという。東日本大震災や原発事故での指導力欠如が批判された焦りがあるのかもしれないが、失敗した場合、菅首相の政治責任はもちろん、現場の作業員の生命も危うくなる。 勇断なのか、無謀なのか−。菅内閣が検討しているのは、高さ約45メートルの原子炉建屋の周りに骨組みを建て、特殊シートを張り巡らせるという構想だ。「原子炉や使用済み核燃料プールの温度が安定していない建屋を遮蔽すれば、新たな放射性物質の拡散を抑える効果が期待できる」というもので、ゼネコンが提案したという。 事故が発生した1−4号機すべてで実行した場合、1−2カ月の工