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2019年5月16日のブックマーク (3件)

  • 「偶然」を仕掛けて世界をコントロールする秘密工作員──『偶然仕掛け人』 - 基本読書

    偶然仕掛け人 作者: ヨアブ・ブルーム,高里ひろ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2019/04/05メディア: 単行この商品を含むブログを見る人生は偶然によって支配されている。どこの誰の家に生まれるのか、どのような遺伝子配分になりその生活の中でどのようなエピジェネティックな変異を起こしていき、細胞の癌化はいつ進行するのか。事故に遭うのか遭わないのか、誰と仲良くなって仲良くならないのか、ありとあらゆる要素がいわば「偶然」といえ、逆に我々は人生のどの部分を「選択」できたといえるのだろうかと疑問に思うこともよくあることだ。 イスラエルで暮らす著者ヨアブ・ブルームによって、ヘブライ語で書かれた小説である書『偶然仕掛け人』は、そんな人々の人生に起こりうる「偶然」を意図的に仕掛けることで、ある二人をくっつけたり、ある人物をある職につけたり、ある人物に詩を書かせたり──といった「結果」を引き起こ

    「偶然」を仕掛けて世界をコントロールする秘密工作員──『偶然仕掛け人』 - 基本読書
  • 黄色い部屋の秘密 by ガストン・ルルー - 基本読書

    黄色い部屋の秘密〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: ガストン・ルルー,高野優,竹若理衣出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/10/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る今やカレーといえば福神漬ぐらいのレベルでミステリといえば密室物ぐらいに切っても切れない関係性にある。書は『オペラ座の怪人』などで知られるガストン・ルルーによって1908年に刊行され、最初期の密室作品群のうち「実は抜け穴がありましたー」などというがっかりな結末でない「完全な密室状態」であることを作品の中心に置いた、時代を代表する作品である(完全な密室状態を書いた最初の作品とは解説にも書いてないからこれぐらいが妥当な表現だろう)。 さまざまな批判はあったものの、今日まで『黄色い部屋の秘密』が個展中の古典として読み継がれてきた最大の理由は、完全な密室にこだわった、という点にあるのだろう。

    黄色い部屋の秘密 by ガストン・ルルー - 基本読書
  • 魔術×ミステリ──『魔術師を探せ! 』 by ランドル・ギャレット - 基本読書

    魔術師を探せ! 〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: ランドルギャレット,旭ハジメ,公手成幸出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/09/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る書『魔術師を探せ!』はランドル・ギャレットによる魔術が当たり前に存在する世界での殺人事件を探偵役が解決していくファンジックミステリだ。翻訳は1978年が初出なので実に40年近くの時を経て新訳で復活した。長篇ではなく、「その眼は見た」「シェルブールの呪い」「青い死体」の3篇を集めた中篇集となる。 それにしても、魔術が存在する世界でのミステリって、自由度が高くていろいろ実験的なこともできそうだし、もっとたくさん数があってもいいと思うんだけれどもあんまり数がないのはやっぱりその理論的な構築が難しいからだろうか。 たとえば、問答無用で遠く離れた相手の首を魔術でひねり潰せるのであれば殺人

    魔術×ミステリ──『魔術師を探せ! 』 by ランドル・ギャレット - 基本読書