ルシール・アザリロヴィック(Lucile Hadzihalilovic)監督作品『エコール(Ecole)』を観る。シアターキノでは,今週で上映終了。 悪くはないのですけれど,褒めるのも難しいです,これ。 以下,内容に関するネタバレを含みます。 物語の筋は,年端のいかない少女を社会から隔離して寄宿舎生活を営ませつつ数年を過ごし,初潮を迎えて〈女性〉としての商品価値が出てきたところで出荷されていく――というもの。もっとも,直截な性的搾取の描写はないし,隠喩に留められているところも多いので,少女の肉体美(特に脚)を映し出す映像作品として鑑賞していたのではそれと気づかないかもしれない。 ストーリーは「塀に囲まれた森」に着いたばかりの最年少者イリスの視点を中心にして始まる。物語内部に視野を留めおく限りにおいては決して悪くはないのですが…… いかんせんプロットが古い。建物や調度品,それに衣装などは18