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ブックマーク / call-of-history.com (5)

  • 【江戸時代の身分制度論】士農工商から身分的周縁へ

    2016年五月の初頭ごろだったか、Twitterで士農工商という表記が教科書から無くなっているという話が話題になっていた。そう。もう江戸時代の身分制を「士農工商」として表記することは退けられて久しいのだ。少なくとも一九七〇年代初頭に疑問が呈され、九〇年代にほぼ否定され、その結果として二〇〇〇年代半ば以降、教科書から消えはじめた。 かねてから近世身分制社会について個人的にまとめたいと思っていたので、いい機会と思い改めて研究書籍や論文を読み直したり、新規に関連文献を読んだりして一気にブログ記事としてまとめてみようと思いたったのが運の尽き。なんだかんだで書き終えるまで三か月ほどかかってしまい、かつ三万三千文字オーバーの超長文記事となってしまった。誰が読むんだ。 というわけで、長文を読みたくない人のための簡単なまとめ ・士農工商は職能分担を表す言葉で、社会通念として身分体系を意味するようになるのは

    【江戸時代の身分制度論】士農工商から身分的周縁へ
  • 「お前らジャンヌ・ダルクと一緒にいてムラムラしないの?」と聞いてみた結果

    「尊い・・・」ってなる、という記録が実際残されている。 記録を残しているのはゴベール・ティボーという準騎士で1429年三月二十二日、神学者のピエール・ド・ヴェルサイユの共としてジャンヌ・ダルクと面会したことがある人物である。彼はのちに兵士たちに率直に尋ねてみたのだそうだ。「お前らジャンヌ・ラ・ピュセルと一緒にいてムラムラしないの?」と。そしてそのやり取りを以下の通り書き残した。 「軍隊においては、彼女はいつも兵士たちと行動を共にしていた。ジャンヌと親しかった者の多くから直接聞いたことだが、彼女に対して彼らが肉欲を感じることは金輪際なかったという。それはどういうことかというと、彼らが彼女に欲情を抱くことはままあったにせよ、どうしてもそれ以上の挙に出ることはできなかったので、彼らは彼女を欲望の対象にすることは不可能だと信じこむようになっていた。仲間同士で、肉欲を満たし、快楽を刺激するような話を

    「お前らジャンヌ・ダルクと一緒にいてムラムラしないの?」と聞いてみた結果
  • 「殴り合う貴族たち」繁田 信一 著

    様々な王朝文学のイメージから平安時代の貴族というと暴力とは縁のない人々のように思われるが、実は、貴族たちの間では殴る蹴るの暴力がごくごく日常的に行われ、いつどこでだれが殴りあいを始めてもおかしくない殺伐とした時代だった、ということを当時の日記資料から明らかにしたとても面白い一冊。 ほぼ、小野宮右大臣藤原実資の日記「小野宮右大臣日記(小右記)」から採られているが藤原実資は権力に阿らない公明正大な人柄から「賢人右府」と呼ばれ、平安時代屈指の能臣として知られる人物なので、その記述内容は抜群の信頼度があるようだ。 望月の欠けたることも~で知られる最高権力者藤原道長とその一族を始め、天皇、王族、貴族、女房たちや従者たちに至るまで様々な人々による殴打、拉致、監禁、虐待、殺人、強姦、集団でのリンチなど多岐に渡る暴力事件が紹介されている。中でも藤原道長の一族は当時の権勢を背景にして、やりたい放題だった。道

    「殴り合う貴族たち」繁田 信一 著
  • 「アンネの日記」真贋論争~偽書説が科学的検証を経て否定されるまで

    「アンネの日記」が何者かの手によって都内図書館で多数破られているというニュースが次々と報じられている(2014年2月)。サイモン・ヴィーゼンタール・センターによる批判を皮切りに海外メディアでも報じられて、国際問題の様相すら呈しつつある。 この事件については当局の適正な捜査を見守るだけだが、これを切っ掛けにふと「アンネの日記」を色々と検索してみると、未だにアンネの日記偽書説がインターネットに広がっているようだ。え?今更?としか思えないのだが、結論から言うと「アンネの日記」は1981年にオランダ国立戦時資料研究所とオランダ国立法科学研究所による科学的調査の上でアンネ・フランクが書いたものと確定している。この件、日ではwikipediaに軽く触れられている程度で、インターネット上にはテキストが見当たらないので、これを詳説したオランダ国立戦時資料研究所編「アンネの日記 研究版」(絶版)をもとに改

    「アンネの日記」真贋論争~偽書説が科学的検証を経て否定されるまで
  • 「エイズを弄ぶ人々 疑似科学と陰謀説が招いた人類の悲劇」

    HIVは無害でエイズの原因ではなく、治療に用いる抗レトロウィルス薬こそがエイズの原因で、政府、製薬会社、科学者がその有害な薬を売るためにエイズという伝染病を作りだした――そんな、科学的根拠が全くなく、完全に否定されているはずの説が世界中に広がりつつある。その、疑似科学と陰謀論とが融合した「HIV/エイズ否認主義」はなぜ広まっているのか、その発生要因と影響の分析、主要論者の紹介、そして彼らの説に対する科学の側からの反論をまとめた一冊である。 HIV/エイズ否認主義HIV/エイズ否認主義の主張の主な特徴は書によると以下の通りだ。(P17) ・自分たちだけが「HIVは無害なウィルスで病気の原因とはなりえず、抗HIV薬は毒物で、エイズを引きおこすDNAのターミネーターに他ならない」という真実を知っていると考えている。 ・「巨大製薬産業と医学界が国立衛生研究所と生物医科学全般を堕落させてきた。」と

    「エイズを弄ぶ人々 疑似科学と陰謀説が招いた人類の悲劇」
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