同原発のある双葉郡双葉町、原発から3キロのところに住んでいた人が「一時帰宅に一緒に来ませんか」と誘ってくれたのだ。20キロラインの内側なので、もちろん住民や職場のある人以外は立ち入り禁止である。記者である私は本来は入れない。下手をすると警察に逮捕される。「荷物を運び出す手伝いに来た親戚」ということにしてもらった。立ち入り禁止ゾーン住民の一時帰宅を見るのは初めてだ。 行ってみたら、家の前から同原発の排気塔が見えた。車で5分も走ったら、原発の境界フェンスまで着いてしまった。とうとう福島第一原子力発電所の姿を見た。吹き飛んで黒こげになった原子炉建屋の鉄骨が見えた。あまりに住宅地に近いので絶句した。 原発の「立地自治体」である双葉町は、2011年3月12日に全町民が脱出したまま、がれきの片付けすらできないまま放置されていた。津波や地震のがれきが3月11日当時のまま残されていた。1年半近くが経って、