■ 豊永真美 [昭和女子大現代ビジネス研究所研究員] [プロローグ] 2015年1月7日、フランスで風刺週刊誌「シャルリ・エブド」が襲撃され、同誌に寄稿するバンド・デシネ作家5人を含む⒓人が落命したとき、フランスの出版界はいち早く、弔意を示した。特に目立ったのがバンド・デシネ界隈の人々である。たとえば、バンド・デシネ出版社であるジャック・グレナは複数のテレビ番組に出演した。 ジャック・グレナは、学生時代に、シャルリ・エブド(*1)の前身のシャルリ・マンスエルの使い走りとしてアルバイトを始めたことから犠牲者とのつながりも深く、個人的な哀悼の意と、表現の自由を守るために戦ってきた「シャルリ・エブド」誌への敬意の双方を示すためにテレビ出演をした。 また、フランス出版協会(SNE)の会長であるヴァンサン・モンターニュは1月9日に犠牲者の作家一人一人の業績を称えた追悼声明を発表した。 ジャック・グレ