11月23日に英語版が発売された、村上春樹のエッセイ『村上T 僕の愛したTシャツたち』。「控えめなTシャツへのラブレター」とも言えるその言葉の連なりからは、私たちがいかに身の回りのモノを生かし、またそうしたモノたちに生かされているかが見えてくる──米誌「アトランティック」による、モノと人との切っても切れない関係性への考察。 ノベルティーTシャツの2つの役割 ノベルティーTシャツの愛好家、かつ、生まれついての収集家である私は、長いことTシャツを集めてきた。1990年代、家族で「ベン&ジェリーズ」のアイスクリーム工場に行ったときには、派手なタイダイ柄のTシャツを手に入れたし、最近では、パンデミックのさなかに出会った濃い緑色の長袖Tシャツがある。りんごのケーキで有名なトロントのレストラン「ミスティック・マフィン」のものだ。タイダイ柄の方はどこにしまい込んだか忘れたが、緑色の方は涼しくなるといつも
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