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ブックマーク / www7b.biglobe.ne.jp/~shiokawa (2)

  • 市野川『社会』読書ノート

    書の著者、市野川容孝のことを私はこれまであまりよく知らず、作品を読んだこともほとんどなかった。それでも、漠然たる知識として、医療社会学という分野の研究者らしいということと、この分野は私自身は通じていないがなかなか面白い分野らしいという程度のことは意識していたので、ある程度気になる存在ではあった。 書は医療社会学という特定分野の作品ではなく、それともある程度関連してはいるが、ずっと広いテーマを扱っている。体裁としてはソフトカバーので、制限枚数超過といっても二〇〇頁強程度の小著だが、そのわりに重厚な書物であり、力作である。もっとも、紙幅の限られた一冊のにしてはやや欲張りすぎているのではないかという気もしないわけではない。取り上げられているテーマは、現代日政治・思想状況、西洋社会思想史、「社会」(あるいはむしろ形容詞としての「社会的」)という用語の概念史、「社会科学」の概念史、社会学

  • 立岩真也『私的所有論』読書ノート

    「特に誰かのアイデアをもとにするのでない、手作業によって考察の多くの部分は進められた。書かれることは特に何かの『思想』に依拠していない。ひとまず必要がなかったからだ。それに何かを引合いに出せば、それとの異同を確かめる必要がある。そのためには相手の言っていることを知らなくてはならない。注釈が増えてしまうだろう。かえって面倒なことになる。そういう作業はきっと必要なのだろうし、それを行うことによってきっと私も得るものがあるのだろうとは思うが、相手から何かを受け取るためにも、まずは私が考えられることを詰めておこうと思った」(iv頁)。 それでいながら、すぐに書を読んだわけではない。何分にも、相当の大著(文献表を含めると約五〇〇頁)であるし、扱われているトピックも、医療倫理・生殖技術・優生学・障害者運動・生命倫理等々といったもので、私自身の専門からあまりにも遠く、すぐは手が出せそうにないと感じた。

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