二昔以上も前に世話になったおじさんに逢った。このムックを書店で見かけた時、そんな気がした。いまは亡き辻静雄の名前、どれくらいの人が知っているのだろう。『辻調理師学校(現・辻調理師専門学校)』の創始者、といっても、地元大阪ではいざしらず、全国的にはどんなものなんだろう。 グルメという言葉が根付いた頃、後に直木賞を受賞する海老沢泰久が書いた『美味礼賛』を読んだ。辻が亡くなる少し前に出版された本だ。面白かった。フランス料理などろくに食べたこともなかったのに、本物のフランス料理を日本に持ち込んだ辻の人生は抜群に面白かった。 読売新聞大阪本社の社会部記者であった辻は、『割烹学校』を開いていた岳父に薦められ、フランス料理を学ぶ。といっても、自分で作るわけではない。仏文出身であった辻は、文献を渉猟し、フランスへ渡り、本物を食べ歩く。そして帰国。辻調理師学校を創設する。 辻の活躍はきわめて多岐にわたるので
名古屋市で機械設置業を営む永山順二さん(56)が、災害時に傷病者を搬送できるよう車いすにも変形する自転車「Q-jo(キュウジョ)」を開発した。永山さんは「自転車は小回りが利き、燃料も要らない。いつ起きるか分からない災害に備え、なるべく早く製品化したい」と意気込んでいる。 外見は市販の自転車とほぼ同じ。サドル下部とハンドル下部をつなぐ自転車の中心軸を関節のように折り曲げると、前輪と後輪が平行になって車いすの両輪に。樹脂製のかごは取り外して車いすの座席に、サドルはヘッドレストになる。 2011年6月ごろ、東日本大震災の発生翌日にがれきの間を自転車で走りながら撮影した動画をインターネットで見た。「自転車に乗っていて生存者を見つけたら、どう助ければよいか」と考え、開発を思い立った。 車いすメーカーに提案したが、色よい返事がもらえなかったため、20代から金属加工に携わる永山さんが12年8月に自ら1週
地方発の世界的「エンタープライズスクープ」 兵庫県の「号泣県議」が全国的な注目を集めている。政務活動費で不透明な支出を指摘され、記者会見で号泣した野々村竜太郎県議(7月11日付で辞職)のことだ。 そもそも野々村氏の不透明支出問題が明らかになった発端は何だったのか。私は当コラム執筆のために国内紙だけで5紙を購読しているが、どの新聞を読んでも「~ということが分かった」「~ということが明らかになった」などとしか書かれておらず、雲をつかむような思いだった。 ネットで調べると神戸新聞のスクープであるらしかった。確かに、他紙が何も報じていないなか同紙は6月30日付の夕刊1面に続いて、7月1日付朝刊の1面でも大々的に報じている。これでも裏づけとしては不十分なので、神戸新聞に直接問い合わせてみたろころ、「当社のスクープであることに間違いありません」という返答を得た。主要メディアは神戸新聞のスクープという事
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