被害者を引きずってまで逃走しようとする悪質なひき逃げ事件が後を絶たない。死亡ひき逃げ事件は高い検挙率にもかかわらず、なぜ容疑者は逃げようとするのか。抑止に向けた有効な取り組みはあるのか。犯罪者の心理を研究している新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)に聞いた。 −−事故を起こした直後、ひき逃げ犯はどのような心理状態に陥るのか 「大なり小なり心理的にパニック状態になり、まともな行動がとれなくなる。運転席から立てず、ハンドルを握ったままひたすら運転し続けたり、119番をしようと思っても電話のボタンを押すことができないなどのケースもあった」 −−ひき逃げの検挙率は高いのに、なぜ逃げるのか 《警察庁によると、死亡ひき逃げ事故は平成19年までの5年間で1239件発生し、1171件を検挙。検挙率は94・5%に上る》 「検挙率を考えるのは、計画的で冷静な犯罪に限った話。そのような難しいことを考え