私がワシントンDCにある米連邦議事堂の裏玄関に到着したのは、1月6日の午後3時半過ぎのこと。 ジョー・バイデンが1月20日の新大統領就任式の時、演説をするために作られた議事堂の左右に急ごしらえされた座席は、トランプ信者で埋まっていた。裏門の周りには、ざっと1000人近い信者が詰めかけて身動きも取れないほどだった。 10分ほどかけて少しずつ歩を進め、裏門から5メートルのあたりまで何とかたどり着けた。
エルサレム問題とは結局何が問題なのだろうか。トランプのエルサレム首都承認をめぐって、英語でも日本語でもそれなりに解説がなされているが、隔靴掻痒の感が否めない。少なくともトランプの演説からは、問題の所在は認識していることが明らかだ。認識した上で、イスラエル寄りの立場を可能な限り取ろうとし、しかしそもそもどちらの立場を取ろうとも解決があまりに困難であることは認識しており、問題解決の困難さから目を逸らすための方法を探っている。その方法はそれなりに巧妙である。少なくとも、単に乱暴な大統領が単に乱暴な議論をしたというだけではない。政治・外交的な手法として乱暴であると批判することはできるが、エルサレム問題についての認識自体は、多くの当事者に共有されたものに則っている。トランプの政策を批判するにしても、問題の所在と構図を理解してからにしたほうがいい。
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは h
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医
《フォーサイト編集部です。フォーサイトは中東に関する情報・分析の多くを池内恵さんに負っていますが、池内さんご多忙により、このところ池内さんの記事をお届けできておりません。そこで池内さんにお願いし、ご自身のブログ・サイト「中東・イスラーム学の風姿花伝」でお書きになっている文章を転載させていただくことにしました。文章は、「イスラム国」による日本人人質殺害予告に関するもので、昨日(1月20日)20時55分にアップされました。「メディアの皆様へ」というサブタイトルがついていますが、この問題を考える上で留意すべき事柄がぎっしりと詰まっており、一般読者にとっても極めて有益なものです。文末に、池内さんが新著『イスラーム国の衝撃』の中で参考文献として挙げている池内さんご執筆のフォーサイト記事へのリンクを張っておきます》
NEW 【Explainer】トランプがアメリカの中央銀行制度に介入する方法 2024年8月12日 NEW 週末に読みたい海外メディア記事(164) ウクライナ軍のクルスク越境攻撃は戦争終結につながるか フォーサイト編集部 2024年8月11日 NEW 【Explainer】オリンピックの最新種目「ブレイキン」でジャッジは何を見るか 2024年8月11日 NEW 政治的なるものとは~思索のための1冊(17) 謙虚に生きるということ――「含羞の人」藤波孝生(上) 橋本五郎 2024年8月11日 NEW 深いトコロを「伝える技術」(1) 第1回 国山ハセンさん:対話力は「聞く」が7割 フォーサイト編集部 2024年8月10日 オペレーションF[フォース](77) 連載小説 オペレーションF[フォース] 第77回 真山仁 2024年8月10日 本命「小泉進次郎」vs.対抗「小林鷹之」? 総裁選で
「櫛の取り合いをしている禿頭2人」と野次ったのはアルゼンチンの作家ボルヘスだ。ちょうど30年前にフォークランド島をめぐって戦争に至った英国とアルゼンチンを指してのことだが、誰も住まない尖閣諸島をめぐって日中が繰り広げるさや当ても、この禿頭2人に似ていなくもない。ただ、尖閣の意味は見かけよりはるかに大きい。海底油田、ガス田があるだけでない。周辺海域の支配は、米中のアジア戦略にもかかわるからだ。 9月6日付の英紙「インディペンデント」は、日本政府の尖閣買収決定とクリントン米国務長官の訪中を受け、この尖閣をめぐる紛糾を、南シナ海やインド洋まで広がる米中の戦略ゲームの中で分析した。中国が周辺海域へ支配を広げようとするのは「急激に増えつつあるエネルギー需要をまかなおうと必死なのが見え見えだ。他方でアメリカは、経済的に衰えても主義主張や戦略は変わらないところを見せようとしている」と同紙は見る。 【Th
以前もこの欄で取り上げた台湾の「鴻海精密工業」によるシャープへの資本参加問題が、大きな岐路を迎えている。 2500億円の赤字を計上したシャープの株価が底なしの下落を見せ、先週末には192円になった。この株価は、3月下旬に鴻海が資本参加を表明したときに示した取得基準株価の「550円」という当時の株価から6割ほど下落したことになる。鴻海は670億円を投入し、9.9%のシャープ株を取得し、筆頭株主になることが当時の合意事項だった。 しかし、その後、鴻海は、台湾の金融当局の許可が出ていないため、シャープ株の購入資金をまだ日本に送金していなかった。もし3月のままの「550円」という価格で取得するとなれば鴻海には「高い買い物」になり、多額の損失を計上しなければならなくなる。 台湾市場ではこのあたりの事情を懸念して、鴻海軍団と呼ばれる「鴻海」「鴻準」「奇美電」などのグループ企業の株価が先週から軒並み大幅
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く