午前5時。大阪、釜ヶ崎。 日本最大の「寄せ場」があるこの街では、今も陽が登る前から労働者と手配師の間で仕事の交渉が行われている。昨日も、今日も、明日も。多くの人々がまだ寝ているうちに、日雇い労働者たちは行動を開始する。今日の賃金を稼ぎ、今日の生活を続けていくために。 (寄せ場:日雇い労働者の「寄り場」を中心とする居住まで含んだ生活拠点地域/寄り場:求人・求職活動の実際の拠点) 手配師が乗るバンが集まり、労働者たちと交渉を始める。釜ヶ崎は大阪市西成区の北端にある 「はい車通りまーす!」 労働者を集める求人車両が「寄り場」に入ってくるたび、蛍光色の上着に身を包んだ吉岡基さんが大きな声をあげる。彼が声をあげると、同じ安全誘導作業の仕事をしている労働者たちも、彼に続いてやまびこのように繰り返す。 「車通りまーす」 「車行きまーす」 「バックで入りまーす」 釜ヶ崎の寄せ場を「過去の歴史」と見る方もい